日本でも秋の風物詩としてすっかり定着したハロウィン。全国各地でさまざまなイベントが実施されるが、毎年多くの人が集まり、“大盛り上がり”する場所といえば渋谷だ。パレードなどが実施されるわけではないのだが、今年も渋谷スクランブル交差点を中心に混雑極まる状況になることが予想される。そんななか、今年は「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」が成立し、渋谷区は対策を強化中。路上での飲酒を禁止すると共に、酒類を扱う店舗への販売自粛を呼びかけるなど、対策を講じている。そこで今回は、渋谷区観光協会にも、大騒動が予想される中での対策を聞いた。
有志の著名人が集いマナー啓発ムービーを製作、「安心、安全、きれいな渋谷」へ
同協会は、今年、渋谷のハロウィン期間におけるマナー啓発ムービー「SHIBUYA PRIDE SHIBUYA HALLOWEEN」を制作し、10月25日より渋谷街頭ビジョン及びAbemaTV広告内で放映している。このマナー啓発ムービーは「安心、安全、きれいな渋谷の街を多くの人々が訪れ、楽しんでほしい」という思いで制作している。
そして、渋谷にプライドをもって、渋谷を「自分の街だ」と思い、大切にするという意味の「SHIBUYA PRIDE SHIBUYA HALLOWEEN」「ハロウィンを渋谷の誇りに」というコンセプトを掲出。これに賛同したラッパーのZeebra(渋谷区観光大使ナイトアンバサダー)、渋谷のあっくん(渋谷区観光大使パーティーアンバサダー)が声を掛けたことで、多くの著名人が啓発ムービーに出演した。
誘致ではなく“自然発生”ゆえの悩みも…「街を汚さず、人に迷惑をかけないハロウィン」を呼びかけ
3~5年前くらいからだといわれているこの渋谷ハロウィンの盛り上がり。同協会担当者によると、もともとは「仮装姿の若者たちが一夜限りの仮装パーティを楽しむために集まったりしていたようです」とのこと。
昨年は、酒に酔った若者が軽トラックを横転させたり、暴行、痴漢行為、窃盗などで20人以上が逮捕されたりと騒ぎが大きくなったが、どのような街の声が届いたのか聞いてみると、「去年は逮捕者も出ましたし、ハロウィンの渋谷の街状況は悪化したとの声がありました。一方で、軽トラックを横転させた人が逮捕されたことで、警察への信頼度がさらに高まったとの声もありました」とのこと。
ちなみに、同担当曰く「渋谷はハロウィンで集客をしようとしているわけではなく、自然発生的に人が集まっているだけ」。「行く場所がない」と、ただ街にたむろしている人たちが酔ってゴミとなった瓶を割ってしまったり、その割れた瓶でケガをしたりといったトラブルも起きていたという。同協会は、今年も清掃に関する対策「ごみゼロ大作戦」を実施するそうで、クリーンなハロウィンを呼び掛けるための「渋谷のハロウィンMAP」を作り、ハロウィン翌朝の早朝に街を清掃する。
同協会は「自分の街だからこそ、汚したくない、人に迷惑をかけない、そんな思いをハロウィンの時期、渋谷の街を訪れる人に伝えていきたい」と話している。
平井あゆみ