京菓子の老舗「鼓月」は、8月下旬までの期間限定で「冷やし善哉」(1個500円)を販売している。京菓子の伝統を守りつつ、新たな商品を開発し続ける鼓月。夏の定番和スイーツでもある冷やし善哉の開発秘話を紹介する。
シンプルなお菓子だからこそ美味しさにこだわった
つやつやした小豆が輝く、夏の甘味「冷やし善哉」。甘味の定番として幅広い層に親しまれている夏の和菓子のひとつだ。
鼓月の小豆は、自社製餡のため、洗穀から豆炊きまで専任の熟練職人が仕上げている。より小豆本来の豊かな風味を楽しんでもらいたいという想いで、今年は製造工程を見直し、ひとつぶひとつぶを十分に味わえるように仕上げているそうだ。また、暑い夏でもさらりと食べられるように、すっきりとした甘さなのも特徴。もっちりとした弾力ある白玉風の餅と共に、鼓月自慢の小豆の風味を楽しめる。
開発担当者が語る「冷やし善哉」のこだわり
鼓月の小豆は100パーセント自社製餡。仕込みから炊きあがりまで4日かけることで綺麗な粒に炊きあがる。小豆の山地や気候、その日の温度や湿度によって変わる炊き上げや火を止めるタイミングは熟練の技だ。
また、パッケージにもこだわりがある。夏らしく、爽やかな青色を基調とした、シンプルで上質なデザインだ。一つ一つがずっしりとしているので、お土産としてもおすすめ。
鼓月謹製、小豆の美味しさの秘密は?
鼓月では小豆の炊き工程を”前炊き2回、本炊き1回”としている。熟練の餡職人が炊き上げる、雑味のない、上品な善哉に仕上がるよう、前炊きと呼ばれる2回の工程で渋切りを丹念に行なっている。本炊きでは、小豆が煮崩れせず、皮まで柔らかくふっくらと出来上がるように蒸気釜を調整して100分間炊いている。
小豆を口に含んだときに溢れる、豆の風味と程よい甘さを実現するために、蜜漬けにじっくりと3日間の時間をかけている。機械では短時間で蜜漬けが可能だが、豆が硬くなってしまうため、鼓月では職人が手作業で2段階に分けて行っている。時間がかかり、とても地味な工程だが、美味しい善哉を作るために大切にしている。
熟練した職人が時間をかけて丁寧に作った「冷やし善哉」で、夏の涼を感じてみては。
篠田