サンシャイン水族館では、3月20日(水)から特別展「へんないきもの展3 サンシャイン水族館×早川いくを」が開催中だ。ベストセラーとなった「へんないきもの」の著者である早川いくを氏とコラボしたこの展覧会では、見た目が変な生き物やユニークな生態を持つ生き物を集め、早川氏の独特な語り口による解説文とともに展示。第1弾・第2弾の累計入場者数約20万人の人気イベントだ。水族館で開催される企画展だが、展示される生き物は水棲生物だけに限らない。ふわふわな毛に包まれた「アンゴラウサギ」やその名の通りガマグチのような口が特徴の「オーストラリアガマグチヨタカ」など、動物園のほうがしっくりくる陸上の生き物も分け隔てなく集められている。専門である水中や水辺で生活する生き物にこだわらない理由を、サンシャイン水族館企画担当兼飼育担当の堀田氏はこう話す。
「サンシャイン水族館の本館は各エリアごとにテーマがあり、それに沿って生物を展示しています。特別展はあえて本館の外に会場を設け、本館のテーマや水族館という枠にとらわれずに魅力的な生き物を展示していこうと企画しています」
この根底にあるのが、“水族館のトップランナー”というサンシャイン水族館の自負だ。2011年のリニューアル以降、オーバーハングした屋上水槽を飛ぶように泳ぐペンギンの姿を見ることができる「天空のペンギン」や、浅いサンゴ礁をイメージした大水槽「サンシャインラグーン」など、ビルの屋上にある水族館という制約を逆手に取った様々なアイデアで人気を博す。特別展もそうしたチャレンジ精神の一環だ。
「本館の展示スペースには限りがありますし、テーマにそぐわず展示しきれない生物も数多く存在します。特別展であれば普段とまったく違った生物を紹介することができます。さらに、普段は水族館にあまり興味のない方々を、こうした展示をきっかけに取り込んでいきたいという思いもあります」
2014年に開催された「へんないきもの展」第1弾は、サンシャイン水族館としては初の書籍とのコラボレーション企画だった。企画の発端も、スタッフの1人が「『へんないきもの』という面白い本がある」と提案したのがきっかけで、そこから書籍の魅力と水族館スタッフの見地を生かした展示を練り上げていった。こうして生まれた「へんないきもの展」は、水族館の特別展としては前例がないほどのヒットを記録。サンシャイン水族館の特別展としてははじめて行列ができ、会期中は本館の入場者数も跳ね上がったと堀田氏は振り返る。以来サンシャイン水族館では、毒を持つ生物をテーマにした「毒毒毒毒毒毒毒毒毒展」や、擬態する生き物を取り上げた「化ケモノ展」など、一見ニッチにも思える生物に光を当てた展示を次々と開催。いずれも人気を集めており、特別展だけを目当てに訪れる来場者も多いという。
第3弾となる「へんないきもの展3」では、こうした相乗効果を高めるべく、サンシャイン水族館本館では、"生きた化石"と言われるシーラカンスよりも進化速度が極めて遅い「ゾウキンザメ」の国内で唯一の展示を3月より開始。コツメカワウソなど常設の生き物の展示エリアにも、サンシャイン水族館飼育スタッフの直筆イラストと早川氏のコメントが掲出される。
また特別展の展示そのものも、前回より生物を一新し、標本やイラスト展示、各生物の紹介文を早川氏が書き下ろすなどさらにパワーアップした内容となっている。期間限定だからこそできる水族館こだわりの展示を、この機会にぜひ楽しんでみてはどうだろうか。
国分洋平