シンガーソングライターの加藤ミリヤが、10枚目のオリジナルアルバムで、20代最後となる「Femme Fatale」を完成させた。自身も“最高傑作”と謳う今作で、彼女はなにを表現し、なにを訴えたのか。その思いを地元・名古屋で明かしてくれた。
――“運命の女性”という意味のタイトル。どんな思いから付けたのですか?
「1人の女性が、1人の男性に対して強い愛を伝えるような作品にしたかったんです。言葉自体はサディスティックな意味合いが強いんですけど、私にとってはポジティブな解釈で。“自分のこの愛は、一生本物であり続ける”という女性のまっすぐな気持ちを表現しています」
――このテーマは、20代最後の作品であるということにもリンクしている?
「そうですね。今作は自分にとって特別で、ある意味で締めくくりたいという気持ちがありました。私にとってのアルバム制作は、1年間の成長を表現するもの。今作では今の私が持っているアイデアを全部見せたかったし、その表現力を証明することも大切にしましたね」
――先行曲の「新約ディアロンリーガール feat. ECD」。反響が大きかったのでは?
「本当にたくさんの人が聴いてくれました。もともと、私が高校1年生でリリースした『ディア ロンリーガール』があって、それは同世代の女の子が私に注目してくれるきっかけになった曲。10年以上たって、“あの時に抱えていた孤独をもう一度考えてみよう”と再構築したのが『新約』です。以前は涙を隠すために歌っていた曲が、今は“泣いたっていいんだよ”という曲に変わった。私は『新約』を通して自分が大人になったことを実感できたし、ファンも同じように受け止めてくれたんだと思います」
――「私の名はイノセンス」からも、ミリヤさんの優しさのようなものを感じました。
「この曲で、優しさがないと人と過ごせないということを再認識することができました。嫌なことがあっても人を許すとか、そういうことを経験してきて、この曲にたどり着いたからかもしれないですね」
――30代としての活動には、どんな未来が見えていますか?
「今までの自分がやってきたことがすべてだとは思っていなくて。例えば、私が作った曲を誰かが歌っているのを聴いてみたいという気持ちもありますね。でも、歌=人間性だから、まずはそこをもっと高めていかないといけないと思っています」
東海ウォーカー編集部