7/10から大阪・国立国際美術館で「束芋:断面の世代」展開催! 現代美術家“束芋”に直撃インタビュー!(3)

関西ウォーカー

→(2)のつづき

―断面作品のなかで、アパートを切って見せてるものがありますよね?あれがすごく印象的で。

集合住宅のなかでも団地って、間取りにはある一定の規格があって、外観は違ってても間取りはだいたい同じフォーマットなんですよね。上の世代を見るとぱっと見て個性を感じるんですけど、私の周りを見ると、すごく奇抜な個性は感じない。だけど些細な違いや、ちょっとした個性にすごく執着している部分があると思うんですよ。同じ容器に入れることで、そのほんの少しの差がきっちり浮かび上がって見えてくるような気がするんです。だから団地を採用して、間取りはもちろん、置かれてる家具もそんなに大きな違いはないんだけど、それぞれの生活の有り様や人となりが見えてくることに期待しました。それぞれを全然違う容器に入れられてしまうとまた見えなくなってきちゃうと思うんですけど、私はそういう個々の差を私の方法で丁寧に表現することで、見えてくる個性というものに興味を持っているんです。

―画面ではなく、空間で作品を観るというのもすごく楽しみです。

今回はひとつの作品を空間のなかで見るだけじゃなくて、それぞれの空間をまとめた展覧会をひとつの作品のように見てもらいたいのです。この大きな作品のなかにいくつかの部屋があるような感じでまわっていただけるんじゃないかなと思ってます。この構成を体験していただくことでより私の思い描いてる構造を理解していただけると大いに期待しています。

―なんだか自分と作品が同化しそうですよね。動画で、しかも広い空間を使って観るわけですから。

そうなってもらえればと思います。いま自分がどこに立っているかっていう自覚を持ち、どこの世界で区切って話をするか(例えば今だったら美術館があって美術館の周りには大阪っていうのがあって、その周りには日本があって、宇宙があって…その間には社会っていうもっと思想的な区切りっていうものがあって)でいろんなことが変わってくると思うんですけど、今回の各作品は、それぞれのどこの世界で区切っているかというのが重要になっています。鑑賞者の方々も、作品のなかで自分の身体を大きく感じたり小さく感じたりして楽しんでいただけるんじゃないかなと思ってます。

(取材・文=三好千夏)

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http://news.walkerplus.com/2010/0708/32/

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