佐賀県での実話を基に“予選なしで全国大会へ行ける!”と、軽いノリで県内初の男子ソフトボール部を作った高校生たちの奮闘をコミカルに描いた「ソフトボーイ」。本作で創部した幼なじみに振り回されるナイーブな主人公・オニツカを演じるのは、「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」や「ソラニン」(共に'10)と話題作への出演が続く注目の若手俳優・永山絢斗(けんと)だ。今回、映画初主演を飾りながらも実にフラットな彼に、作品の見どころ、そして俳優としての信念を聞いた。
─本作は記念すべき初主演作ですが、オファーを受けた時の心境は?
「どんな作品でもいつもプレッシャーは感じているんですけど、今回はいつも以上でしたね。でも、脚本もすごくおもしろかったですし、監督と何度かお会いするうちに“絶対に演じきってやる”という自信の方が強くなりましたね。“脚本よりも完成した映画の方が絶対におもしろい”と思えるものにしたかったんです」
─ソフトボールが題材となっていますが、ご自身のスポーツ経験は?
「小学校の間はサッカーをやっていたんですが、中学と高校では部活にも入っていなかったのでスポーツらしいスポーツもやっていなくて。ソフトボールも初挑戦で、現場に入る約1か月前から共演者のみんなと練習したり、合宿を行ったりしました。おかげで、クランクイン前からみんなと一致団結できていたので、安心して撮影に入れましたし、その雰囲気はきっと映画にも出ていると思いますね」
─2008年北京オリンピックの女子ソフトボール金メダリスト、上野由岐子投手がゲスト出演されていますが、プロの剛速球を目の前にしていかがでしたか?
「劇中で僕が上野投手の球を打つシーンはなかったんですけど、キャッチャーの後ろに立っているだけでもすごかったです。“間違ってこっちに飛んできたらどうしよう…”とか思っていましたね(笑)。バッティングセンターの球も敵わない速さですし、すごく貴重な経験をさせていただきました」
─これまでも、永山さんは周囲に比べて冷静なキャラクターを演じることが多く、ほかのキャストとの温度差の出し方や間の取り方が絶妙だと思いますが、ご自身では意識して演じられているのでしょうか?
「カメラを向けられている以上、意識して演じてはいます。でも、僕自身がそういったタイプの人間なのかも(笑)」
─では、作品選びのポイントは?
「特にポイントはなくて、何でもやってみた方がいいと思っているんです。脚本を読んで、最初から“できない”って言うんじゃなくて、やってみないとわからないし、その期待に全力でこたえたいんですよね」
─まさに今回、初挑戦したソフトボールと同じですね。
「そうですね。“絶対にできる”って信じて練習をしていましたから。自分に思い込ませることも大切だと思います」
─では最後に、本作の見どころを教えてください。
「僕自身がこの映画を観て、勇気をもらえるんですよね。劇中で“やってみらんとわからん”っていうセリフがたくさん出てくるんですけど、押し付けがましいスポ根映画じゃないので“少し頑張ってみようかな”という気持ちになってもらえるとうれしいですね」
【取材・文=リワークス】