初日の出、北海道より千葉の方が早いのはなぜ?意外と知らない初日の出の豆知識

東京ウォーカー(全国版)

2018年も残すところ後わずか。新年を迎えるにあたり、平成最後の初日の出をその目で見たいという人も多いはず。ただ、意外と知られていないのが、日の出を見る時間と場所の関係。太陽は東から昇るから、日本国内では北海道から順に見える……と思いがちですが、初日の出なら実は北海道よりも早く、千葉県で見ることができるのです。今回はそんな日の出の豆知識を、日本気象協会の関田佳弘気象予報士に聞きました。

富士山の日の出(イメージ)Getty Images


初日の出の時期は南東の方が早く見える


日の出と日の入りの時刻は緯度と経度が関係しています。地球は地軸が傾いているため、日の出の時刻や早く見える場所は季節によって変化します。初日の出を拝む1月には、「同じ緯度であるなら東の方が日の出が早く、同じ経度なら低緯度の方が日の出が早くなるので、南東に向かうほど初日の出が早くなる」というわけです。

このため、関東最東端の千葉県・犬吠埼では、北海道に比べ低緯度であるため、北海道の東端・納沙布岬の初日の出の時刻である6時49分よりわずかに早く、6時46分に初日の出が見られるのだそうです。ちなみに犬吠埼は、北海道・本州・四国・九州の平地で一番早く初日の出が見られるスポットとして人気を博しています。

標高が高いほど日の出は早く見える


【写真を見る】標高が高いと同緯度・経度でも早く太陽が見える提供:日本気象協会


さらに、日の出の時刻は標高も関係してきます。「地球が球形なので、標高が高ければ高いほど遠くが見えます。気象衛星がない時代は、遠くの雲を観測するために富士山の頂上にレーダーがありました」と話す通り、標高0m地点ではまだ見えない太陽が、同じ緯度・経度の場所でも高い山に登ると角度の関係で遠くを見渡せることから早く見えるようになるのです。

千葉県では、先述の犬吠埼より早く初日の出を見られる場所として、鴨川市に位置する標高337mの清澄山があり、その時刻は犬吠埼より2分早い6時44分。そして、これよりもさらに早いのが標高3776mの富士山頂となります。「富士山のある静岡・山梨は犬吠埼のある銚子よりも西へ約200kmも離れているため、平地では銚子より日の出が遅いですが、上空に約3.8km上がるだけで、初日の出の時刻は6時42分と、北海道・本州・四国・九州の中で一番早い場所となります」と関田さん。

日本で一番早く初日の出を見ることができるのは?


では、日本で一番早く初日の出が見られるのは富士山なのかと思いきや、さらに早く見られる場所があります。犬吠埼よりもさらに南東にある小笠原諸島の母島です。時刻は6時20分と、犬吠埼より24分も早くなるとのこと。さらにお隣・父島の夜明山は6時17分と、無人島を除き日本一早く初日の出が見える場所となります。

ちなみに日本国内でもっとも早いのは日本最東端の南鳥島ですが、こちらは一般の人は立ち入りができない島のため、現実的にもっとも早く見たいのであれば父島か母島、ということになります。

初日の出に「絶対」はない?


さて、これまでの話は「天気が晴れていれば」というのが大前提。雲が日の出を覆ってしまえばどんな場所でも見ることはできませんし、富士山頂でも雲海がかかっていれば太陽の見える時刻は遅くなります。初日の出を少しでも確実に見たいなら、事前の天気予報のチェックがやはり重要。関田さんも「天気予報が曇りでも『雲の隙間から初日の出を見られる可能性』はありますので、直前の気象情報をチェックすることをオススメします」と話しています。

国分洋平

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