選手を支えるキラリと光る“最高のマネージャー”を発掘する連載。第三回目となる今回は「福岡大学野球部」です。
真新しい専用グラウンドである福岡大学野球場(福岡市西区西都)で、マネージャーの岡本真奈さんが迎えてくれました。
絶対マネージャーになりたい!
幼い頃から野球観戦に親しんでいた岡本さん。「強豪校の強さの秘密を一番近くで知りたい」という思いで、高校進学の際も“女子マネージャー禁止”という伝統のある甲子園常連校を選びます。女子禁止を知りながらも果敢に直談判しますが、やはり受け入れてもらえず...。
「もう、どん底で、どうやって高校生活やっていけばいいだろう...って。でも、とにかく野球部のマネージャーがしたい」その思いは、晴れて福岡大学入学と共に実りました。
マネージャーの役割
入部前は、選手にとって、もっとも身近な存在でいられる思っていたマネージャー業。しかし、先輩から「高校と違って、大学は本当に“裏方”だよ」と、聞かされていた通り、グラウンドでの指導は監督・コーチ陣が行うため、岡本さんは、会計としての金銭の管理、選手の保護者とのやり取り、書類作成や郵送、福岡大学が所属する九州六大学連盟でのリーグ戦の運営など、事務作業が中心です。
裏方でも味わえた充実感
マネージャーとしての活動に追われ、休みは週に1度もない事も。アルバイトも禁止。サークル活動をする周りの女子たちがキラキラ見える事もあったそうです。けれども、全く後悔はなく、社会に出るための自分の基礎を作ってもらった時間だったと振り返ります。野球部の選手たちのおかげで、自分1人では得られない経験をたくさんして、大きく成長できたそうです。
「すごく学べた4年間。充実し過ぎた4年間でした」
マネージャーとしての『極意』『ひみつ道具』
《マネージャーの極意》毎日、絶対何があっても笑顔でいること!その場の雰囲気を明るくできるように、そういう存在になれるように、いつも笑顔でいること!
《ひみつ道具》パソコンとUSB。どうしても事務っぽくなってしまいますけど(笑)これが無いと仕事になりません!
岡本真奈さんの『ここが最高!』
常に周りに目を配る“真摯な姿勢”
事務的な作業の他にも、試合のスコアをつけたり、アナウンスをしたり。選手たちに対しても、補給水の準備やアイシングの為の氷のう作り、救急箱の中身の補充、活動の連絡など。選手がより良く活動できるように、当たり前の事を当たり前にやる。部が成り立っていく上で、縁の下から選手たちを支える存在として4年間を走り抜けました。練習中は接する機会の少ない選手たちから、相談を受ける事も多かったそうです。
「結構いろんな事。身近な事。どうでもいい話でも、私がちゃんとしてないので、逆に話しやすいのかも(笑)」
大学野球の魅力を伝えたい
大学野球は、高校とプロの狭間にあって、なかなか注目されにくい存在。しかし、高校よりも成長した姿や、プロへ向かっていく直前の選手たちを見られる特別な場でもあります。先の春季リーグ戦では、福岡大学は、通算56度目の優勝を飾りました。続く全日本大学野球選手権大会では惜しくも敗退。この時点で、4年生の選手たちと共に岡本さんも部を離れました。
「後輩のマネージャーたちが、アルバムを作ってくれて、連盟の後輩や選手たちからのメッセージが書き込まれていて号泣しました。あんまり見れないんです。泣いてしまうから」
この4年間、岡本さんがしっかり縁の下から野球部を支えてきた事は、後輩たちから送られたアルバムが証明しています。福岡大学野球部と、そのマネージャーとして学んだ事を力に、社会人として羽ばたく岡本真奈さんの、これからの活躍に期待です!
山本真己