”恐竜イベント”大人気のヒミツを恐竜博士に直撃!私たちが恐竜に夢中になるワケとは

東京ウォーカー(全国版)

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近年、全国で数多くの恐竜の展示会やイベントが開催され、ファミリーを中心に人気を博している。中でも、現在国立科学博物館にて開催中の特別展「恐竜博2019」は動員を伸ばし続け、なんと40万人を突破。50年以上の時を経て全貌が判明した”謎の恐竜”「デイノケイルス」や、日本で初めて全身化石が発見され、新種として認定を受けた「むかわ竜」も展示されている。そこで、「恐竜博2019」の監修を行う恐竜学者の真鍋真氏に直撃インタビューし、”恐竜イベント”の人気の秘密や見どころ、恐竜研究にかける想いを語ってもらった。お話の中で、「恐竜が私たちを魅了し続ける理由」が明らかになってきた。

「国立科学博物館」(東京・上野公園)の特別展「恐竜博2019」の様子。親子連れも多く訪れている


恐竜イベントをファミリーにオススメできる理由は”楽しみ方の多彩さ”


真鍋氏:特別展「恐竜博2019」は88日間のイベントで、7月13日(土)にスタートしてちょうど半分まできました(※インタビューは8月28日に実施)。来場者が10万人を超えるごとに記念のセレモニーを実施しているのですが、もうすぐ40万人に達するほど多くの方にお越しいただいています。

印象として、未就学児くらいの年齢のお子さまがいつもより多くいらっしゃっているなと感じています。そういったお子さまにとって恐竜イベントというのは、単純に「この恐竜大きい!」「かっこいい!」といった見方で楽しめるものですよね。

「あの恐竜はね…」「なんでこれはこうなの?」といった、他のお客さまの発言を聞いて自分たちの会話に取り入れている方がいたり、目に飛び込んできた面白そうなものから自分なりの気づきを得ている方がいたり、活発にコミュニケーションしているご家族がいたり…。

恐竜が好きな方や、子ども時代に恐竜イベントに足を運び、ワクワクした経験を持つ方にとって楽しい空間であることはもちろんですが、大人の方とお子さまが恐竜という共通の話題を通して自然にコミュニケーションを交わせる場所だとも感じています。

また、「恐竜博2019」の第1会場には「Chapter1」から「Chapter5」までのエリアがありますが、途中に休憩スペースも設置しているため、各々に合ったペースで回ることができます。第2会場には、岩石から化石を取り出すプレパレーターの仕事を間近に見ることができる「化石クリーニングラボ」や、図録やオリジナルグッズを購入できる「恐竜博ショップ」もあります。

そして、なんといっても今回注目したいのは、50年以上前に発掘されながら「謎の恐竜」といわれてきた「デイノケイルス」の全身復元骨格と、日本の恐竜研究史上最大の発見とされる「むかわ竜」の全身実物化石・全身復元骨格です。

「国立科学博物館」標本資料センターコレクションディレクター・真鍋真博士


展示も工夫!大人気「恐竜博2019」の注目ポイントは、学説をひっくり返す大発見


第一の見どころは、デイノケイルスです。デイノケイルスは前あし以外の化石が見つからず、長い間「謎の恐竜」といわれてきました。ところが近年、頭骨や胴体、後ろあしなどを含む2体の化石が発見され、幅広なクチバシ、背中の帆のような構造、指先が手のようにとがっていない足などの特徴が判明しました。これが、肉食恐竜と植物食恐竜の特徴をあわせもった、キメラのような”想定外”の恐竜だとして驚きを呼んだのです。

【画像】50年以上を経て”想定外”の全貌が判明してきた「謎の恐竜」デイノケイルスの前あし


実物化石をもとに作られた全身復元骨格は、全長約11m、高さ約4.5m。見上げるような巨大な姿が初めて明らかになり、本展では、このデイノケイルスの頭骨などの貴重な実物化石と共に、全身復元骨格を世界初公開しています。

もう一つの見どころは、むかわ竜です。北海道・むかわ町にて、日本で初めての大型恐竜の約8割以上がそろった全身化石として発見され、大きな話題となりました。その全身実物化石と、迫力の全身復元骨格を世界初公開しています(※地元・むかわ町をのぞく)。体を大きく前傾させ、歩く途中でふと顔を上げたようなポーズで復元しているので、注目してみてください。実物化石は床に展示されているので、なかなか写真に収めづらいと思い、頭上に全体像が見えるよう鏡を設置しました。ぜひ鏡越しに写真を撮ってみてください。恐竜の展示会では、単に学術的な発見を紹介するだけでなく、このような工夫も凝らしています。

また、会場には「デイノニクス」のホロタイプ標本も初来日しています。これは、1960年代まで当たり前だった「恐竜は変温動物で、適応力が乏しく絶滅してしまった」という認識をひっくり返し、「恐竜温血説」と「鳥類の恐竜起源説」が提唱されるきっかけとなった恐竜です。この現象は「恐竜ルネサンス」と呼ばれています。

その他、約6600万年前の地層から発見された「ヴェガヴィス」という鳥の化石も展示されています。鳥類は、恐竜を含む多くの生物を滅ぼした大量絶滅イベントを生き延びた存在であり、これは現時点では発声器官である鳴管(めいかん)の”世界最古”の化石だと言われています。

最新テクノロジーで分かったというヴェガヴィスの鳴き声


ヴェガヴィスは、この鳴管によって現在のガチョウのように鳴くことができたと考えられています。これは、マイクロCTを使った分析によって鳴管の3Dモデルを構築することで、詳細な研究が可能になり分かったことなんです。小さなきっかけから発見したことですが、「もしかしてこうかも?」ということは今後もどんどん積極的に、見逃さずに研究していきたいと思っています。

恐竜研究の先の真実 そこから人類が得るものとは


このように、テクノロジーの進化とともに恐竜に関するさまざまな新事実が発見されるようになってきました。そのため、2019年のいま私がお話ししていることも、あとから「間違っていた」ということになるかもしれません。ですが、それは私たちが長い恐竜研究の歴史を経て少しずつ恐竜の謎を解き明かし、正解に近づいていっているということなので、嬉しいことともいえますね。私自身、かつて学んだ海外の教授たちからバトンを受け継いだと思っていますし、いま恐竜博に来て目を輝かせている子どもたちが、いつか研究者になって私の研究の先の真実を見つけてくれたらと思います。

さらに一説には、現在私たちは地球における「第6の大量絶滅期」を迎えているとも言われています。そこで、当時地球に君臨していた恐竜の絶滅の謎に迫ることで、「人類がこれから地球で生き残っていく術」を学ぶことにも繋がるのではないかと考えています。

「シンプルな魅力」と「奥深さ」あわせもつ恐竜イベントのこれから


真鍋氏の話から、家族連れで恐竜イベントを訪れる楽しさや「恐竜博2019」の見どころ、そして「なぜ恐竜は私たちを夢中にさせるのか」の秘密がわかってきた。「恐竜博2019」をまだ訪れていない人は、少し涼しくなり混雑もおさまってきた今がチャンス。一人で恐竜をじっくり楽しむもよし、家族や友達とワイワイ楽しむもよし、ぜひ足を運ぼう。

また、「恐竜博」は近年3年に一度の開催となっているが、全国では他にも人気の恐竜イベントが実施されている。従来のような博物館はもちろん、恐竜時代を体験できるようVRを用意したエンターテインメント施設や、動く模型を展示する屋外施設など、その見せ方もさまざまな形に進化。「大きい!」「かっこいい!」といったシンプルな魅力と、ミステリアスで奥深い魅力をあわせ持ち、大人も子どもも楽しめる恐竜イベント。進化を続けていく姿に、これからも注目していきたい。

■真鍋真(まなべ・まこと)/国立科学博物館 標本資料センター コレクションディレクター 恐竜研究の第一人者。長年にわたり「恐竜博」の監修を務めている。近著「恐竜の魅せ方」(1400円・税抜き/CCCメディアハウス)では、「展示の舞台裏を支える人々がどのように恐竜と向き合っているか?」という切り口から、恐竜の面白さ、魅力、最新の発見を伝えている。

■特別展「恐竜博2019」/1969年に命名された肉食恐竜デイノニクスにより、恐竜研究の新しい時代が始まった。本展では、その後めざましく発展した恐竜学50年の歩みを紹介し、近未来を展望。世界初公開・日本初公開の貴重な実物化石や全身復元骨格など、恐竜学の新時代をつくった重要標本を一堂に紹介する。

場所:国立科学博物館(東京・上野) 会期:2019年10月14日(祝)まで 休み:9月9日(月)、17日(火)、24日(火)、30日(月)  時間:午前9時~午後5時(金曜・土曜は午後8時まで) ※入場は各閉館時刻の30分前まで

平井 あゆみ

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