みつけだせ!僕らの最高のマネージャー!!「九州産業大学プロレス研究部」

九州ウォーカー

選手を支えるキラリと光る“最高のマネージャー”を発掘する連載。今回は「九州産業大学プロレス研究部」です。

「赤コーナーより選手入場です!」


マイクを持ってリングにあがっているのは1年生の新人マネージャー。まだ不慣れな面もあり、緊張した面持ちでレスラーのリングネームをコールします。この日は翌日に控えたイベントでの試合に向けて本番を想定した入念なリハーサルが行われていました。

【写真を見る】リングアナウンサーもマネージャーが担当。実際の試合ではスーツを着用する


プロレス研究部の女子マネージャーたちの仕事は、もちろんレスラーたちが活動しやすい環境を整えること。さらに試合の際には、熱い闘いをスチールやムービーで記録する撮影担当。パソコンを使ってレスラーの入場曲や音源を会場に流したり音響全般を管理するPA担当。リングにあがり選手を呼びこみ、経過時間をアナウンスしたりゴングを鳴らすリングアナウンサー担当。といった役割にわかれて仕事を分担します。

翌日のイベントに向けて準備が進む


女子マネージャー、一挙入部!


プロレス研究部には今年、1年生マネージャーが7人入部。それまで2人きりで部を支えてきたのが今回の主役、ともに芸術学部ビジュアルデザイン学科3年生の吉田蘭さんと山下愛加さんです。

九州産業大学プロレス研究部マネージャーの吉田蘭さん(左) 山下愛加さん(右)


「私たちが一番ビックリしたよね!(勧誘したっていうより)気付いたら勝手に入ってきてくれてました(笑)」(吉田さん)

「いつの間にか増えてました(笑)」(山下さん)

先輩後輩のへだたりのない雰囲気


吉田さんはカメラやビデオの撮影担当。山下さんはPAとリングアナウンサーを担当しています。5月に入部したばかりの1年生たちに声をかけながら、それぞれの役割に応じたアドバイスを与えていく吉田さんと山下さん。まったく偉ぶることなく笑顔で1年生たちに接する2人の姿が印象的でした。

「1年生が生意気なんでね(笑)」(吉田さん)

緊張する1年生に笑顔でアドバイス


学生プロレスがもたらしたもの


全国的に学生プロレスは盛んですが、そのほとんどは「同好会」。九州産業大学「プロレス研究部」は、創部33年の歴史をもち平成7年に同好会から昇格、「部」として活動しています。

毎週土曜日の練習ではリングが組まれる


競技活動をしない学園祭用のサークルとは違い、日々の練習を積みながら、地域のお祭りやイベントからも毎年声がかかるほどの人気を誇っています。15人あまりのプロレスラーも輩出しています。

九産大プロレス研究部の卒業生を中心に「九州プロレス」が生まれた


現在のプロレスでも見られるようになった「実況+解説付き」の試合スタイル。実は、学生プロレスが発祥だそう。お祭りなどで初めてプロレスに触れるお客さんにもわかりやすく、老若男女が楽しめるように考えだされたものです。

学生プロレスが生み出した実況解説付きで試合を行う形式


ともに成長する仲間


試行錯誤でアナウンスの練習をする1年生


リングから離れたマットの上で、今年レスラーとして入部してきた選手たちに熱のこもった指導をする西山嘉隆コーチは言います。

「1年生で入ってきた時には、いわゆる“プロレスごっこ”が出来るつもりで入ってきます。ところが体力は無いわ、形ができないわ、で。だけれどコレが4年経つとそれぞれひとつのキャラクターに出来上がっていくんです」

「同好会」から「部」に昇格した際に購入された伝統あるリングにあがることを目指して1年生レスラーたちの鍛錬は続きます。

西山コーチの指導を受ける1年生。今年はレスラーを目指す女子も入部した


「1年生はマット運動をして、そこで合格が出て、OBさんからもOKをもらわないとデビューしてリングにあがれないので。1年生が大きくなっていくのを感動しながら見ていくのが本当に楽しいです!」(吉田さん)

「同期のレスラーが成長していくのも見守ってきたので、試合の時は泣きます!大きな試合の時に同期同士が戦っていたりしたら、もう...」(山下さん)

選手たちの華麗な技を撮影する吉田さん


山下さんはマイクを握り、ゴングも叩く


マネージャーとしての『極意』『ひみつ道具』


《マネージャーの極意》

「やっぱりレスラーが主役なのでレスラーがいかに有効的に活動ができるのか?ってことを考えて、その手助けをするのが私たちの1番の極意です」(吉田さん)

吉田さんが撮った写真はプロレス研究部のSNSに掲載される


《ひみつ道具》

「リングアナウンサーとしてスマホとメモ帳。今までの全OBさんと現役レスラーの名前が書いてあるメモ帳もあって、いつでも叫べるようにはしてます」(山下さん)

「苦労は多いけどそれを上回る喜びがあります」と語る山下さん


吉田さん・山下さんの『ここが最高!』


実はプロレス研究部入部のきっかけは2人が“筋肉フェチ”だったこと。しかしその後のマネージャー活動の中で、2人ともプロレスの魅力にハマっていきました。

多い時には月に3つのイベントをこなす


「プロレスラーってみんな顔が怖い...でも中身は本当に優しい人たちばっかりです。ちょっと筋肉バカで脳みそがバカな人が多いです(笑)魅力がスゴいある!ずっと続けていきたいです」(吉田さん)

マネージャーを始める前までは、まったくプロレスを知らなかった吉田さんと山下さん。今では“筋肉フェチ”を超えてプロレスが大好きになったと言います。そんな2人の「プロレス愛」が最高です!

マネージャー同士は気兼ねなく意見を交わせる関係を築いている


楽しみながら育てる


この日は翌日のイベントに備えて取材後には機材の積み込みが控えていました。

吉田さんと山下さんを慕う1年生たち


「みんなでトラックに詰め込んで、みんなで現地に行って、リングをたてる感じです」(吉田さん)

「毎回、試合の時はバタバタです(笑)」(山下さん)

「早く育って欲しいです!期待してます」と1年生に向けた言葉を語ってくれた


2人の経験から、今の1年生が自発的に動いて、試合も完璧に取り仕切れるようになるのは2年生の後半あたり。1年生マネージャーたちから「優しい」「大好きです!」と慕われる吉田さんと山下さん。2人が後輩たちを育てながら、そのプロレスへの想いをぶつけるマネージャーの仕事は、明日からも続いていきます!

山本真己

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