久留米郊外の長閑な田園地帯。「トモモ コーヒー」は辺鄙な立地ながらもコーヒーファンには密かに知られた店だ。オーナーは業界では数少ない女性ロースター・深町朋子さん。コーヒーへの思いが募り、東京の名店「堀口珈琲」「カフェ・バッハ」のセミナーなどに通い、2007年に開業した。
豆は堀口珈琲が主催する生豆共同購入グループの豆を使用する。高品質な豆ながらも深町さんはスペシャルティをほとんど主張しない。「お客さまにとってはその豆がスペシャルティかどうかより、実際においしいかが重要。だからお客さんの好みに合うような焙煎を心がけています」と深町さん。華やかなフレーバーよりも味わいを重視するので、生豆の精製方法もきれいな飲み口になるウォッシュドをベースに仕入れている。
また、同じ豆を中深煎りと深煎りなど、2種類の焙煎度合いで提供するのも特徴。しかもストレートは9種類中8種類で深煎りを用意する。「私は豆のよさを引き出す焙煎度合いは1つではないと思います。酸がしっかり出る豆を選んでいるので、中深煎り以上で焼いてもバランスのとれた味になるんです」。
聞くほどにこだわりが詰まったコーヒーだが、豆売りは480円からと驚くほどリーズナブル。喫茶のどの銘柄も430円で統一され、お代わりは200円とすこぶる良心的だ。わざわざ訪ねる価値のある鄙の名店だと思う。
[Tomomo Coffee]福岡県久留米市北野町中659-3 / 0942-78-3787 / 10:00〜20:00、土曜・日曜・祝日〜17:00 / 水曜休み / 16席 / 禁煙 / コーヒー1杯 430円
九州ウォーカー編集部