ひがし北海道のほぼ中央に位置する“日本一寒い町”陸別町で、2月2日(土)・3日(日)の2日間、「第38回しばれフェスティバル」が開催された。日本最寒の祭りといわれるガチで過酷なイベントに北海道ウォーカーが参戦! その時の模様をお伝えします!
この時期は、気温が連日マイナス20度を下回るという陸別町。そんな環境下の屋外イベントに来る人、一体どんだけいるのよ!?と思ったら…はい、めっちゃいました! イベント開始は18時ですが、数時間前から続々と人が集まっています。人口約2400人の町に、例年全国各地から約8000人もの来場者が訪れるというから驚きです。
祭りのメインは事前エントリーで参加できる「人間耐寒テスト」。21時から翌朝7時まで、会場に作られた氷のかまくら「バルーンマンション」で一夜を明かすという、恐ろしくドMな企画です。もちろん、ストーブなんて一切ありません…。
スノーウェアの上下に帽子、手袋、防寒靴と万全の装備でも、足元からとてつもない寒さが襲ってきます。それでもまだ気温は-10℃台。最も「しばれる」(北海道の方言で、厳しく冷え込むの意味)深夜から早朝にかけて無事に乗り切ることができるのか、早くも不安がよぎりますが、参加した読者のみなさんは「きっちりやり遂げたい」と意欲満々です。
会場には、バルーンマンションのほか、ショーを行うステージや温かい食べ物を提供する屋台、滑り台などもあり、日が暮れていくにつれ賑ってきました。
18時、いよいよ祭りが開幕! 「命の火」と名付けられた巨大な焚き火に火が灯されます。厳しい寒さにチャレンジする参加者に許される唯一の暖、なんて暖かい…(涙)。
この寒さの中でもステージでは様々な催しが行われ、非日常体験のチャレンジャーが集まる会場は、熱気と妙な一体感に包まれていきます。自前のコンロで焼肉を楽しむ人、熱々のメニューを求め屋台に並ぶ人など、思い思いに時間を過ごす間には花火も打ち上げられ、凍えながらも大いに盛り上がりました!
そしてここからが本番、「人間耐寒テスト」のスタートです。じりじりと気温が下がり続ける中、ステージでは「タオル回し選手権」なるイベントが行われました。タオルをバケツの水で濡らし、ブンブン振り回して最も早く凍らせた人が世界王者という、恐ろしい大会です。自ら志願して参加した読者も、「バケツに漬けた指が……」と言いかけ、「痛かった、本当に」とコメント。バルーンマンションに逃げ込むも、暖かいはずもなく…なにせ外ですから。
一度濡れた服はご覧の通りすぐにカチカチ。確認できた限りで-24℃まで下がっていましたから、無理もないです。
登山用寝袋&断熱マットに命を預け、耐えられず何度も「命の火」に助けてもらいながらも、なんとか就寝。夜が明けて、生きていることに感謝したのは言うまでもありません。
「やり遂げた! これで帰れる!」
過酷な一夜を共にしたファイター約250人。1人の脱落者も出すことなく、朝のラジオ体操を迎えたのでした。
ここまでキツい体験は一生に一度で十分かと思いきや、「また参加したいし、いつかマイナス30℃を体験したい」と読者参加の方。なんと…! 陸別町の「しばれフェスティバル」には、全国の猛者の心をつかんで離さない、不思議な魅力があるようです。【北海道ウォーカー編集部】
加藤和代