【連載】はんつ流ラーメンの楽しみ方(1)
寒くなればなるほど美味しく感じられるラーメン。なかでも味噌ラーメンはスープが熱々で野菜もたっぷり。湯気がふわ〜っと立ち上る姿を見るだけで食欲が増してくる。
もともと味噌ラーメンは北海道の札幌にある“味の三平”が元祖という説が有力だ。昭和30年代に常連客に提供していた豚汁に「麺を入れてよ」といわれたのがきっかけで、その後、研究を重ねて商品化したのが最初だそう。この札幌の味噌ラーメンは、スープと野菜などを中華鍋であおって作るのが通常。そのためスープと具が一体化し、熱々のテイストを楽しむ事ができる。東京でも“天照”(堀切菖蒲園)など、このスタイルを取る店はとても多い。
また、味噌ラーメンは他の醤油や塩といった別のラーメンと一緒にメニューに加わるばかりでなく、近年はそれに特化した店舗もいくつか登場し、話題を呼んでいる。例えば“北の大草原”(亀戸ほか)。こちらは定番の「味噌」のほか「辛味噌」や「香り味噌」など、さまざまな味噌メニューが存在し、多様なニーズに応えているのだ。
そんななか、ここへ来て東京では新しい味噌ラーメンのトレンドが動き出している。それはいわゆる「東京味噌ラーメン」という新ジャンル。作り方が全く違う。中華鍋を用いず、丼に味噌ダレを入れてスープを注ぐスタイル。特に“江戸甘”(都立家政)などでは、東京に江戸時代から伝わる江戸甘という味噌を用い、より東京ナイズを追求している。この味噌は砂糖のように甘いので、他に渋味となる食材を用いて味を整えているそう。中華鍋で作る方式だとラードも大量に用いるためギトギトした味わいになる事が多いが、このスタイルだと油をあまり用いないため、味噌本来のトロミはあるもののギトギト感がない。ヘルシーブームといわれる昨今にあっては、このスタイルが理にかなっているのかもしれない。【フードジャーナリスト・はんつ遠藤】