記録的猛暑の理由と、いまこそ知っておきたい「熱中症」の基本対策
東京ウォーカー(全国版)
記録的な暑さに見舞われている今年の夏。埼玉県熊谷市では国内の観測史上最高となる気温41.1度を記録するなど、猛暑はとどまるところを知らない。
そこで例年以上に危惧されるのが熱中症だ。消防庁によると、7月16日から7月22日までの全国の熱中症による救急搬送人員は2万2647人にのぼり、誰がいつ熱中症になってもおかしくない状態と言える。
適切な対処をしなければ命にかかわることもある熱中症。その基本的な対策をおさらいすべく、「熱中症ゼロへ」というプロジェクトを推進する日本気象協会に話を聞いた。
Q1.今年の暑さの原因は何?
「太平洋高気圧の勢力が強く、さらに、太平洋高気圧よりも上空にあるチベット高気圧が、いつもの年よりも大陸から東へ張り出し、これら2つの高気圧が日本付近を覆ったことが酷暑の主な原因です。また、地球温暖化による影響も否定できません」
Q2.暑い日が多い今年、特に注意したいことは?
「暑い日が続くと、暑さによって疲れが溜まったり、寝苦しい夜によって睡眠不足になったりすることが考えられます。疲労の蓄積や睡眠不足でも熱中症の危険度が増しますので、バランスのよい食事やしっかりとした睡眠をとり、丈夫な体づくりを心がけましょう。
また、特に暑さの厳しい日、時間帯の外出はできる限り避け、涼しい室内で過ごすことをおすすめします。外出するときには、帽子や日傘を使って直射日光から体を守りましょう。飲み物を持ち歩き、こまめな水分・塩分の補給、こまめな休憩をとるようにしてください」
Q3.帽子やサングラスは熱中症対策としての効果はある?
「帽子については、直射日光が頭に当たることを避けることができ、日差しや熱から体を守ることにつながるため、熱中症の予防・対策の1つとして、「熱中症ゼロへ」プロジェクトでもおすすめしております。
サングラスについては、直接的に熱中症対策として効果があるというエビデンスを、当プロジェクトではあいにく持ち合わせておりません。ただ、直射日光が目に入ることで体調を崩す人もいますので、夏の外出時の体を守る対策としては有効であると思われます」
Q4.熱中症の発熱とそれ以外の体調不良とではどう違う?
「風邪のウイルスなどによる発熱では、ウイルスを攻撃し終わると上昇していた体温を下げるために発汗が見られますが、熱中症が重症化すると汗をかくことができない状態に陥り、体温が下がらないケースがあります。
また、風邪などによる発熱は、体が自ら意図して行っているものであるため、脳が設定した以上の体温(通常42度)にまで上昇することは通常ありませんが、熱中症の高体温では体温調節機能が失われているために、42度を超える高熱を生じ、生命に危険がおよぶことも起こりえます。
ただし、熱中症かどうかの診断は医師によって行われるものですので、上記のポイントが必ず当てはまるとは限りません。体調に異変を感じたら医療機関を受診するようにしてください」
Q5.熱中症が疑われる場合の初期対応は?
「熱中症による40度前後の高熱が見られる場合には、大至急救急車を呼び、体を冷やす応急処置を行いましょう。冷水入りのペットボトルなどをタオルやハンカチで巻き、首筋やわきの下といった体表近くの静脈(太い血管)の通るところを冷やすとより効果的です。
意識がはっきりしている場合にはスポーツドリンクなどを自分で飲んでもらい、様子を見ながら塩分を含む水分補給を行いますが、意識がはっきりしない場合には、無理な水分補給は避けましょう」
「熱中症ゼロへ」のウェブサイトでは、さらに詳しい熱中症の情報や対策が記されているので、こちらもぜひチェックしてほしい。また、7月21日(土)から8月31日(金)の間、東京・目白台の散歩を和傘を差して楽しみながら、熱中症予防と対策も学べる「目白台“涼”さんぽ~Cool Mejirodai~」など、「熱中症ゼロへ」プロジェクトが協力するイベントも開催されている。
夏は海や山、夏フェスやキャンプなど様々なアクティビティが楽しめる季節。だが、無理をして体調を崩しては元も子もない。気温によっては外出を見合わせることも必要だろう。夏ならではのおでかけを満喫するためにも、正しい知識を持って熱中症に備えよう!
国分洋平
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