かつては引き立て役として考えられることが多かったクリーム。だが、ここ最近はクリームを主役に据えたスイーツも増えてきた。
生クリームが注目を集めるきっかけとなったのが、2017年7月、渋谷に期間限定オープンして以来、人気を博している生クリーム専門店「MILK」だ。その名の通り、提供するスイーツは生クリームが主役。北海道根釧地区産の生クリームをブレンドした、濃厚でありながらもすっきりとした味わいが自慢だ。今月には大阪・梅田に7号店をオープンするなど、各地に店舗を広げている。
生クリームが主役のスイーツは、菓子専門店以外にも広がりを見せている。ファミリーマートでは今月、手作りデザートシリーズ「Famima Sweets(ファミマスイーツ)」のリニューアルに伴い、商品に用いるクリームを見直した。北海道産生クリームを使用し、なおかつブレンド用のホイップクリームも変更。“濃厚×すっきり”した味わいのクリームを実現した。「かつては濃厚なクリームがトレンドでしたが、現在は先味・濃厚、後味・さっぱりがクリームのトレンドになっています」と、ファミリーマートの開発担当者は話す。
なかでも注目の新商品は、“トレンドのクリームを味わうスイーツ”として発売された「~クリームほおばる~ クリームシフォン」(248円)。口どけの良いシフォン生地の上には、こだわりのクリームをたっぷりトッピング。シフォン生地の中からあふれ出す、クリーミーなミルクカスタードも魅力だ。
リニューアルされたクリームは同商品だけでなく、「~もちもち食感~ ファミクレープ」(チョコ&バナナ、キャラメルブラウニーともに198円)や「大きなカスタード&ホイップシュー」(138円)にも使用されている。
また、ローソンでは「プレミアムロールケーキ」(150円)のクリームを、10月にリニューアルした。「プレミアムロールケーキ」は、2009年の発売以来、シリーズ累計3億4千400万個を突破している大ヒット商品。2009年の発売当初からクリームの上質な味わいにこだわって開発された商品となっており、スプーンですくう食べ方も注目を集め、根強い人気を誇ってきた。
そのクリームを今回は、現在の消費者の嗜好に合わせるべく刷新。何度も調査を行った結果、ミルクのコクがありながらもすっきりとした味わいに変更した。
現在は販売を終了しているが、数量限定で発売された「プレミアムロールケーキのクリーム」も話題を呼んだ。「プレミアムロールケーキのクリーム」は、リニューアルした自信作のクリームを商品化したもので、カップの中に入っているのはクリームのみ。シフォンケーキをはじめとしたケーキはもちろんのこと、スナックにトッピングするなど、新しい食べ方の提案も含め、発売されたという。
販売を終了した現在も、Twitterには「プレミアムロールケーキのクリームをモリモリ食べたい」といった声や、販売終了に伴い「悲しみが深すぎて立ち直れない」と嘆く声などが寄せられており、反響の大きさがうかがえる。ローソンの広報担当者も「税込100円の商品でしたが、ご好評いただきました」とコメントしている。
コンビニスイーツも、多様化の時代。“クリームを味わうスイーツ”は、今後どのような広がりを見せていくのか楽しみだ。
水梨かおる