TVアニメ、少女コミック、小説、ゲーム等、一大カルチャー・ムーブメントを巻き起こした伝説のダークファンタジー作品『地獄少女』の実写映画にて、玉城ティナが主演を務める。『Diner ダイナー』、『惡の華』と、数々の個性的な役柄で話題作への出演が続く玉城。今作の閻魔あいという役にどう向き合ったのか、本作で描かれる“怨み”や“恐怖”という感情についての話題を交えながら語ってもらった。
『貞子vs伽椰子』をきっかけにホラーを克服
――最初に脚本を読んだ時の印象はいかがでしたか?
【玉城ティナ】原作にはないストーリーですが、原作が伝えようとしている“人を呪わば穴二つ”というテーマがブレていないからこそ、映画オリジナルの新しい解釈の中に『地獄少女』らしさがあるお話だと感じました。白石晃士監督のテイストがすごく入っていて、ホラーっぽさもありますけど、人間ドラマとしておもしろいなと思います。
――そのホラーっぽさも特徴の作品ですが、普段からホラー作品は観ていますか?
【玉城ティナ】昔は得意じゃなかったんですけど、最近、観られるようになってきました(笑)。以前、白石監督とお仕事させていただいた映画『貞子vs伽椰子』の撮影に入る前に、勉強として観始めたのが最初でした。日本のホラー作品って、海外ホラーとはまた違ったテイストで“ジャパニーズホラー”として確立している意味がわかります。
――本作の出演が決まった時は、どう感じたのでしょう。
【玉城ティナ】やっぱり最初は驚きましたね。でもすぐに「挑戦したい」とも思いました。フィクションとリアリティがうまく組み合わさって、どの世代でも理解できるというのがこの作品が長く愛されている理由だと思いますし、私を含め、原作ファンがとても多い作品です。
なので、漫画版、アニメ版の共通点や良いところはなくさずに、映画版ならではの新しい『地獄少女』、私ならではの閻魔あいを作っていけたらと思って撮影に挑みました。例えば、決め台詞の「いっぺん、死んでみる?」など短い言葉の中で、どれだけ気持ちを伝えられるかというのが大事だなと思ったので、そこはアニメ版の閻魔あいをすごく参考にしたところでもあります。
「私は地獄には行きたくない」けど理解はできる
――閻魔あいは都市伝説として広まった「地獄通信」というサイトを通じて、依頼人が復讐をしたいと思っている人を地獄送りにする役どころですね。
【玉城ティナ】依頼をしてくる人たちは、精神的に極限状態に陥っているので、そういう相手を俯瞰で見られるように、あまり相手に寄りすぎないように、というのは演じるうえで心掛けていました。みんな感情のボルテージが上がっているので、だからこそ、相手の感情に引きずられないように、フラットな状態でいたいなと。誰かと会話する時も、目線を合わせず、まばたきもしないというアイディアを提案して、監督に採用していただきました。
――依頼者の一人である美保(森七菜)は、親友を助けるために閻魔あいと契約しますが、もし、玉城さんが美保の立場になったとしたら、契約をすると思いますか?
【玉城ティナ】親友を助けたいという美保の気持ちはすごく理解できますけど、私は地獄には行きたくないなぁ…。だから「地獄通信」のない世界でよかったなと思います(笑)。
ただ、「地獄通信」がある世界線で生きていたら、そういう選択をする人もいるのかなとは思います。劇中では、美保と親友の遥(仁村紗和)が仲の良かったころから、怨みや復讐というマイナスな感情を抱いていく過程が人間ドラマとしてしっかり描かれているんです。だから、何をしてでも親友を助けたいと契約した美保の立場で考えると、難しいですよね。
閻魔あいの“姫カット”に徹底的にこだわりました
――原作ものの作品はビジュアル面も重要ですが、原作ファンでもある玉城さん的にこだわったポイントはありますか?
【玉城ティナ】閻魔あいは、“姫カット”(そろえた前髪&フェイスラインで段をつける、かぐや姫のような和風のお姫様を現代版アレンジした独特なヘアスタイルのこと)具合がすごく重要なんです(笑)! ちょっと風になびくだけでも、雰囲気が全く違って見えたりするので。だから、撮影の直前までヘアメイクさんが姫カットの部分をピンで留めてくれていて、「よーい!」の声がかかったら外してもらうという感じで、皆さんの協力のおかげで理想に近づけたと思います。また、目の印象を強くしたかったので、カラコン選びもこだわりましたし、自分の持っているアイシャドウを持ち込んで、メイクさんや監督と相談しながら作っていきました。
SNS時代だからこそ…クチコミで広がる身近な“恐怖”に注目
――ちなみに、玉城さんが子供のころに信じていた都市伝説があれば教えてください。
【玉城ティナ】たぶんあると思うんですけど、忘れちゃっているっていうのもあるし、できれば思い出したくない…(笑)。
――やっぱり怖いですか?
【玉城ティナ】怖いですよ~(笑)! でも小学生の時って、たしかにそういうのが流行っていましたよね。私は小さいころはめちゃくちゃ怖がりだったので、学校ではトイレも友だちと一緒に行っていました(笑)。今はSNSで情報が広がっていく世の中ですけど、都市伝説は口コミで広がっていく怖さというのがありますよね。まとわりつくような怖さというか、誰もが身に覚えがある、みたいな。
たましろてぃな●1997年10/8、沖縄県生まれ。講談社主催の「ミスiD2013」で初代グランプリに輝き、14歳で講談社「ViVi」の最年少専属モデルとなる。2014年に、ドラマ「ダークシステム恋の王座決定戦」(TBS)のヒロインで女優デビュー。2015年に映画「天の茶助」でスクリーンデビュー、2018年、映画「私にXXしなさい!」雪菜役で映画初主演を務める。映画『AI崩壊』の公開を2020年1月31日に控えている。
撮影=八木英里奈/取材・文=榎本麻紀恵/ヘア&メイク=今井貴子/スタイリスト=丸山佑香(まきうらオフィス)