お金と幸せの難しい関係...。地味な”3憶円当選男”×クセ者すぎる”億男”たち!<連載/ウワサの映画 Vol.54>

2018年10月5日 8:00更新

東海ウォーカー おおまえ

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「3憶円で何しよう~、ウフフ」なんて楽しい妄想タイムも束の間、「全額持ち逃げされた! 親友に~(号泣)」と地獄のドン底に直行…。気付けば主人公と共に”お金のジェットコースター体験”に巻き込まれちゃった、映画「億男」。お金で買えない幸せ”が、金の亡者な私の心をチクチクと攻撃してくる...うぅ...。ブッ飛んだ”億男”(=億万長者)たちが指南する”マネー道”も深かった!

2015年「本屋大賞」にノミネートされた川村元気による同名小説が原作。監督は「るろうに剣心」シリーズの大友啓史で、佐藤 健(右)とは4作目のタッグです!
©2018 映画「億男」製作委員会

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主人公である図書館司書の一男(佐藤 健)は、兄が作った3,000万円の借金を返すため、夜もパン工場で働く日々。窮屈にしか生きられない彼との離婚を決意した妻・万左子(黒木 華)&娘とは別居中です。踏んだり蹴ったりの一男でしたが、突然、3憶円の宝くじが当選! これで家族の絆が修復できると喜ぶ一方、宝くじ高額当選者たちが辿った悲惨な人生を知り怖くなった彼は、起業し億万長者となった大学時代の親友・九十九(=つくも、高橋一生)に助言を求めることに。久々の再会と九十九プロデュースの豪遊に浮かれて酔いつぶれる一男。そして翌朝目覚めると、3億円と九十九が消えていた…!!! その行方を探るため、”億男”=億万長者たちを渡り歩く、お金と幸せを巡る一男の冒険が始まるのでした…。

派手なパーティに舞い上がる一男。翌朝の信じがたい事態にパニくった彼は、パーティで出会った、人を「億男」と「雑魚」に選別する女・あきら(池田エライザ)を頼ることに...©2018 映画「億男」製作委員会

一番の見どころは、九十九の居場所を聞きたいだけなのに、意図せず一男のマネー修業を兼ねることになる3人の”億男”詣で! 九十九と共に起業した「バイカム」という会社の売却益を手にし、今は別々の道を行く億万長者たちです。手始めは、「ほんとに北村一輝?」な風貌のギャンブル好き実業家・百瀬の洗礼。競馬レース(掛け金100万円!)で一喜一憂させておちょくりつつも、”頭の中で行き来する”お金の概念を一男に知らしめます。

元「バイカム」のCTO(最高技術責任者)でスーパー・エンジニアの百瀬を演じる北村さん。デブに作り込み、甲高い早口の関西弁でまくし立ててます。なぜか彦摩呂が思い浮かぶ…©2018 映画「億男」製作委員会

お次は、藤原竜也演じるマネーアドバイザー兼「ミリオネアニューワールド」の教祖(…怪しさ全開)・千住。「あなたの夢は絶対に叶いまぁす!」のキメ台詞で気持ちよくなった大衆から金を巻き上げる彼に、温厚な一男もちょいとキレ気味に。続く、沢尻エリカ扮する10憶円を隠し持つ主婦を含め、お金の魔力を知り尽くしてる面々…。その魔力に憑りつかれてる雰囲気が、妖しくてキョーレツ(笑)。

藤原竜也が演じるのは、元「バイカム」のCFO(最高財務責任者)・千住さん。ライブで熱唱中のように見えますが実は説法中。裏では信者への暴言を吐きまくりの教祖様です…©2018 映画「億男」製作委員会

元「バイカム」の広報IR担当で、九十九の実質的秘書だった十和子(沢尻エリカ)。今はつましい生活を送る主婦ですが、部屋の壁紙の下に埋めた10億円で安心を得ています©2018 映画「億男」製作委員会

「お金というものを理解してほしい」と語り姿を消した九十九と、3憶円と親友の行方を追う怒涛の騒動の中でお金の意義を考え始める一男。名前を取って”100点コンビ”を演じる佐藤 健&高橋一生の地味キャラに引き込まれちゃう。大学の落研時代のモロッコ2人旅が印象的で、固い友情の描写と、その旅の金銭トラブルを機に九十九が確信する「お金の価値は流動的」という信念にグッときます。砂漠でも披露する、高橋一生の落語も完成度高すぎ!

3憶円で起死回生を図る一男を襲う、まさかの試練…。やがて「お金に使われるのではなく、使えるようになりたい」と望むようになる彼の価値観の変化がていねいに描かれます©2018 映画「億男」製作委員会

その、大学時代の九十九の十八番である古典落語の名作「芝浜」こそが、本作のキモ。道を踏み外しかけた酒浸りのダメ夫を機転を利かせた妻が改心させる、という噺です。一男の妻といえば、妻子と元の生活に戻りたい一心で借金返済を最優先する夫を「金にとらわれた男」と見放してしまっており...。九十九に”機転の利く妻”っぽい要素を感じたりもして...。危機を迎えた親友関係と夫婦関係に終始ハラハラ。

「金で家族が戻ってくるなんか幻想もええとこや!」と、百瀬が一男にキツい一言を放ちます。娘のためとはいえ、妻・万左子(黒木 華)が手厳しい...。これも試練なの…!?©2018 映画「億男」製作委員会

終わり方にはちょっぴりモヤっとしてますが、”スカッとした答えはない”のが答えかも。「頭と心への投資は逃げない」などなど、何か一言はピンとくるお説教の数々が、普遍かつ永遠のテーマに向き合う機会を与えてくれますよ。私がピンと来たのは、「価値のないものを持ち続けることが一番リスキー」という千住氏のお言葉! 【東海ウォーカー】

【映画ライター/おおまえ】年間200本以上の映画を鑑賞。ジャンル問わず鑑賞するが、駄作にはクソっ!っとポップコーンを投げつける、という辛口な部分も。そんなライターが、良いも悪いも、最新映画をレビューします!  最近のお気に入りは「テルマ」(10月20日公開)のヨアキム・トリアー監督!

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