アイテムは300以上!鰹節・海産物・花かつお製造元「轟屋」

東京ウォーカー(全国版)

川越のメイン通りにあり、昭和の街の会に店を構える創業80年以上の「轟屋」。鰹節・海産物・花かつおの製造元であり多くの乾物を販売する同店には、地元の人はもちろん、土産を購入する観光客がひっきりなしに訪れる。

社長の石井正美さん。店頭には鰹節をはじめ、きくらげやシイタケといった乾物がズラリ


観光地となっている蔵造りの街並みより、本川越駅寄りに位置。観光帰りの人や地元の常連など多くの人々が足を止める


鰹節は焼津、鹿児島県枕崎、鹿児島県山川から厳選、昆布は利尻・羅臼・日高といった北海道産の一等級品が並び、煮干しは千葉や瀬戸内海など全国各地から取り寄せている。「親子三代で通ってくださる常連さんもいて、うれしいですね」と話すのは社長の石井正美さん。撮影時には「いらっしゃい。元気?この前もありがとね」と常連客と会話を交わし、「これも持って行きなよ」と商品をサービス。「いつもじゃないんだけど、賞味期限が近いものとかを来てくれたお礼にお渡しすることも。たまにはね(笑)」と優しい笑顔を見せてくれた。

鶏のムネ肉を使った100%自然由来の「鶏節」がスゴイ!


「鶏節」(25g・350円)は全部で3種類。白米はもちろん、煮浸しなどにふりかけて楽しめる


左からプレーン、川越の松本醤油の醤油を使ったはつかり醤油、たまご


6年ほど前に商品化した「鶏節」(350円)は、その名の通り、鶏の胸肉を使った削り節だ。石井さんが修行時代、娘さんに安全な離乳食を食べさせたいという思いで開発に取り掛かり、約1年の歳月をかけて完成させたという。「鰹節を使った離乳食は自分たちで作ることができますが、チキンスープを食べさせたくても当時、無添加のものはほとんどなかったんです」(石井さん)。

鶏削り節はたんぱく質が豊富で様々な料理や食材との相性もバッチリ。旨味成分のグルタミン酸は市販の鰹節よりも多く老化防止も期待されているなど、幅広い世代で愛用できる優れものなのだ。

「かつお粉」(120g・350円)と「かつおスライス」(40g・350円)も大人気


粉末状になった「かつお粉」(120g・350円)とスライス状の「かつおスライス」(40g・350円)もロングセラー。「かつお粉」は味噌汁の出汁やスープに加えて飲むのに適しており、スライスは冷奴などに添えるのに◎。「鰹節を使って出汁を取る人が少なくなっているので、粉末状やスライス状だと気軽に使っていただけると思います」と石井さん。

地元の食育を推進する役割も


職人技により薄く削られた「轟屋」の花かつお。店頭では持込の鰹節を500円で削ってくれるサービスも


川越市の保育園、小・中学校の給食に商品を卸している同店。石井さんは「子供のころから添加物などではなく、素材の味を感じられる真っ当な食材を食べてもらいたい」と話す。幼少期や学生時代から本物の出汁の味を知る子供たちが大人になったとき、「轟屋」を訪れて昔から馴染みのある鰹節や乾物を購入できるというのも、地元に根付いた老舗ならではの物語だ。

日常的に使えるリーズナブルな荒節(写真左)と、高級料亭などで使われるカビ付けを繰り返した本枯節。取引先が多い同店では両方取り扱う。


2017年には、川越の新たな名物として地域の食材や地元で作られている醤油を使った「川越醤油ラーメン」誕生のきっかけ作りを行うなど、地域活性化にも一役買っている。

「本物の味を知る人を増やしていければ」と石井さん


「川越はもともと城下町として発展した場所。それだけに天ぷら店やうどん店といった飲食店も多く、うちの素材を使っていただいています。川越の松本醤油店をはじめ、近隣には醤油を生産する会社が2つもあるので、“本物の味が体験できる街”として発展できたらいいですね」(石井さん)。

一方で「夜が寂しい街でもあるので、若い人たちが入って商店街を盛り上げてくれたらうれしい」と話す。最近では個人で経営するカフェや飲食店も増えてきたという。新製品を開発し続ける「轟屋」と新しいカルチャーを受け入れていく昭和の街の会の発展に、今後も注目していきたい。

轟屋はAmexとJCBの地元を応援するプログラム「SHOP LOCAL」参加店です

【編集・取材・文=CRAING/撮影=齋藤ジン/ウォーカープラス編集部】

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