――ここでちょっとバスケットボールの話から離れます。東海大学時代から数えて6年目を迎える神奈川ライフですけが、お気に入りのスポットなどはありますか。
「大学の時は…(周囲に)何もないっすね(笑)。この間のオフは『ラゾーナ川崎プラザ』に映画を見に行きました。『容疑者Xの献身』ですけど、意外とおもしろくて、ちょっと泣きそうになりました」
――けっこう涙もろい方ですか。
「いえ、頑張ります(笑)。泣きそうにはなるんですけど、泣かないように頑張ってます。(ラゾーナ川崎プラザは)すごく近いですし、便利なんで。けっこう何でもそろうからいっちゃいますね。食事をして、買い物をして。そんな感じですね」
――横浜や、あるいは都内へは。
「あまり…ホントに出不精なので。あまり遠出するのが好きじゃないというか。(部屋で)ビデオ見たり、本読んだり、マンガ読んだり。マンガの方が多いですね。『ジャイアント・キリング』というサッカーのマンガがあって。『週刊モーニング』に連載されているんですけど、いまそれがけっこう好きですね。小説もたまには読みます。最近では村上龍さんの『半島を出よ』がおもしろかったですね」
――もしかすると巨人ファン?
「いや、阪神です。だから、今シーズンはすごく残念です。(予感は)していましたけど…福井の実家の父が熱烈な阪神ファンで、子供のころから影響されちゃいました。テレビ見ながら手を叩いて『よっしゃぁ』と叫んでいましたからね。(独走していた夏ぐらいまでは)父もホント、気分がよさそうだったんですけどね(笑)」
――北京五輪はけっこう見ていたのですか。
「テレビでやっていたのはだいたい。やっぱりバスケットを見ましたね。思い出に残るというわけじゃないですけど、大勢の観客が盛り上がっていて、レベルの高い人たちの中に自分たちが入れればおもしろいだろうな、と思いながら見ていました。何年も前まではアメリカが独走していましたけど、今回もアメリカがすばらしい選手を揃えたからといって以前のようにダントツで勝つことはできないし、その分、ほかの国、ヨーロッパの国々が伸びているということを僕らは見習わなきゃいけない。そういった努力をしている国をもって見て、僕らのモチベーションにつなげていかないといけない」
――実際、アテネ五輪ではアメリカがアルゼンチンに負けました。
「ただアメリカのプレーを見てすごいな、と思うだけじゃなくて。そういう部分から僕らが学ぶことなく、いままで同様に閉鎖的にやっていけば、世界からもっともっと置き去りにされてしまう。その意味で(アテネ五輪のアルゼンチン対アメリカは)ものすごく刺激のある試合でした」
――バスケットボールに対する崇高な思いが伝わってきます。
「これまでもほとんどバスケットボール一色の生活をしてきたので、いまさらほかのことをやろうとは思っていないんですけど、日本のバスケットが世界的に遅れているという現状を何とかしたいというのが僕の中にあることは事実ですね。選手としてもそうですし、その後に指導者になったとしても、日本が世界で戦えるようにするには何をどうすればいいか、というモノを求め続けていきたいと思っています」
――いま現在では具体的に何が足りないと感じていますか。
「そうですね…バスケットボールに対するハングリーさというか。試合だけじゃなくて練習から、あるいは日常の生活から勝ちを求めていく姿勢というものがほかの国と比べてどうかと。基本となるところから負けていると思います。その部分で負けたらどうにもなりませんから」
――バスケットボールを初めてもう18年になります。その魅力とは。
「野球とかサッカーだと運というわけじゃないですけど、もちろん実力も関係ありますけど、ちょっとしたことで勝敗がひっくり返ったりすることがあるじゃないですか。バスケットボールは頑張った分がそのまま結果に表れる。頑張ったら頑張った分だけいい思いができるスポーツだと。それがはっきり表れるスポーツかな、と感じています」
――頑張るという意味では、石崎選手の将来の目標には日本代表入りがある、と。
「北京五輪を見ていても、ここで試合をしたいという思いはすごく強まりましたし、そのためには自分の力をもっと伸ばさないといけない。それ以上に日本の力というのはまだ五輪に出るまでには至らないので、もっともっとやるべきことは多い。もちろん五輪や世界選手権を目指しますけど、僕らはもっともっと下の段階で頑張らないといけない。そういう時期というか、上ばかりを見ずに、もっと自分たちの現時点の力というのをちゃんと自覚した上で頑張っていかなきゃいけないと思っています」