8月30日(金)に公開された映画『引っ越し大名!』で、6年ぶりに映画主演をつとめた星野源。本作はユニークな視点で時代劇の新しいジャンルを開拓した土橋章宏原作の「引っ越し大名三千里」を原作に、犬童一心監督がメガホンを取り、実写化。主演をつとめた星野源が来福し、撮影の裏話や作品に挑む気持ちなどを語ってくれた。
ーーー脚本を読んだ感想は?
「とても現代的な主人公だなと思いました。身分差や上下関係があって当たり前の時代に人間はみんな一緒でしょ、と素直に思っている。それが今の現代の僕たちの常識にすごく近い。とてもシンパシーを感じるし、今の僕たちの普通というものが、あの時代では異端だったんだと感じました。最後には予想もしなかったような感動にたどり着く感じがすごく気持ちがよくて、とても好きな作品だなと思いました」
ーーー演じていて共感した部分や楽しかったことは?
「春之介は家に引きこもっているのではなくて職場に引きこもっているんです。職場に本がたくさんあって、本が好きなのでそこに籠もっている。僕は中学一年生の時から音楽と演劇をやり始めたんです。それが今仕事になっていて、自分の好きだという気持ちを中心に仕事が出来ているのは、彼と通ずるものがあります。これは自己肯定の物語だなと思って、すごくいいメッセージだなとも思うし、僕自身も自分の好きなことをやっているだけでは、うまくいかないのかもしれない業界の中にいますが、できるだけ自分の好きなものを好きなように色んな人に届けたいという気持ちで活動をしてきたので、そういう部分では春之介にシンパシーを感じます」
ーーー撮影現場で印象に残っていることはありますか?
「今回、初めての京都・太秦映画村での撮影ですし、どうなるのかな?と少し不安はあったのですが、みなさんが本当に優しくて。例えば休憩中に演技論みたいな話をする人も一人もいなくて、最高に楽しかったです。僕はそういうのが少し苦手なので(笑)。休憩中もたわいもない話をしてゲラゲラ笑ったり、好きな音楽や食べ物の話をしてオススメし合ったり。とても楽しい現場でした」
ーーー出来上がった作品を観ての感想は?
「シンプルにおもしろいなと思いました。環境としては朝4時~5時くらいに支度して、夜中まで撮影が続くような過酷な状況だったので、とにかく必死にやっていたんです。なので、基本的に記憶がないです(笑)。「大変だったな」「がんばったな」という記憶はあったんですけど、でも完成したものを観たら、こんなにおもしろく撮れていたんだと感じられて、うれしかったです。監督もサラリーマンものって仰っているくらい、社会で生きる上での厳しさとか、会社員ならではの苦悩とかがいっぱい詰まっています。ですが、こんなに小さなお子さんからお年寄りまで楽しめる作品ってなかなか無いと思います。もちろん時代劇が好きな方も楽しめる作品だと思います。そういういろんなハードルを越えたエンターテインメントになっていると思います」
ーーー演じていて楽しかったことは?
「『引っ越し大名!』というタイトルからはイメージが沸かないと思うんですけど、ラブもありまして(笑)、高畑充希ちゃん演じる於蘭との告白シーンがあって、それがすごく楽しかったんです。それが時代劇ではあまり見たことがないような告白シーンなんです。僕はそれがすごく好きで、リハーサルを重ねるにつれてお芝居が成長していったというか、演じていても楽しくなっておもしろくなって、その勢いみたいなものが映画の中にもしっかり映されている感じがありました。ぜひ観て頂きたいですね」
映画『引っ越し大名!』は大ヒット公開中!
文乃