バブル景気やファミコンブーム…。1980年代を現代アートで振り返る展覧会「ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代」開催

関西ウォーカー

大阪の国立国際美術館にて「ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代」と同館のコレクション展「コレクション2:80年代の時代精神(ツァイトガイスト)から」が開催される。期間は11月3日(祝)から2019年1月20年(日)まで。

近くて遠い、1980年代の現代美術をテーマにした展示


1980年代は、昭和の終焉と平成の始まりの時代。一世を風靡した「ルービックキューブ」が登場し、テレビでは「オレたちひょうきん族」が大ヒット。テレフォンカードやファミコンソフト「スーパーマリオブラザーズ」が発売されたのも80年代。社会では中曽根内閣の発足、空前の好景気「平成バブル」の始まり、さらに消費税のスタート、昭和天皇が崩御し、平成という元号が決定した激動の時代だ。

ビビットで激しい色使い。荒々しく力強い、80年代の作品の力を間近で感じることができる中西學 《THE ROCKIN'BAND》 1985年 作家蔵


今回の展示では、1980年から各章を年代順に2年ごと、5つに区切って展示。時系列に並べることにより、時代の変化がありのままに反映された構成になっている。各章ごとにその時代の出来事が書かれたキャプションが添えられ、その時代を知るものには懐かしく、知らないものには新鮮に、時代の雰囲気を感じながら作品を鑑賞することができる。

80年代は美術の世界でも、大きな変化が湧き起こった年であった。ニュー・ペインティングと言われる新しい表現方法が広がりを見せ、激しい筆使いや色使いで表現される、親しみやすく躍動感のある芸術は、民衆に受け入れられ、芸術はより身近になった。

「戦後現代美術の再評価が国際的な高まりを見せている。戦後美術を振り返ったときに、80年代の検証が少し遅れているのかもしれない、と今回の展覧会に至った。」と同館の主任研究員 安來正博氏は語る。

80年代は作品サイズが大型化した年代でもあった。目の前に広がる世界に飲み込まれそうになる


大型のオブジェも多数。近くで細かな質感や表現を見るのも楽しい


立体作品は、見る位置によって表情を変える


作品の他にも、現代美術に関する書籍や展示会パンフレットなどの資料や、その時代の社会情勢と美術を照らし合わせた年表なども展示されている。

書籍や展示会パンフレットなどの資料。80年代テイストのグラフィックデザインにも触れることができる


展示の最後には80年代の出来事を振り返る年表も。公式図録では、1年ごとに各章に分かれ、社会と美術界の出来事を書いた年表とともに、作品を振り返ることができる。

時代背景とともに作品を見ると、また雰囲気が変わってみえる


地下3階で開催されている本展とは別に、地下2階ではコレクション展として「コレクション2:80年代の時代精神(ツァイトガイスト)から」も開催。こちらは80年代の作品にこだわらない「80年代的な作品」を同館のコレクションから展示している。タイトルになっている時代精神(ツァイトガイスト)とは、ドイツの哲学用語で、ある時代に共通する精神的態度や様式を指す。80年代の精神を体現した展示だ。

コレクション展では80年代の作品にこだわらず、80年代的なテイストの作品を展示している


芸術の秋、平成終わりの年に、遠くて近い80年代の空気を振り返りながら、80年代の熱く大胆な芸術に、パワーをもらおう。

■ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代、コレクション2:80年代の時代精神(ツァイトガイスト)から

期間:11月3日(祝)〜2019年1月20年(日) 会場:国立国際美術館 住所:大阪府大阪市北区中之島4-2-55 電話:06-6447-4680(代) 時間:10:00〜17:00※金曜・土曜は20:00まで(入場は閉館の30分前まで) 料金:一般900円、大学生500円(「コレクション2:80年代の時代精神(ツァイトガイスト)から」のみを観覧する場合、観覧料は一般430円、大学生130円) 休み:月曜日(12月24日及び1月14日は開館し、翌日休館)、年末年始(12月28日(金)〜1月4日(金)) 

二木繁美

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