コンタクトレンズユーザーの2人に1人は“ドライアイ”の自覚症状があるという(※)。ドライアイとは、単純に「目の乾き」のことだと思われがちだが、「目が疲れる」「目がゴロゴロする」「目が開きにくい」など、さまざまな不快感が表面化する病気。今冬は“ラニーニャ現象の発生”もあるといわれているが、実はこれもドライアイを悪化させてしまう一因となるそうなので要注意なのだ。(※京都府立医科大学 横井則彦先生研究グループ調べ)
ドライアイには2つの原因がある。50歳以上の女性などに多い「涙液減少型」と、涙が分泌されるものの水分の蒸発量が多い「蒸発亢進型」だ。しかし、近年は“目の不快感”が強いにも関わらず、ドライアイの診断基準ではドライアイと診断されない「BUT短縮型ドライアイ(※BUT=涙液層破壊時間)」と呼ばれる新しいタイプの患者も増加しているという。これは、若年層にも比較的多くみられるタイプだ。
典型的には、目を開いたとたん、角膜上に多数の乾いた領域が出現するのがこの「BUT短縮型ドライアイ」で、涙液の量には異常がないのに、目の表面に涙がぬりつけられにくく、さらに、非常に目が乾きやすく、目の表面の傷は軽度にも関わらず、乾燥感などの自覚症状が非常に強い。もともとこういった症状のあるドライアイには、パソコン、エアコン、コンタクトレンズの使用といった生活・環境要因が大きく影響していると考えられているのだが、加えて、今冬ならではの“ラニーニャ現象(※)”も、ドライアイ患者増加の要因となる可能性が。今年は多くの人が目の悩みを抱えることになりそう! ということで、予防&対策法を“目”のスペシャリスト・横井則彦先生に聞いてみた。(※日付変更線より東の太平洋赤道海域で平均海水温度が低くなり、世界中に異常な天候を起こす現象)
「目の乾燥を増強させてしまうのが“低温・低湿度”。研究で、秋や冬といった低温・低湿度を想定した環境下では“乾燥感”が強くなることが判明し、さらに、乾燥感は風の影響を受けることでとても強くなることが分かりました。今冬発生するラニーニャ現象の環境下では、例年よりも『ドライアイ人口が増えるのでは』と私は考えています」とは横井先生。予防&対策法としては、「エアコンの風が直接目にあたらないようにする。パソコンやテレビのモニターは目より下方に設置する。パソコン作業を1時間したら、できれば10分くらいは休憩し、作業中は意識してまばたきの回数を増やす。目が疲れたら蒸しタオルをまぶたの上にのせるなどして目を温める。部屋を湿度50%前後に保つ。睡眠を十分にとる。交感神経が緊張していると涙の出が悪くなるので、ストレスをためないようにする。目薬を効果的に使う(コンタクトレンズユーザーは人工涙液タイプの目薬を選ぶ)。コンタクトレンズユーザーは、保水性の高いレンズ・消毒力が高く、親水成分を含むレンズ用消毒剤を選ぶこと」と、9つの方法を教えてくれた。
ちなみに「“ドライアイ”かもしれない」と心配になった人は下記のリストをチェックしてみて。多く当てはまってしまった人は、悪化する前に専門医にも相談するべし! 【東京ウォーカー】
□目が乾く
□なんとなく目に違和感がある
□目が疲れやすい
□目がゴロゴロする
□目がショボショボする
□目が重たい感じがする
□目が熱を持った感じがする
□目をつぶっていたい
□目がかゆい
□目がしみる
□目が充血しやすい
□目やにが出る
□目が痛い
□10秒以上目を開けていられない
□物がかすんだり、ぼやけて見える
□光がまぶしい
□わけもなく涙が出る
□視力が落ちてきたような気がする
■監修 横井則彦先生/京都府立医科大学眼科学教室 准教授。専門は、ドライアイおよび角結膜疾患