話題沸騰中!世界を股にかける“ラーメンクリエーター”の新たな挑戦

東京ウォーカー

2018年7月13日、新宿ミロードにオープンした「MENSHO SAN FRANCISCO」。2年連続で「ミシュランUSA」に掲載された人気ラーメン店の逆上陸で、話題性だけでなく、細部にまでこだわったハイスペックな“RAMEN”で早くも人気を集めている。店主の庄野智治さんに話を聞いた。

看板メニュー「鶏白湯らぁめん」(860円)を差し出す庄野智治さん。今後はブラジル、バンコクなどへの出店も決まっている


世界でただ一人の“ラーメンクリエーター”


自ら“ラーメンクリエーター”を名乗り、人気店を次々と送り出してきた庄野さん。最近では某人気ドキュメンタリー番組の密着取材を受けるなど、その注目度はもはやラーメン界にとどまらない。そもそも“ラーメンクリエーター”とは何なのか?

「ラーメン店に限らず、飲食店が多店舗展開をする場合、コピーペーストしていくのが定石です。そのほうが楽だし、ブランディングもされているので失敗が少ない。でも僕はそれをせず、常に新しいことを創造していきたい。“ラーメンクリエーター”はそんな自分のベクトルであり、それを名乗ることで自身にプレッシャーをかけています」。

その言葉通り、「麺や 庄の」(市ヶ谷)をはじめ、現在日米で9店舗を展開する「MENSHO」グループには、同じ屋号・同じ味を出す店は2つとしてない。すべて庄野さんがコンセプトを考え、それぞれ異なるブランディングを行っている。その原動力こそが“ラーメンクリエーター”としてのプライドなのだ。そして実はこの肩書き、名乗れるのは庄野さんただ1人だけ。特許庁に商標登録している。

庄野さんの躍進は国内にとどまらず、2016年2月には海外にも進出。その1号店が、アメリカ・サンフランシスコで立ち上げた「MENSHO SAN FRANCISCO」である。

もちろん、ここでも新たなラーメンを創造。「アメリカではラーメン=豚骨と思っている人がほとんどだったので、その概念を打ち破りたかった」と、鶏白湯(パイタン)を看板メニューに据えた。するとオープン直後から人気が爆発。あのデビッド・ベッカムがプライベートジェットで食べに来たという伝説まで打ち立てた。

【写真を見る】2016年2月、サンフランシスコのユニオン・スクエアにオープンした「MENSHO SAN FRANCISCO」。現在も行列が絶えない人気店だ(写真提供:MENSHO)


サンフランシスコの人気店を東京逆上陸させた理由とは?


それから2年半後の2018年7月。その「MENSHO SAN FRANCISCO」が、なんと東京逆上陸を果たすことに。メニュー構成は基本的にサンフランシスコと一緒だが、「同じ店は作らない」というポリシーに則り、細部を巧みに変えている。一番の違いは食材。こちらも庄野さんのモットーである“地産地消”を実践し、全国各地から厳選した国産にこだわっている。サンフランシスコの“地産地消”食材として用いていた緑黄色野菜・ケールも然り。わざわざ国内の生産者を探し、長野から仕入れる徹底ぶりだ。

「鶏白湯らぁめん」(860円)と並び、ラーメン通の間で話題となっているのが「A5黒毛和牛醬油らぁめん」(1,950円)。サンフランシスコでは1杯39ドル(+税15%)という高額ながら、1日限定30杯がすぐに売り切れてしまうほどの人気メニューをさらにブラッシュアップさせた。

スープは鹿児島・枕崎産の本枯れカツオ節がメインの魚介ダシに、牛スジスープを合わせていて、醬油ダレには10年熟成の再仕込み醤油を使用。仕上げに追いガツオをすることで香り高く、芳醇な味わいが楽しめる。

そして主役となるのが、丼の表面を埋め尽くすリブロースの大判1枚肉。A5ランクの黒毛和牛を8時間かけて低温調理でしっとり仕上げている。霜降りならではの柔らかな肉質にうっとり。上品で甘い脂が舌の上でとろけていく。

「東京は世界一の“ラーメンの都”ですが、海外にもおいしいラーメンがあるということを伝えたく、今回逆上陸での出店を決めました」。

海を渡った“ラーメンクリエーター”が、アメリカ人を魅了した珠玉の一杯で東京ラーメン界に新たな革命を起こす!

「A5 黒毛和牛醬油らぁめん」(1,950円)。麺は中太平打ちの手もみで、栄養価が高く、ローカロリーのスーパーフード・キヌアを練り込んでいる


A5ランク黒毛和牛のリブロースを使用。そのサイズは長さ約30㎝、幅約15㎝にも及ぶ。食べ進めると肉の脂が溶け出し、スープの旨味もアップ


サンフランシスコでも人気の「抹茶鶏白湯らぁめん」(980円)。クリーミーな鶏白湯に宇治の抹茶をブレンド。渋みはなく、まろやかな味わい


「ゴボウとケールチップス」(250円)。緑黄色野菜のケールは健康維持にもよいと言われている。軽やかな食感でビールのつまみにピッタリ


“ラーメンクリエーター”として走り続ける庄野さん。気になる食材があれば、現地にまで足を運んでチェックし、新たな創作につなげている


取材・文=河合哲治郎/撮影=岩堀和彦

注目情報