4月から熊本市現代美術館 ギャラリーⅠ・Ⅱで開催されている「大竹伸朗 ビル景 1978ー2019」。好評を博しているこの展覧会は6月16日(日)までと、まもなく終了となる。
大竹伸朗は1980年代初めにデビュー以降、絵画を中心に、印刷、音、写真や映像などの多彩な表現を展開し、その活動は現代美術の世界だけでなく、文学やデザインを初めとし幅広いジャンルに影響を与えてきた。その中で、本展では、1970年代から現在までの約40年間にわたり、大竹が制作し続けてきた「ビル景」シリーズに焦点をあてている。
「ビル景」とは、現実の風景をそのまま描いたものではなく、大竹の中に記憶された香港やロンドン、東京といった様々な都市の湿度や、熱、騒音、匂いなどがランダムにミックスされ、「ビル」という形を伴って描き出される仮想の風景のこと。
多数の未発表作品から最新作まで800点以上を調査し、ビル景シリーズ全作品集の発行とあわせて、可能な限り展示することで、ビル景シリーズの全貌を明らかにしている力の入った展覧会だ。
デジタル技術全盛の現代において、一人のアーティストが数十年に渡り、自らの手で絵を描き作り続けることの意味とは何か。終了間際の「大竹伸朗 ビル景 1978ー2019」に出かけて大竹伸朗の世界観を堪能しよう。
ウォーカープラス編集部