【本誌連載の拡大版】三浦大輔選手インタビュー(1)

横浜ウォーカー

これぞハマの番長の真骨頂! 11月の残留会見で胸をなでおろしたベイファンは多いはず。男意気を見せてくれたハマの番長が横浜ウォーカーに登場してくれました。改めてその過程と、横浜への思いに迫りました。

――11/17にFA(フリーエージェント)を宣言してからちょうど2週間後の30日に横浜ベイスターズ残留を表明しました。非常に長く感じられたのではないでしょうか。

「宣言する前からFAするか、しないかをだいぶ悩みましたけど、宣言してからの悩みの方がもっとすごかったですね。すごく長い2週間でした。交渉解禁日の初日に阪神タイガースさんから声をかけていただきましたけど、タイガースとベイスターズは僕にとってはどちらも地元なんですよね。高校卒業まで育った関西と、プロに入ってから17年間育ててもらった横浜。両球団からすごく高い評価をしていただきましたし、だからすごく悩みましたね」

――FA宣言するまでも葛藤があった?

「手をあげて宣言するべきなのか、しないべきなのか。三浦大輔という選手が17年間やってきたことに対してほかの球団の評価も聞きたいし、中途半端な気持ちで宣言しないのも後悔するだろうし……何球団からお話が来るかはわからなかったですけど、宣言して他球団の話をいろいろ聞いて、それで自分がどう動くか……それですぐ移籍という気持ちになるのか。もちろん手をあげるということは移籍も視野に入れているわけですけど、移籍する道と残るという道、どちらに進むかですごく悩みましたね。こんなにも悩むのか、というぐらいに」

――例えば夜眠れなくなったりとか、食欲が減ったりとかしたのでしょうか。

「多少は食欲も減りましたね。寝ることは寝るんですけど、1、2時間ですぐ目が覚めて、熟睡というのができなかった。野球をやっている時はもちろん野球に集中していましたけど、練習が終わって帰ってきて一人の時間になるとやはりね。夜中にパッと目が覚めて『何で目が覚めるんだろう』と。それと時間が流れるのが本当に遅かった。一日がこんなに長いのか、というぐらい、2倍、3倍もある感覚です。宣言してからまだ2日しか経っていないのかとか、そんな感覚でした」

――改めて残留へ一番の決め手となったのは何だったのでしょうか。

「いろいろな方からアドバイスをいただきましたし、ベイスターズファンからも、タイガースファンからも、プロ野球ファンからも声をかけていただいてすごく悩みました。そういうファンの声というのが決め手になった要因であるのは間違いありません。関西で育った僕にとってタイガースは憧れの存在で、実際にファンでしたからね。熱烈な阪神ファンの親父に連れられてよく甲子園に行きました。僕が小学校6年の時に日本一になったんですけど、その年は甲子園のスタンドでよく『六甲おろし』を歌っていましたからね(笑)。そのチームから声をかけていただいて、自分で『お願いします』と言えばそのチームを選べるところまで来ていましたからね。そういうのもあってすごく揺れ動きましたけど、じゃあ三浦大輔は何をどうしたいんだ、小さいころから憧れていたチームに行って地元関西でプレーするのがベストなのか、と改めて考えたんです」

――三浦さんの幼い記憶では阪神が大きな部分を占めていますよね。

「ことしは2位でしたけどタイガースは一番優勝に近いチームである一方、ベイスターズはというと一番遠いところにいるチームですよね。毎年優勝争いをしているタイガースに入って優勝するのか、一番遠いところから……本当に大変ですし、可能性はタイガースと比べたら低くなるかもしれないですけど、でもゼロではない限りはベイスターズで上を目指すのかと考えた時に、やっぱり下からはい上がっていくのがいい、と自分の中で思うようになったんです。

野球をやり始めた時からいままでを振り返ると、例えば高校では僕は市立校だったので私立強豪校の天理を倒さないと甲子園に出られなかった。実際、2年の春も夏も、3年の春も夏も全部天理に負けて、甲子園に行くことができませんでしたけど、負けたくない、はい上がって行きたいという思いが常にあったんです」

――三浦さんの原点ですね。いわゆる負けじ魂、反骨精神。

「小さいころから負けたくない、できないということが嫌だった。親に聞くと小さいころはコマ回しができなくて泣きながらできるまでやったそうです。あまり記憶にないですけどね(笑)。高校も天理に行けるような選手ではありませんでした。高田商業は無名で部員も少なく、いつも2回戦で負けていたんですけど、じゃあそこからはい上がって行ってやろうと。自分が1年から試合に出てチームを強くしたい、強い高校を倒したいという気持ちでやっていましたから、僕が野球をやっている原点はそこなんだな、と。優勝するまでの過程というのが僕の中ではすごく大事なんです」

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