レッサーパンダと聞くと、10年以上前に愛らしい立ち姿で一世を風靡した、風太を思い浮かべる人も多いかもしれない。最近はシャンシャンの誕生により、ジャイアントパンダが何かと話題を呼んでいるが、ここで今一度、レッサーパンダに目を向けてみるのはいかがだろうか。“レッサーパンダの聖地”としてプロモーションを展開する静岡県静岡市の日本平動物園を訪れてみると、新たな魅力が見えてきた。
そもそもなぜ静岡市が“レッサーパンダの聖地”なのかというと、国内におけるレッサーパンダの繁殖計画を担っているからだ。その拠点となっているのが、レッサーパンダの血統登録を行う日本平動物園。ちなみに千葉市動物公園にいる風太も、日本平動物園の生まれなのだそうだ。
あまり知られていないかもしれないが、レッサーパンダは、森林伐採などの影響から生息数が減少し、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに挙げられている絶滅危惧種。
国内におけるレッサーパンダの飼育数は順調に伸びており、同園で1985年に血統登録を開始した当初は26頭だったが、昨年末には254頭にまで増えたそうだ。この間で寿命も伸び、1985年頃は10歳を超えるとお年寄りという印象だったが、現在は20歳を超えるレッサーパンダもいるという。
現在、日本平動物園には7頭のレッサーパンダが暮らしており、記者が訪れた際は8歳のオス・タクと、タクの娘で1歳のメス・ニコに会うことができた。まずは室内展示場でタクとご対面。飼育員さんからリンゴを受け取ると器用に持ち、おいしそうに食べていた。
レッサーパンダの主食は、ジャイアントパンダと同じく竹や笹。そもそも「パンダ」という言葉は、「竹を食べるもの」という意味のネパール語に由来しているそうだ。だが、その一方でリンゴも大好物とのこと。タクはリンゴ欲しさに飼育員さんの後をついて回り、かわいらしい一面を見せてくれた。
さらに、タクは立ち上がって壁に足をつき、いわゆる“壁ドン”のようなポーズも披露!実は風太以外のレッサーパンダも、その多くが立ちあがることができるという。タクがこのポーズをした時、足の裏に注目してほしいと飼育員さん。レッサーパンダは寒い地域に生息する動物のため、雪の上でも歩けるように、足の裏に毛がびっしり生えているそうだ。
自然に近い環境でレッサーパンダを観察できる屋外展示場では、まだあどけなさが残るニコがお出迎え。ニコもタクに負けじと、かわいい立ち姿を披露してくれた。
「パンダ」と聞くとジャイアントパンダを連想しがちだが、元々「パンダ」と呼ばれていたのはレッサーパンダの方で、後にジャイアントパンダが発見されたことから、「小さい」という意味の「レッサー」を付けて、レッサーパンダと呼ばれるようになったとのこと。元祖パンダは、レッサーパンダというわけだ。
この夏休みはレッサーパンダの聖地で、改めてその魅力に触れてみてはいかが?なお、同園はレッサーパンダ館以外にも、ホッキョクグマをはじめとした8種類の動物たちをさまざまな角度から観察できる「猛獣館299」など、見どころ満載!動物たちとの心温まるたくさんの体験が、待ち受けているはずだ。
水梨かおる