丹後半島の北端に位置する伊根。日本海というと“荒波”というイメージが強いが、ここは三方を山に囲まれ、さらに南に浮かぶ青島が天然の防波堤の役割を果たしているので、まるで湖のように波も穏やか。その特徴を生かし、古くから漁師町として栄えてきた。
町内には舟屋の風情を残しながらリノベートした、情緒ある空間でランチを楽しめる宿や台湾茶のカフェ、銘酒を販売する蔵元など、立ち寄りたいスポットも多い。ゆっくりと時が流れ、初めてでもどこか懐かしさを感じる漁師町で、のんびりした癒しの一日を過ごそう。<※情報は関西ウォーカー(2018年8月10日発売号)より>
伊根はこんな海街
人口は約2100人。江戸時代には富山県の氷見、五島列島の三井楽と並び、日本三大鰤漁場と呼ばれるなど、古くから好漁場として知られる。
そんな海だからこそ生まれたのが「舟屋」。1階はそのまま海へと漁に出られる舟置き場、2階が二次的な居室という、独特の伝統的建造物で、伊根湾の周囲約5㎞にわたって約230軒が海辺ぎりぎりに立ち並んでいる様は、まるでまちが海に浮かんでいるかのよう。現在立ち並ぶ舟屋のほとんどは、明治中期から昭和初期に建てられたもの。
<11時>伊勢湾めぐり 遊覧船
伊根の魅力を満喫するなら、まずは遊覧船での伊根湾巡りを。伊根は漁村として全国で初めて国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されているが、それは海や舟屋、背後の山などまちすべての景観を含めてのもの。それらすべてを一望できる遊覧船からの絶景は、ぜひ堪能したい。
「伊根湾めぐり 遊覧船」で、伊根湾を約25分かけて周遊。陸からではわからない舟屋の姿も、水上ならしっかり正面から見られる。
乗船場の丹後海陸交通日出駅ではカモメ用のお菓子(100円)が販売されているので、エサをやりながら巡るのもいいかも。
■伊根湾めぐり 遊覧船<住所:京都府与謝郡伊根町字日出11 電話:0772-32-0009 時間:9:00〜16:30 ※季節により異なる(毎時0分、30分に運航。繁忙期、多客時には15分毎に運航) 休み:なし 料金:680円 駐車場:45台(無料) アクセス:京都縦貫自動車道与謝天橋立ICより車で30分>
<12時>WATER FRONT INN 与謝荘
WATER FRONT INN 与謝荘は舟屋を改装した60年以上続く宿。メニューは舟屋定食1種のみだが、その日捕れたばかりの地元の魚を使ったランチは日帰り利用もOK(前日までに要予約)。目の前に広がる海と舟屋を見ながら、逸品料理を満喫して。
ランチは1階奥にある舟置き場だった場所を改装した食事処で。まるで海の中にいるかのような気分でランチを堪能できる。
■WATER FRONT INN 与謝荘<住所:京都府与謝郡伊根町字平田507 電話:0772-32-0278 時間:12:00〜14:00(LOフード13:00、ドリンク13:30) 休み:不定休 席数:22席 タバコ:禁煙 駐車場:8台(無料) アクセス:京都縦貫自動車道与謝天橋立ICより車で35分>
<13時>向井酒造
260年以上続く老舗。古代米の赤米を使ったロゼワインのようなピンク色の日本酒「伊根満開」で知られるが、その銘酒の酒かすを練り込んだ酒粕アイスは、夏の伊根散策のお供にピッタリ。おみやげに日本酒の購入も忘れずに。
酒蔵見学は行っていないので注意。
■向井酒造<住所:京都府与謝郡伊根町平田67 電話:0772-32-0003 時間:9:00〜17:00 休み:なし 駐車場:町営駐車場を利用 アクセス:京都縦貫自動車道与謝天橋立ICより車で35分>
<13時30分>台湾茶専門店 靑竈(ちんざお)
台湾茶専門店 靑竈では、現地の農家から直接仕入れる茶葉を使った台湾茶が約80種そろう。海の見える秘密基地のような雰囲気の店内で味わう、いれ方も台湾流にこだわったお茶は味も香りも格別。居心地がよすぎてつい長居してしまうはず。
最初はグラスに入れ、お茶は飲まずに別の茶器に移し、グラスに残ったお茶の香りを堪能。
BGMは波の音とカモメの鳴き声だけ。
■台湾茶専門店 靑竈<住所:京都府与謝郡伊根町平田69 電話:090-8528-3518 時間:10:00~19:00 休み:不定休 席数:6〜10席 タバコ:禁煙 駐車場:町営駐車場を利用 アクセス:京都縦貫自動車道宮津橋立ICより車で35分>
<15時>道の駅 舟屋の里 伊根
「道の駅 舟屋の里 伊根」は新鮮な魚介料理を中心とした、レストラン舟屋などが並ぶ、伊根湾を一望できる高台にある道の駅。伊根の名産品が並ぶみやげ物店伊根浦漁業では、アジ煮干や片口煮干(各550円)などの海産物のおみやげを購入しよう。
定置網漁で捕れた小魚の干魚など、伊根の海の幸が満載。展望台があり眺望も抜群!
サバやアジ、トビウオ、ワカメ、ヤリイカといった地元で捕れた旬の魚介の加工品が豊富にそろう。
<15時40分>新井(にい)の棚田
新井崎地区にある新井の棚田は、かつてその数が多かったことから新井の千枚田と呼ばれている名所。一面緑の夏の棚田と、遠くに冠島と沓島などを見渡せる青い日本海のコントラストは心癒される感動的な美しさ。
■新井の棚田<住所:京都府与謝郡伊根町新井 電話:0772-32-0277(伊根町観光案内所) 時間:見学自由 料金:無料 駐車場:なし アクセス:京都縦貫自動車道与謝天橋立ICより車で40分>
伊根を巡るならコチラに注目!
今年4月に伊根浦公園前に移転。地元を知り尽くしたコンシェルジュが常駐し観光案内をしてくれるほか、伊根湾を巡る海上タクシーのあっせんや、魚釣りなど体験プランの申込にも対応してくれる。
■伊根町観光案内所<住所:京都府与謝郡伊根町字平田491 電話:0772-32-0277 時間:9:00〜17:00 休み:なし 駐車場:町営駐車場を利用 アクセス:京都縦貫自動車道与謝天橋立ICより車で35分>
伊根の散策をサポートしてくれる無料のレンタサイクル。町内の5か所に無人のサイクルポートがあり、自由に自転車を借りられる。自転車は、借りたサイクルポートとは別の場所に返却してもOK!
■コミュニティサイクル<設置場所:伊根湾めぐり乗船場の丹後海陸交通日出駅、伊根浦公園前駐輪場、伊根郵便局、道の駅 舟屋の里伊根、舟屋日和 電話:0772-32-0277(伊根町観光案内所) 時間:自由 休み:なし 料金:無料>
関西ウォーカー編集部