トヨタ自動車とLINEは10月15日(月)、スマートフォンと自動車をつなげる新規格「スマートデバイスリンク」による、音声ナビゲーション機能「Clova Auto」を2019年夏に提供することを発表した。
スマートフォンの普及に伴い、運転中のスマホ利用による自動車事故と道路交通法違反の検挙率は増加の一途をたどっているという。
そこで運転中にスマートフォンが操作できるよう、自動車とスマートフォンを連携させ、音声認識によるハンズフリー操作でナビゲーションや選曲、ショートメッセージの送受信が行えるようにする技術開発が進められている。
この方式はすでにGoogleが提供する「Android Auto」やiPhone用の「Apple Carplay」が先行しているが、今回発表された「Clova Auto」が採用する「スマートデバイスリンク」は全く新しい、自動車メーカーの視点で作られたプラットフォームだ。
今回のスマートデバイスリンクには各自動車メーカーやアプリが参画、すでに米国フォード社がスマートデバイスリンク搭載車両を北米で販売している。
トヨタは12月9日に国内では初めてスマートデバイスリンク対応の車載用ナビゲーションを発売。アプリも12月から順次登場予定だという。
ユーザーの視点で見ると、スマートフォンに「Clova Auto」をインストールするだけで利用できるため、OSに依存せず機種変更をしてもユーザビリティが変わらないというメリットがある。
一方、アプリ制作会社としても既存のアプリに「スマートデバイスリンク用SDK」を組み込むだけなので、新規で専用アプリを開発する手間が省けるという。
コアとなるのはAI技術を活用とした音声認識操作と、走行中でも見やすい大きなアイコンと見やすいコンテンツ、シンプルで直感的なユーザーインターフェイスだ。
その中のAI技術にLINEの「Clova」を利用。Clovaは既にスマートスピーカー「Clova Home」でも採用されているAI技術だ。
スマートフォンに「Clova Auto App」をインストールし、車両とスマートフォンを接続するだけで、例えば「ねぇClova、東京タワーまでの行き方を教えて」、「東名高速道路の渋滞情報を教えて」など、音声によるナビゲーション操作が可能になる。
その他、LINEメッセージの送受信、目的地の天気を調べることも音声でできるうえ、スマートスピーカー利用者なら車を運転しながら自宅の家電をコントロールすることもできるようになるという。
トヨタ自動車の山本圭司常務役員は発表会で「自動車会社としてクルマとスマホをつなげて、快適で安全なモビリティを提供します。12月3日に車載用ナビを皮切りに、皆様にとってワクワクするものを提供していきたいと思っています」と挨拶。
またLINEの舛田淳取締役CSMOも「私達は国内最大規模のスマートフォンアプリベンダーと自負しておりますが、運転中に使うと安全性の面で問題があります。LINEのメッセージを送受信するだけでなく、スマートフォンで何かを利用したら、クルマから最適なレコメンデーションが受けられるシステムを作成していきたい。
2018年のLINE MUSICを皮切りに、2019年春にはClova Autoを実現させ、夏には両社が持つビックデータを活用した、“個人にとって最適な走行情報”の提供を目指します」と、今後のロードマップを提示した。
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栗原祥光