なぜ外国人に人気?YOUを魅了するエリアの仕掛け人に聞いたヒットの理由

関西ウォーカー

外国人で沸くエリアはどうして人気になった?盛況が続く商店街や各施設の仕掛け人に、訪日客のハートをつかんだヒットの理由を直撃!<※情報は関西ウォーカー(2018年8月28日発売号)より>

食とショッピングのYOUでにぎわう道頓堀界隈はなぜ人気?


タコ焼きや串カツなどの大阪名物をはじめ、最近は牛や海鮮の串焼きなども販売され、食べ歩きの街へと変貌した道頓堀。もはや日本人を探すのが難しいほど、外国人観光客でにぎわう。その人気の理由を道頓堀商店会の事務局長・北辻さんと、道頓堀ZAZAを運営する吉元さん、今井さんの3人に語ってもらった。

ここはどこ?と思うほど、多言語が飛び交う道頓堀


「私が商店会の事務局に就いて4年目ですが、この間だけでも外国人は倍以上になっています」と北辻さん。現在、1日約10万人が道頓堀を訪れ、その半分が外国人だという。

「実は10年くらい前、かなり人が減った時期がありました。開業当時は話題をさらった極樂商店街が閉店を余儀なくされ、リバークルーズも乗船客がまばら。それが2011年にLCCが就航して外国人が増え始めて、そこからは増える一方なんです」とは吉元さん。現在はリバークルーズも連日満席で、うそのように人が増えたという。

【写真を見る】タコ焼き、カニ、クレープ… 食べ歩きできる街に変貌


「道頓堀でタコ焼きを食べている写真を撮ってSNSにアップすることが、この場所に来たあかしになっています」と北辻さん。また、ツアー客は時間が少ないことから、タコ焼きやクレープなどの食べ歩きが好まれ、それに対応する屋台が増えるという循環が人気の理由だ。

川沿いの遊歩道・とんぼりリバーウォークも外国人でにぎわう


しかし歓迎ムードだけではない。「外国人向けの店が増えたのはいいのですが、もともと来ていた日本人が少なくなりました」と今井さん。芝居を観てごはんを食べて帰る“芝居の街”としての道頓堀が影を潜めてしまったという。

そこで、本来の姿を復活させようと、日本人はもちろん外国人にも楽しめるフードミュージカル「GOTTA」を6月より開始。さらに今後は、寄席やミュージカルを観て歴史を学べる、まち歩きツアーも企画している。

道頓堀ZAZAで連日公演中の「GOTTA」


大阪の食をテーマにした新感覚のライブエンタテインメント。

3大展望台は大盛況!YOUは高い所が大好き!?


食べ歩きやショッピングに加えて、外国人に人気なのが“高い所”。「天守閣近くの城南停留所に着く関空からのバスがあるため、大阪に来てすぐに天守閣に上がる人が多いんです」とは大阪城パークマネジメントの伊藤さん。これから数日滞在する大阪の街を俯瞰で見ておく人が多い印象だという。

天守閣からの眺めを楽しむだけでなく、天守閣をバックに写真を撮る観光客も多い


天守閣は17時に閉館するため観光客は昼に集中するが、その一方で夕方に人気なのが梅田スカイビルだ。

梅田スカイビル「空中庭園展望台」には行列が


梅田スカイビル「空中庭園展望台」は、周遊パスでの無料入場が終了になる18時前になるといっきに行列ができる。

「18時までは大阪周遊パス提示で空中庭園展望台の入場が無料になるので、その直前が混雑します」と積水ハウス梅田オペレーションの高瀬さん。「日本の夕陽百選」の光景をひと目見ようと、カメラ片手に待ち構える外国人も多いそう。

打って変わって夜に人気なのがあべのハルカス。「大阪を一望できる高さ300mからの夜景はもちろんですが、冬の3Dプロジェクションマッピングや夜間営業を開始した『エッジ・ザ・ハルカス』は反響が高い」と近鉄不動産の喜多さん。外国人もしっかりと下調べしていて、同じ展望台でも楽しみ方は三者三様だ。

地上300mのスリルと夜景が楽しめる


2018年7月から始まった「エッジ・ザ・ハルカス」の夜間営業が瞬く間に大人気に。

SNSで来場者が宣伝!ユニバーサル・スタジオ・ジャパン


関空調査で、大阪に来た目的として多かったのが「ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行く」こと。「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッターがオープンした2014年からグッと外国人が増え、2016年にザ・フライング・ダイナソー、2017年にミニオン・パークができて、さらに増えました」とユー・エス・ジェイの中村さん。

海外でも大々的に宣伝しているかと思いきや「海外でテレビCMはやっていません。SNSの影響が大きい」。パーク内にはフォトジェニックな場所が多く、投稿された写真を見て「私も行きたい」と自然拡散されるそう。「海外のトップブロガーを招待することも」と中村さんは話す。SNSが海外でのパークの人気を支えている。

地元商店街が元気!黒門市場&新世界が変身


大阪の2つの商店街が注目を浴びている。「来訪者は1日約3万人、その9割が東南アジア」と黒門市場の理事長・山本さん。

黒門市場は神戸牛やトロをほおばる外国人が満載


6年前は1日数千人程度だったが、今では歩くのが困難なほどのにぎわいだ。「肉や海鮮を店先で食べられるようにしたら、SNSで拡散された」と、屋台文化が根強い東南アジアの観光客にウケた。

一方、下町の雰囲気が色濃く残る新世界も好況。

新世界の串カツは外国人にも絶大な人気


「JR、南海、地下鉄が乗り入れる便利さや、安宿が多いことも関係している」と新世界中振興町会会長・近藤さん。共に難波や日本橋に近く、下町の雰囲気が味わえると、人気が集まる。

業界人も注目!驚きの盛り上がり!大阪はココがスゴイ


旅行や街づくりに携わるプロたちに、ますます盛り上がるインバウンド事情を聞いた。

【大阪の”食”が大きなコンテンツ】

インバウンド対策アドバイザー 牧 香代子(有限会社リンクコーポレーション)


「ビザの緩和やLCC就航など外国人観光客増加のきっかけはたくさんありますが、コンテンツがおもしろくなければ、また来ようとは思わないですよね。大阪は"食"が大きなコンテンツになっていて、なにを食べても安くておいしいし、街に活気があるでしょ。最近は、SNSの影響で私たちも知らないようなローカルなお店に行く方も多くて、外国人に対応するお店もますます増えるでしょうね」

【乗り放題チケットの活用がじょうず】

旅行会社 松岡日出人(JTB 西日本インバウンド部 営業統括担当部長)


「関西ツーリストインフォメーションセンターを心斎橋に設立した2015年ごろからいっきに外国人が増えましたね。人気はUSJ、あとは大阪城などを観光して道頓堀で食事して、心斎橋でショッピングが定番です。皆さん大阪周遊パスやスルッとKANSAIなどの交通パスをじょうずに利用していますね。“海遊館+大阪メトロ”や“ひらパー+京阪電車”などの入場券と交通パスのセットも発売され、売れ行きは順調ですよ」

【大阪を拠点に各地を訪れる人が増加】

旅行代理店 清水究吾(日本旅行国際旅行事業本部 西日本駐在マネージャー)


「JR大阪駅にインバウンドカウンターを設けて外国人観光客の案内をしていますが、前年と比べて120〜130%ぐらいの来店者と増えています。京都や神戸、姫路はもちろん、北は敦賀、西は播州赤穂まで乗り放題になる、JRを利用した便利なレールパスが人気があります。最近では、城崎や倉敷といった遠方まで足を延ばせるパスの販売も増えていて、関西のさまざまなスポットに訪れているようです」

スペシャルインタビュー「大阪のインバウンドは2000万人時代が到来!」


大阪観光局局長の溝畑 宏


東京大学法学部卒業後、旧自治省(現総務省)に入省。Jリーグ大分トリニータのゼネラルマネージャーや観光庁長官などを経て、2015年より大阪観光局局長に。大阪を「24時間観光都市」「関西・西日本のハブ」「多様性ある街」にすることを目標に、精力的に活動中!

大阪は粉もんやカレー、ラーメンなど食のバリエーションが多く、クラブやバー、マッサージ、美容サロンなど、娯楽も楽しめます。関西には国宝の約8割が集積しており、大阪はその中心にあることから2017年には1100万人もの外国人が大阪を訪れました。大阪での外国人の消費額は4年間で約4.2倍に伸びており、これは、東京の2.7倍と比較しても著しく高い数字で、大阪の経済に好循環が生まれています。2019年には、ラグビーのワールドカップやG20もあり、ますます大阪が注目を浴びることでしょう。この数字をさらに伸ばし、世界に突き抜けた国際観光文化都市を目指したいと思っています!

関西ウォーカー編集部

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