警固の「焙煎屋」出身の友納 理(とものう さとし)さんが営む「トモノウコーヒー」。開業から17年目を迎えた古株の豆売り専門店で、コーヒー好きなら一度は名前を聞いたことがあるはず。店があるのは別府橋下の細い通り沿いと目立つ場所ではなく、しかも看板に“自家焙煎”と掲げていない。理由は一つ。コーヒー豆を気軽に買えるようなスタイルでありたかったから。
友納さんは「ひと昔前は自家焙煎と謳っていると、知識がないと入りづらいみたいなイメージがあった。僕は日常的に、気軽に豆を買いに来てもらえるような店にしたかった。そんな思いもあり、パッケージも明るい黄色にしたりして、とにかくカジュアルに楽しめるものということを前面に打ち出しました」と当時を振り返る。
専門店で豆を買って、家で楽しむ、現在では当たり前のスタイル。それをスタンダードなものにした店という意味でも“同店の存在なくして、福岡のコーヒー”は語れない。今もコーヒーを暮らしの一部に、という思いは変わらず、最も安価なハウスブレンドで100g 500円と手ごろ。さらにさまざまなニーズに応えるために常時約20種の豆を用意する。
“引き算の焙煎”と話すように、焼くことでどれだけの味わいを残すかに重きを置いている友納さん。削ぎ落とす作業がなんでも難しいといわれているクリエイティブのセオリーを考えると、ますます同店の豆の味わいに興味がわく。
[トモノウコーヒー]福岡県福岡市城南区鳥飼5-13-11 1F / 092-851-1134 / 10:00〜19:30 / 日曜休み / 席なし / 禁煙 / コーヒー1杯 270円~(テイクアウトのみ)
九州ウォーカー編集部