会場の構想は? 地元の経済効果は? 「2025大阪・関西万博」の実情に迫る!

関西ウォーカー

2025年国際博覧会(万博)は、“いのち輝く未来社会のデザイン”がテーマ。夢洲を舞台に2025年5月3日(祝)~11月3日(祝)の185日間開催される。海に囲まれた人工島で万博が行われることは珍しく、立地条件や景観などを生かした万博になりそうだ。<※情報は関西ウォーカー(2019年1月4日発売号)より>

会場や交通など大阪はどう変わる?


中心を作らない離散型の会場。5か所に空と呼ぶ広場を設置し、イベントなどを開催(提供資料:経済産業省)/2025大阪・関西万博


2025年の万博の開催が大阪・関西に決定した。大阪府立大学研究推進機構教授の橋爪紳也氏は「夢洲は新規の埋め立て地だからこそ、自由な会場計画が可能。会場の南側に、あえて水面を残す計画で、岸辺や水上のデッキを観覧席にし、さまざまなアトラクションを楽しむ場となります」と構想を語る。

心配なアクセス面については地下鉄の延伸を予定。「2025年に向けて、埋め立て工事、道路の拡幅や鉄道の整備が急がれます。大阪の都心、神戸や関空から、船によるアクセスの充実も不可欠と考えています」(橋爪氏)と、課題はあるものの、各アクセスの拡充も検討中。万博閉幕後も交通の利便性が高まることが考えられる。

【写真を見る】此花区にある人工島、夢洲の約155万平方メートルの敷地が会場予定地。夕景など美しい 景観が楽しめる/2025大阪・関西万博


地元の人の万博への関心は高く、開催が決まってからは「こんな万博にしてほしい」という意見が誘致委員会に多く寄せられるそうだ。“自分も万博にかかわりたい!”という人におすすめの仕組みがPeople’s Living Labだ。その一つとして、万博について個人レベルのアイデアなどをアップできるオンラインプラットフォームの開設を目指す。新しいイベントにつながったり、ここで知り合った人と一緒に仕事をするなどの展開が想定され、ビジネスチャンスの可能性もありそうだ。

最新技術の活用で新しい体験が可能に


また「“常識を超える”博覧会を実現させなければいけません」(橋爪氏)とも。会場デザインは、離散型のデザインを採用。「従来型の万博会場ではなく、多様さに対応する未来社会のモデルを可視化。空(くう)と命名した広場をシンボル空間とし、来場者と世界中からバーチャルにアクセスする人たちが共創する場となります」と、VR参加を想定した空間も誕生予定。万博会場に行けない人もインターネット上の仮想会場であるバーチャル会場で仮想体験ができるほか、日本の祭の文化が体験できるイベントや、日本と世界の子供たちが仮想教室で交流を図るプログラムなど、テクノロジーを活用した新しい体験が可能になる。

1970年の大阪万博の様子。半年間で壊されることになっていた太陽の塔は、現在も大阪のシンボルとして人気/2025大阪・関西万博


1970年の大阪万博では「太陽の塔」というシンボルが誕生し、今も多くの人から愛される存在に。「シンボルは作らない、という考えです。オンラインプラットフォームは閉幕後も活用予定で、『ソーシャル・レガシー』として残すことを目指しています」(誘致委員会の定氏)と、ハード面ではなく、体験を主軸としたソフト面を充実させる万博になると語る。最先端技術を活用することで世界中の人々が参加できるという、新しい万博に期待しよう。

この方たちに聞きました!


【大阪府特別顧問、大阪市特別顧問、大阪府立大学研究推進機構教授の橋爪紳也さん】2025年大阪・関西万博の基本構想、会場計画の立案に当初よりかかわる。1970年の大阪万博には18回通い、すべてのパビリオンを見学。「1970年の万博以上に、若い人材がチャンスを得て、また新技術が話題になるでしょう。2025年の万博の最大のレガシーは、次世代を担う多くの人材であると確信しています」

【2025日本万国博覧会 誘致委員会事務局 大阪本部の伊吹善仁さん、藤原省吾さん、定 道生さん、新谷信満さん、田中博之さん】2017年3月に設立。4月に開催国に立候補して以来、アスタナ国際博覧会など国内外のさまざまなイベントでPR活動を行う。2018年11月23日に加盟国による投票が行われ、会場が大阪に決定した。

数字で見るヒットのポイント


【約2兆円】会場の建築や来場者の交通、宿泊など、経済波及効果の試算。今後、大阪万博のPRを進め、世界に大阪という都市を認知してもらえるメリットも。

【80%】ネット調査による、大阪市民の万博に賛成する人の割合。1970年の大阪万博を知らない若い世代にも関心が高いことがうかがえる。

【2820万人】想定来場者数。海外からは350万人の来場を想定。関西国際空港から会場まで車で約40分とアクセスがよく、多くの来場者が見込まれる。

関西ウォーカー編集部

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