高知県香南市の絵金蔵で、12月22日(日)まで「曽我兄弟」が開催されている。
日本の芸能史上最も演目数が多い曽我物は、赤穂浪士の討入りと伊賀越えの仇討ちに並ぶ日本三大仇討ちの一つとして人気を博したにもかかわらず、絵金作品では6点(うち3点は絵馬、白描は未確認)ほどしか確認できていない。
今回は、同館寄託作品の横幟「曽我兄弟討入」と、巻子「曽我物語」(高知県立美術館蔵)を同時に紹介。数少ない絵金の貴重な曽我物作品を展覧する機会となっている。
これまで展示することの難しかった大きいサイズ作品である横幟《曽我兄弟討入り》(個人蔵)も展示されている。130.9×172.9センチメートルの画面に描かれた曽我兄弟の仇討ちの場面には、仇敵である工藤祐経へ今にも斬りかかろうとする兄弟と、突然寝所にいるところを襲われた祐経がダイナミックに配置され、見る者に強い臨場感を与える。
担当者は「巻子『曽我物語』には兄弟が敵討ちをするきっかけとなる、父・河津三郎が弓矢で撃たれる場面が描かれており、横幟『曽我兄弟の討入』では、兄弟が伊出の屋形でついに仇を討ち果たした場面が描かれています。物語の最初と最後を、違う画風でご覧いただけるまたとない機会。芸術の秋、『曽我物』を通して、絵金作品をご覧になってみてはいかがでしょうか」と来場を呼びかける。
芸術の秋に相応しい展示。まだ訪れていない人はぜひ訪れよう。
ウォーカープラス編集部