8月10日(金)~12日(日)にかけて、東京ビッグサイトで開催される「コミックマーケット94(略称:コミケ94)」。世界最大規模の同人誌即売会であり、大型コスプレイベントとしても知られるコミケには、毎回、魅力的なコスプレイヤーが大勢参加し、話題を集めている。
そんなコミケ94に参加予定の人気コスプレイヤー・みったんさんに、コミケの魅力を直撃!数あるコスプレイベントの中でも、コミケとはコスプレイヤーにとって、どのような位置づけのイベントなのか?リアルな意見を聞かせてもらった。
――みったんさんは、コスプレイヤーのマネジメント事業を展開するブランド「L'erable(レラブル)」に所属され、仕事としても“コスプレ”に取り組まれていますが、そもそもどういった経緯で、コスプレを始められたのでしょう?
みったん:初めてコスプレをしたのは、友だちに誘われてアニクラ(アニメーション音楽に特化したクラブイベントの総称)に遊びに行ったときです。コスプレ参加OKのイベントで、すごく楽しくて。そこからコスプレにハマって、コミケや東京ゲームショウにも参加するようになりました。
――衣装は毎回、自分で作っているのですか?
みったん:衣装制作はあまり得意ではなくて…。既製品を買ってきて、自身のサイズに合うように調整するくらいですね。
その代わり…というわけではないですが、メイクにはかなりこだわっています。コスプレするキャラクターのいろんな画像を集めてきたり、他のレイヤーさんの写真と見比べたりしながら、メイクを徹底的に研究するのが好きなんですよ。
――イベント当日だけでなく、下準備にも楽しんで取り組まれているんですね。ところで、みったんさんはイベントに参加すれば毎回必ず、長蛇の列や囲みができるほどの人気コスプレイヤーですが、ご自身では、このように注目されるようになったのは、いつ頃からだと思われますか?
みったん:そんな、人気レイヤーと言われるほど大したものじゃないですよ(苦笑)。でも、ふり返ってみると、2015年の冬コミで『境界の彼方』に登場する栗山未来のコスプレをしてから、少しずつ名前を覚えてもらえるようになった気がします。個人撮影の依頼をいただくようになったのも、その頃からです。
――仕事としてコスプレに取り組むときと、プライベートで楽しむときでは、心がまえにも違いはあるのでしょうか?
みったん:プライベートでコスプレを楽しむ場合は、自分なりの解釈で、好きなように表現すればいいけど、仕事として取り組む場合は、誰が見ても“そのキャラクターの公式コスプレ”だと納得していただけるように、表情や仕草もとことん研究するようにしています。そこがいちばんの違いですね。
――そうして念入りに準備をしても、何かしらのトラブルが起こるのがコスプレイベントの常ですが、そのような事態に備えて、いつも持ち歩いている小道具はありますか?
みったん:つねに数種類のつけまつげを持ち歩いています。毎回、家でメイクの研究をして、どのつけまつげを使うか決めてからイベントに参加していますが、いざ会場で付けてみると、家で試したときとは印象が違う…ということが結構あるんですよ。
なので、いつでも付け替えられるように、3、4種類のつけまつげを常備しています。ちなみに写真を撮るときは、ちょうどいいと思う長さより、ちょっと長めのつけまつげを選んだほうが見栄えよく写るので、気になる方はぜひ試してみてください。
コミケでは出展ブースにも遊びに来てほしい!
――数年前まで、コスプレというと“オタク文化の象徴”といった捉えられ方が一般的でしたが、この1~2年で風向きも変わり、従来よりも幅広い層に受け入れられるカルチャーになってきたように思います。こうした昨今の、コスプレを取り巻く環境の変化について、率直なご意見を聞かせてください。
みったん:個人的な意見ですけど、世の中にコスプレが認知されて、趣味として楽しんでいることを公表しやすくなったのは嬉しいですね。
それまでは、ちょっとマイナスなイメージで捉えられることが多かったけど、今では堂々と、コスプレイヤーであることを公言できるので、仕事としてコスプレに携わりたい人にとっては、活動の幅はますます広がっていくと思います。
――そうした盛り上がりを受けて、昨今では全国で、大小さまざまなコスプレイベントが定期的に開催されていますが、その中でコミケとは、コスプレイヤーにとって、どのような位置づけのイベントなのでしょう?
みったん:どのイベントにも、それぞれの良さ、楽しさがありますが、コスプレイヤーとして参加した場合、写真を撮ってもらって終了…ということが多いんです。
でもコミケだと、自分のブースも出展できるので、そこで販売している写真集やDVD-ROMをきっかけに、より深く、他のレイヤーさんやファンの方と交流できるのがいいですね。コスプレエリアだと、どのレイヤーさんも撮影の応対で慌ただしいので、じつはレイヤー同士の交流って、なかなかできないんですよ。
そういう意味でも、ブースだとお互いにROMを交換したりして、ゆっくりお話しできるので、そこで仲良くなって、いっしょに“併せ”をするようになる…というケースも多いですね。
コスプレイヤーならではのPR事業に興味津々
――それでは、みったんさんが所属されている「L'erable」での活動についてもお聞きしたいと思います。コスプレイヤーのキャスティングをはじめ、インフルエンサーとしての商品PR、メディアプランニング、新規商品・イベント企画のプロデュースなどが主な事業内容…とのことですが、みったんさん自身は同ブランドにおいて、今後やってみたいことはありますか?
みったん:直接、コスプレとは関係ないんですけど、ファッションやコスメに興味があるので、そうした商品のPR展開に、何らかの形で関われたらいいな…と、漠然と考えています。新規商品のプロデュース事業も、おもしろそうですね。
――仕事としてコスプレに取り組む“プロコスプレイヤー”となると、見た目を磨くだけでなく、他にもどのような素養が必要になると思われますか?
みったん:今後は写真を撮っていただくだけでなく、人前に出て喋る能力も、コスプレイヤーには求められるようになると思うので、話術を磨く必要があると考えています。あくまでも、個人的な見解ですけど。
――貴重なご意見、ありがとうございます。ところで、個人的に興味のある質問なのですが、この夏、もし時間ができたら、行ってみたいお出かけスポットはありますか?
みったん:今年の6月に、L'érableのメンバーで福岡旅行に行ってきたんですけど、これが本当に楽しくて。「COMIC CITY福岡」というコスプレイベントに参加して、その後、いろんな観光地も巡りました。
そのときに食べた「元祖博多めんたい重」がめちゃくちゃ美味しかったので、この夏…は難しいですが、またぜひ、福岡には遊びに行きたいですね。
――それでは最後の質問になりますが、ご自身にとって、コスプレイヤー“みったん”とはどのような存在なのでしょう?
みったん:じつは私、ふだんは看護師をしているので、素の状態だと堅いといいますか、何ごとも真面目に考えてしまって、テンションを上げて楽しむのが下手なんです。なので最初の頃は、せっかくコスプレイベントに参加しても、心から楽しむことができなくて、それをもどかしく感じていて…。
でも、このままじゃいけないと思って、意識的に明るいキャラクターを演じていくうちに、コスプレイヤーとしての今の自分が形成されていった…という感じです。
――自分の殻を破るために、ポジティブな性格のキャラクター像を作り上げたと?
みったん:そうですね。でも、最初は“明るい性格のキャラクター”だったのが、だんだんと“皆から甘やかされる妹ポジション”に変わっていって、最近では、“ひとりじゃ何もできないポンコツキャラ”扱いになっているんです(苦笑)。この誤解を解くことが、いま一番の課題ですね。
今年も夏コミには遊びに行きますので、そこで私がポンコツじゃないことを、他のレイヤーさんやカメラマンさんにもアピールしたいと思います!
ソムタム田井