しっとりした大人の雰囲気が漂う石畳の細い裏路地を歩くと、目に飛び込む黒板塀の一軒家が「神楽坂 おいしんぼ」。一見、建物は重厚感があり、腰が引けてしまう…。「敷居が高そうと思われがちですが、そんなことはありません。フレンドリーな接客もウリですよ」と笑顔で出迎えてくれた店長の井田達雄さん。デートや女子会にも気兼ねなく使える和食店へ足を踏み入れてみよう。
生麩や湯葉がメインの創作和食を五感で楽しむ
店内はリノベーションしているとはいえ、昭和初期の日本家屋の名残を随所に留めている。板張りの廊下を歩けばミシミシと木のきしむ音が耳に届く。幅が狭い急角度の階段も、今では珍しい。そして、純和風の昔ながらの座敷の部屋が連なり、窓の外には中庭も。料理を待つ間、昭和の風情が色濃く残る非日常空間にいるだけで気分が高揚する。
お待ちかねの料理は、厳密にいえば創作和食。京都から取り寄せる生麩(なまふ)や湯葉を中心とした料理は、どれもオリジナリティがあり、ここでしか味わえないものばかり。看板料理の「生麩田楽」(842円)は、白、赤、ピンク、緑と色彩豊か。それぞれ白ゴマ、カボチャ、サクラ餅などに用いる道明寺粉(どうみょうじこ)、よもぎで色付けしており、その上に特製味噌を品よく添えている。職人が見た目の美しさにもこだわった料理は、五感で楽しめるものが多い。
二人の距離が縮まる?屋根裏個室を予約したい
旬の素材を産直で仕入れ、その時季だけの味覚を扱うのも「おいしんぼ」の流儀。高知県産四万十うなぎ、夏の高級魚のハモが楽しめる季節のおすすめ「夏の季節限定懐石」(7020円)では、シメに「四万十うなぎの土鍋ご飯」が登場する。
カップルで訪れるなら2名限定個室を予約したい。2階の屋根裏部屋のため、非常に狭く、天井も頭をかがめないと入れないほど低い。電球1つの暗めの照明も隠れ家感を演出。ムードと遊び心ある部屋で美食を味わって過ごせば、2人の距離はより縮まるだろう。
東京ウォーカー編集部