本格派のロールケーキが大ヒットし、スイーツの高級化で成功をおさめるなど、低価格商品と高額商品の2極化が顕著になる昨今のコンビニ。今秋、たばこ増税に伴い、コンビニ利用者が落ち込むと予想される中、各社が商戦の“キー”に位置づけるのが“高級弁当”だ。
「少々高くてもいいものを食べたいというお客様のニーズにこたえました」と広報が語る、ローソンの「叙々苑」監修の焼肉重や、ファミリーマートの国産牛の肩ロースを使ったすき焼き弁当など、コンビニ弁当の概念をくつがえすような豪華な品が各社からいっせいに発売される。各社こだわりの高級弁当を実食し、その実力を確かめてみた。
■ご飯を埋め尽くすピリ辛焼肉!「叙々苑監修 焼肉重」(690円/ローソン)
有名焼肉店「叙々苑」が監修した高級弁当。醤油、みりん、ゴマ油、ニンニク、ショウガなどで味付けしたピリ辛の焼肉と、大豆、モヤシ、ぜんまい、小松菜、大根のナムルがどっさりとのった、味だけでなくボリューム感も満足の一品。食べやすい厚さの肉は柔らかく、ピリ辛なので食も進む。ご飯との相性もよく、“箸休め”としてのナムルも付け合せのレベルを超えるウマさで総合力の高さはピカイチだ。「叙々苑の“合格ライン”は厳しく、何度も打ち合わせや試食を繰り返しました。別添えのコチュジャンにいたるまで、とことん味を追求したつもりです」と、商品担当MDの高橋直征さん。「コンビニ弁当も、ついにここまで来たか」と思わせるような、贅沢な一品なのだ。
■“包み”が生んだ上品なすき焼き 「牛すき焼きの包み仕立て弁当~国産牛使用~」(750円/ファミリーマート)
柔らかく調理した国産牛の肩ロース肉のすき焼きを“包み”、かつそのまま温める(!)という新感覚の弁当。専用の紙に包まれたままレンジアップすることで、うま味を逃さずジューシーな味に仕上がるのだ。レンジから取り出し、包みを手で開けたときの湯気や甘辛い香りは、今までのコンビニ弁当にはない“新しい刺激”。尖ったところがない優しい味わいで、肉も大きめな上に、かなり柔らかい。750円というコンビニでは“異例”ともいえる価格だが、その味には記者も納得。一度は食べる価値アリの新商品だ。
■サクサク衣と肉汁あふれるジューシーカツ 「カツの3重奏盛り」(555円/サークルKサンクス)
国産の肉で作ったビーフカツやトンカツ、チキンカツがどっさりとのったボリューム満点の丼。肉との相性を考え、デミグラスやゴマ入りソースなど、それぞれ別のソースを使うというこだわりようだ。「国産のお肉をおいしく召し上がっていただくため、3種のソースを使っています」という、バイヤーの沢村公彦さんのコメントどおり、カツごとに違う味が楽しめ、飽きずに完食できた。かなりのハイボリュームなのは間違いないが、肉をガッツリ食べたいという腹ペコ男子にはもってこいの一品だろう。
内容・価格ともに各社がしのぎを削る今秋の“高級弁当商戦”はまだまだ始まったばかり。それぞれの特徴を生かし、どの高級弁当が頭一つ抜けるか、今後の動向に注目したい。 【東京ウォーカー】