いまさら聞けない!?『今年の漢字』ってどう決まる?

東京ウォーカー(全国版)

年末の恒例行事としてすっかり定着した「今年の漢字(R)」。今年一年の世相を漢字一字で表現し、決定した文字は京都の清水寺で揮毫することでも知られている。だが、今年の漢字がどのように決まっているのかちゃんと知っている人は意外と少ないのではないだろうか。

今年の漢字は、毎年日本全国から応募された漢字一字とその理由を集計し、12月12日の「漢字の日」前後に最多応募数の漢字を清水寺の森清範貫主の揮毫により発表している。応募は特設応募サイトのほか、はがき、全国1300か所以上の書店・図書館などに設置される「今年の漢字 応募箱」、さらに学校・企業からの団体応募で行われる。2017年は15万3594票の応募があり、応募数7104票の「北」が今年の漢字第1位に選ばれた。

2017年の今年の漢字1位には「北」が選ばれた


そこで気になるのは、票数で決定するにも関わらず、応募する漢字とともに理由も併記する点だ。今年の漢字を主催する日本漢字能力検定協会で広報を務める岩橋恭子氏は、「理由を書いていただくことによって、漢字一字に様々な意味を込めることが出来るということを知っていただくきっかけとなります。そこから漢字の奥深さ、面白さにふれていただく機会につながると考えています」と話す。

全国1300か所以上の書店・図書館などに設置される「今年の漢字 応募箱」


そもそも今年の漢字は、1995年から漢字の素晴らしさや奥深い意義を伝えるための啓発活動の一環として始まったもの。世相を端的に表したものから、その年に流行したものにあやかる言葉遊びのような理由も含めて、応募者それぞれに理由を考えてもらうことが狙いの1つというわけだ。

さらに「今年の漢字」とは最多投票の一字のみではないのだという。「当協会は京都に本部を置いており、京都を代表する寺院で国内外の人がご存じであるため清水寺の貫主に1位となった漢字を揮毫いただいておりますが、実は当協会は1位から20位まで発表を同時に行っております。公募によって集まった20字をご覧いただくことによって、より一年の世相を表す奥深い行事になると考えています」。これが、審査員を設けず票数で選出している理由でもあるという。

【写真を見る】漢字ミュージアム「今年の漢字」展


その年の世相を振り返るだけではなく、漢字の魅力も伝えようとするこの取り組み。今年は平成最後ということもあり、京都・祇園の漢字ミュージアムでは歴代の「今年の漢字」を展示する『「今年の漢字」展~「平成」を漢字一文字でふりかえる~』を2019年2月11日(祝)まで開催中だ。

2018年の「今年の漢字」応募は12月5日(水)まで。節目の年に、それぞれの思いとともに今年の漢字を選んでみてはどうだろうか。

国分洋平

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