綱島のご当地サワー「綱島サワー」とは?

横浜ウォーカー

その町を活気付け、ジモトに住んでいる人の「ジモト愛」をより強くする、ご当地グルメ。綱島駅周辺ではご当地グルメならぬ、ご当地サワーの「綱島サワー」が、町おこしの役を買っている。4年前に考案され、2年前に商品化。ご当地品としてはまだ新しいが、2年で綱島エリアの飲食店20店舗で取り扱う話題の飲み物に成長した。勢いを増す「綱島サワー」を紹介しよう。

新たな名産「大葉」の特製ピクルスを使用


「綱島サワー」の特徴は、なんと言っても「大葉(シソ)」のピクルスだ。サワー専用のピクルスを独自に開発して使用している。程よい酸味と、シソのさわやかさや、葉っぱのシャキシャキした食感までを絶妙に残した、そのまま食べてもおいしいピクルスだ。綱島サワーと、要となる大葉のピクルスを考案したのは、ジモトのダイニングバー「FATMAM」店主の月岡輝行さん。

これが「綱島サワー」。前にある緑の葉っぱが「大葉のピクルス」(C)KADOKAWA 撮影= 松本順子


「綱島に店を出して22年、綱島という町には感謝の気持ちしかありません。綱島を盛り上げたいという気持ちから、ご当地サワーを考えて奔走しました。綱島といえば桃の産地でもあった歴史もあり、実は桃を使った桃果(とうか)サワーというものも現在商品化を目指しているんです。ですが、いろいろ調べた結果、大葉を使ったサワーならほかのどの地域にもないということがわかり、最初はこれしかない!と考えました。」

しかし、そのころの綱島周辺には、大葉を作っている農家はもちろんなく、その大葉を作ってくれる農家を探すことからチャレンジは始まった。

【写真を見る】「綱島サワー」は、大葉のピクルス、焼酎45ml、ソ ーダ水を使用(C)KADOKAWA 撮影= 松本順子


「大葉を作ってくださる農家さん探しが本当に大変でした。農地は一度作物を収穫したら、ある程度土を休ませなくてはならない。その間、畑は使えなくなるわけですし、新しい作物を作るということは、農家さんにとっても賭けのようなもの。最初は門前払いで話も聞いてもらえなかったけれど、大葉のことや農業のことを自分でも勉強したりして、何度も畑に足を運びました。農家さんを訪ねていくうちに、徐々に話を聞いてくれるようになって。2年かけてようやく納得してくれて、今では周辺の4軒の農家さんが協力してくださっています」。

 元から大葉が名産だったわけではない。名産そのものを作ってしまうという発想に驚く。最大の難題だった農家の協力を得て、大葉を確保。そしてそれを独自にピクルスに開発。「綱島サワー」が誕生した。

「綱島サワー」はどこで飲めるのか


綱島駅界隈の店約20店舗で出されているという「綱島サワー」。どうせなら現地で味わいたい! というわけで、代表する綱島の店舗を紹介しよう。

「くつろぎの店 どなん」のメニューは、石垣島出身店主の家庭の味がベースだそう(C)KADOKAWA 撮影= 松本順子


「くつろぎの店 どなん」。石垣島出身の店主が営む、綱島でも古参の沖縄料理店だ。ゴーヤの苦味をほんの少し残したごーやちゃんぷるー(780円)、コトコトと時間をかけて煮込んだ、プルプルのらふてー630円、沖縄県民のソウルフード・ポーク天(470円)など。沖縄の本格的な家庭料理がズラリと並ぶ。なかなか味がしっかりついた沖縄料理だが、綱島サワー(450円)のほのかな酸味が合い、あと味もさわやか。定期的に沖縄民謡のライブも小上がりで行われるとのことで、綱島と沖縄の競演を楽しんでみてはいかがだろうか。

餃子が看板の「中華料理 珠鴻(しゅうこう)」は、綱島の町中華として人気(C)KADOKAWA 撮影= 松本順子


「中華料理 珠鴻(しゅうこう)」。周辺を代表する町中華として君臨。ランチ激戦区の綱島で、ウェイティングができるほどの人気店だ。エビチリあんかけチャーハン(950円)は、2018年の「ガチチャーハン!」で銅賞を受賞した。エビがゴロゴロと入ったピリ辛のエビチリはこの店の人気No.1メニューで、塩加減が絶妙なチャーハンとのコラボが実現した。自家製の餃子(450円)も看板で、テイクアウトでも人気だ。飲み口すっきりの綱島サワー(480円)は、中華との相性もいい。

「TSUNASHIMA RAMEN 誠信」は、ジモトではご当地ラーメンとしておなじみ(C)KADOKAWA 撮影= 松本順子


「TSUNASHIMA RAMEN 誠信」。駅から少し離れた、樽町エリアにあるラーメン店。リニューアルを経て、カフェのような店舗になった。女性にも入りやすい内装だ。鶏を使ったメニューが人気で、もちろんイチオシは鶏白湯塩らーめん(800円)。少し太めの食べ応えのある麺が、圧力寸胴で旨味を凝縮させたスープを絡め取る。スープはしっかりダシが出ているが、さっぱりしていて飲みやすい。濃厚ながらも、くどさを感じない味わいだ。綱島サワー(400円)と味わえば、よりさわやかに。こちらの店舗、チキンオーバーライス600円など本格的なグリルで仕込む鶏メニューも充実しており、こちらもサワーにおすすめだ。

「くしやき処 月忠 綱島店」は、オープンカウンターで串を焼いている姿が見られる(C)KADOKAWA 撮影= 松本順子


串焼き盛り合わせの内容は、おまかせ。手前左のささみ梅串など5本盛り合わせ(C)KADOKAWA 撮影= 松本順子


「くしやき処 月忠(げっちゅう) 綱島店」。18年開店、綱島が本店の「やきとん」が名物の串焼き店。綱島の野菜や、日本酒も豊富で、土曜・日曜・祝日は昼から飲める。日本酒は、珍しい銘柄はもちろん、今流行りの味わい華やかな日本酒までを揃えている。おまかせ盛り合わせ(1,450円)で、串焼きの肉は、横浜の精肉卸から仕入れるほか、鹿児島から仕入れるものもある。野菜はその時の旬のもの。串のタレは、継ぎ足しだ。お酒のすすむタレの串や、素材を生かした塩の串、いずれもの味も、綱島サワー(640円)なら引き立ててくれる。

「FATMAM」の大葉ジェノベーゼは、綱島サワーに使っている大葉と同じ大葉をたっぷりと使用(C)KADOKAWA 撮影= 松本順子


そして、綱島サワーの発案者、月岡さんが営むダイニングバー「FATMAM(ファットマム)」。大葉をふんだんに盛り込んだ料理が、県外から来店するほどSNSで話題。綱島の地野菜を盛り込んだメニューも人気だ。大葉ジェノベーゼ1,000円(ランチセットにスープ、ドリンク付き)、夜は単品(1,080円)。通常はバジルを使うジェノベーゼソースに大葉を使い、上にもこんもりと乗せる。全部で200枚以上が使用されているという。そんなメニューが、綱島サワー(600円)にも合わないわけがない!

勢いは周囲を巻き込んで、一部都内や綱島以外の県内店舗でも取り扱われている。そこで綱島サワーを飲んだ客が、綱島に訪れることもあるというから「綱島」の名前を売るのに一役買っている。ご当地サワーとしては大成功だ。大葉の旬は、まさに今。早めにチェックしておこう!

【取材・文=濱口真由美/撮影=松本順子】

濱口真由美

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