和月伸宏の「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」は、シリーズ累計発行部数6000万部を超える大ヒットマンガだ。1996年にアニメ化、2012年、14年に3作の実写映画が公開、16年には小池修一郎の脚本・演出で宝塚歌劇団が初めて舞台化した。今回、小池が新橋演舞場・大阪松竹座に初登場し、新演出で魅せる新たなミュージカル、浪漫活劇「るろうに剣心」を上演する。
物語の中心となるのは、明治11年の東京を舞台にした薫風の章。主人公の流浪人(るろうにん)となった緋村剣心を軸に、幕末の動乱を生き抜いた者たちの新たな戦いを描く。宝塚歌劇団の舞台で主演した早霧せいなが、退団後に再び緋村剣心を演じる。また、“人を生かす剣”を信じる神谷活心流師範代・神谷 薫役には、上白石萌歌。ほかに、新たな登場人物を演じる松岡 充や、廣瀬友祐、三浦涼介、上山竜治、植原卓也、愛原実花、松岡広大らの出演で。
現在公開中のアニメーション映画『未来のミライ』の声優としても注目される上白石萌歌が来阪、本格的稽古を控え、取材会で意気込みを語った。撮影中のプチ取材、一問一答も紹介。
【作品と神谷 薫について】
今回お話をいただいてから、アニメ版を見ました。漫画は今も読んでいる最中です。世界中の方に愛されている魅力を、改めて実感しています。神谷薫は、初めて見た時になんて美少女なんだろうと(笑)。凛としていて、恐れを知らない部分もありながら、剣心に出会い心が揺れる女の子らしさもあって、すごくかわいい。いろんな顔を持っている子だと思うので、小池先生のもとで私らしい神谷薫が演じられればと思っています。
【殺陣と袴のこと】
殺陣も、舞台で袴をはくのも初めてなので、すごく大きな挑戦で、今まさに竹刀を使ってお稽古しています。殺陣にはすごく憧れを持っていました、カッコイイので(笑)。今回の舞台は、袴や竹刀といったアイテムがすごく役に近づけてくれると思います。早霧さんをはじめ、みなさんの足を引っ張らないように、頑張ってお稽古していきます。
◆STAGE 浪漫活劇「るろうに剣心」※チケット発売中
期間:11/15(木)~24(土)
会場:大阪松竹座
原作:和月伸宏「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」(集英社ジャンプ コミックス刊)
脚本・演出:小池修一郎(宝塚歌劇団)
出演:早霧せいな、上白石萌歌/
廣瀬友祐、三浦涼介、上山竜治、植原卓也、愛原実花、松岡広大/
松岡 充ほか
価格:1等席(1・2階)¥13,000 2等席(3階) ¥8,000
問:梅田芸術劇場(電話:06・6377・3800)
【早霧せいなについて】
宝塚歌劇で上演された「るろうに剣心」の舞台はDVDで拝見したのですが、素晴らしかったです。先日殺陣のお稽古で早霧さんとご一緒した際、まさに「るろうに剣心」の世界からそのまま飛び出してきたような、剣心そのもので、キレがあってとてもカッコよかったです! どのように動けば軽やかに見えるかなど、レクチャーしていただきました。
【歌について】
この公演に向けて、もっと空間を大きく使って歌えればと、特訓を始めました。お芝居だけでは伝わり切れない部分も、歌できっと伝わると思っているので、秋までにどんどん強化していこうと思っています。
【ミュージカルについて】
小さい頃から舞台を観ることが好きで、ミュージカルや宝塚歌劇も何度か観ていました。私は、(第7回)「東宝シンデレラ」オーディションを受けたことが、この世界に入ったきっかけなのですが、こういったお仕事をするとは小さい頃は思ってもいなかったので、自分が今こうして舞台に立っていることがすごく不思議な気持ちです。
【舞台と映像】
映像など、いろいろなことに挑戦させていただいている中で、舞台は自分を解放して立っている瞬間が最高に好きです。ダイレクトに生でお客様に届く感じや、お客様の反応によっても毎公演空気感が違ったりするのが、すごく新鮮です。同じものがひとつもなく、変わりゆく感じが魅力的だなと思います。
舞台の開演観劇前は、これからどんなことが起こるんだろうという期待や、席に着いて照明が落ち暗くなっていく瞬間が、映画とはまた違ったワクワク感がありますね。さらに音楽や歌、踊りが加わると、生の迫力は舞台が一番強いなと思います。
【演出・小池修一郎氏と】
小池先生は、ミュージカルが好きな私にとって、本当に憧れの存在で。まさか自分が小池先生とご一緒できるなんて思っていなかったのですが、実際にお会いしてお話しをすると、いろんなことを伝えてくださって。この秋は自分のお芝居や舞台に対する考え方を、小池先生のご指導を通して見つめ直せるかと思います。
【花道のある劇場で】
新橋演舞場へは、先日初めて行きました。休憩中に、みなさんがお弁当を広げている光景が、私にとってはすごく新鮮で。あ、いいんだと思って(笑)。夫婦でいらしている方など、休みの日の贅沢な時間のような、おしゃれな感じがして、すごく素敵だと思いました。花道のある劇場は、お客さまとの距離感がすごく近く感じるので、本当にこの作品にぴったりだと思います。
【「未来のミライ」で声優も】
今思うと、神谷薫だったり、4歳の男の子だったり、いろんなことに挑戦をさせていただく年だなと思います。アニメーションに初めて参加させていただき、声だけのお芝居がどれだけ難しいか、とても勉強になりました。自分とはまったく異なる人物を演じられるという、アニメーションの魅力と可能性を感じました。これからも、いろんなジャンルに飛び込んで行きたいですね。
【お姉さん(萌音)との関係は?】
すごく不思議な関係というか…お互い、一番仲のいい親友だと思っています。同じ仕事をする者として刺激をもらう人だし、何でも相談できる存在なので、すごく感謝しています。姉ももうすぐ「ナイツ・テイル-騎士物語-」(9/18㊋~10/15㊊ 梅田芸術劇場メインホール)という舞台がありますが、お互いに舞台や映像などいろいろなジャンルでお仕事をさせていただいているので、それぞれの難しさを痛感して、共有し合っています。でも、2人で「舞台っていいよね」って話すことが多いですね。だから「るろ剣」も観に来てくれたらうれしいなと思っています。
【お客様へのメッセージ】
私も今からすごく胸が高鳴ります。舞台の上は、私が一番自由になれる場所。漫画から飛び出して、さらに迫力のある舞台をお見せできればいいなと思っています。またきっと新しい「るろうに剣心」を皆さんにお届けできると思うので、ぜひ秋まで楽しみにお待ちいただけるとうれしいです。
【大阪に来たら行く所は?】
大阪はあまり詳しくはないのですが、心斎橋には行ったことがあります。「たこ焼き やまちゃん」にも行きました。心斎橋をもっと巡りたいですね。それから、花火も見たいです!
【夢はなんですか?もう叶った?】
いえ、まだまだ途中です(笑)。う~ん。。この前「未来のミライ」でカンヌ国際映画祭に行った時、「すごい! 世界って広いな」と思いました。だから、これから語学も勉強したいし、もっと広い視野でお芝居をして、またカンヌに戻れたら最高だろうなって思うので。一番大きな夢はそれですね。カンヌの赤じゅうたんを主役として歩きたい!夢は大きく!(笑)。
高橋晴代