進化を続ける“毎日飲みたい一杯”「COFFEE STAND seed village」
明治通りに面した「シード ヴィレッジ」に、今日もひっきりなしに人が吸い込まれていく。「高品質のコーヒーを日常的に楽しんでほしい」という思いを掲げ、5年前にオープンした小さなコーヒースタンドは、すっかり街の風景の一部となった。
店主の種村拓哉さんはJBCのセミファイナルに進出したこともある実力派バリスタ。豆も日本最高峰の豆を扱う「丸山珈琲」などから仕入れ好評を博してきたが、次第に自分の店だけの味を提供したいと思うように。そして最終目標を「コーヒー農園との直接取引」とし、さまざまなコーヒーやアイテムを扱う。その一つがタイコーヒー。「タイの豆は酸味が少なくスペシャルティの基準では評価されにくい豆。ただ、マイルドな味わいで日本人の味覚には向いているんです」と種村さん。
17年からは店で使う豆の全量を自家焙煎に切り替え、生まれたのが「大名二丁目ブレンド」(300円〜・税込)。誰もが毎日飲めるような“究極の飲みやすさ”を目指した。「コーヒーの味は豆7割、焙煎2割、抽出1割とよくいわれます。でも僕はバリスタ出身だから、バリスタにできることがもっとあることを示したいんです」。屈託のない笑顔の奥に種村さんの信念が垣間見えた。
[COFFEE STAND seed village(コーヒー スタンド シード ヴィレッジ)]福岡県福岡市中央区大名2-4-31 / 080-1537-8701 / 8:00〜18:00、水曜〜21:00、土曜10:00〜18:00 / 日曜・祝日休み
人柄が溶け込んだネルドリップコーヒー「珈琲花坂」
大名の路地を抜け、雑居ビルの5階に上がると、喧騒を忘れ静かな喫茶が楽しめる「珈琲花坂」がある。花坂和英さんがコーヒーに目覚めたのは東京でDJなどをしていた20代の半ば。コーヒーに何者にもとらわれない自由さを感じ、独学で焙煎をはじめ、喫茶店でも働き始めた。30歳でコーヒー屋として独立するために福岡に移住。店を一から作ることも考えたが「早くコーヒーに触りたい」と考えていたころ、縁があって「バー ペトロール ブルー」に足を運び、昼間の時間を借りて喫茶として営業するいまのスタイルに。
もとは深煎りの豆を焼いていたが、ネルフィルターをもらい淹れたところ、苦すぎずすっと喉を通るあと口のよさに魅了され、それからはネル一筋となった。また、コーヒーのお供・チョコレートをしっかり感じられる「ガトーショコラ」(400円・税込)にもエピソードが。
「東京時代に好きだったケーキ店のガトーショコラを自分のコーヒーと楽しんでもらいたいと」とダメ元でレシピを聞いたところ快諾。しかも福岡まで来て直接レッスンをしてくれたそう。花坂さんには、そんな縁を呼び込むような、にじみでる人柄があるのだろう。一杯のおいしさ以上の何かがもらえる、それが「珈琲花坂」だ。
[珈琲花坂(コーヒー はなさか)]福岡県福岡市中央区大名1-10-21 5F / 092-714-6786 / 10:00〜18:00(LO17:30) / 不定休
ホテルのような上質な空間で日常を忘れる「珈琲舎のだ 大名本店」
1966年創業と、福岡の喫茶のなかでも老舗にあたる「珈琲舎のだ」。市内にソラリア店やケーキの店など6店舗を経営するが、82年に開業した本店は別格の品位が漂う。店に入りまず目を引くのが、3本の煙突が伸びる3連の焙煎機。「お客様に、今飲んでいるコーヒーを感じてもらいたい」という思いあっての演出だ。
「のだ」が喫茶として大切にしているのが「上質な空間」と「大人のくつろぎ」。その空間のモチーフになっているのがホテルのバーだ。本店はカウンターがコの字型で、肘をかけやすいように手前にくぼみを設ける。また、椅子に背もたれがなく客が自然と姿勢よく座れる。白と黒で統一した制服はバーテンダーがモチーフで、ホテルマンのごとく無駄のない動きと柔らかな物腰に初めてでも心地よく過ごせる。「カフェと喫茶店の違いは、カフェが日常と繋がったオープンな空間なのに対し、喫茶店はクローズドな空間。入るのには少し勇気がいりますが、一度入れば次第に気分が高揚してきますよね」と野田光彦社長は語る。
コーヒーは抽出する工程を目でも楽しめるようサイフォンを選択。コーヒーを練り込んだ名物ののだロールとの相性もぴったりだ。本を片手に訪れたくなる喫茶。こんな場所を知っているだけで、街の楽しみ方は広がりそう。写真は、深みがありまろやかな「のだブレンド」(写真手前、693円・税込)と、甘さを控えた「のだロール」(写真奥、486円・税込)。
[珈琲舎のだ 大名本店]福岡県福岡市中央区大名2-10-1 シャンボール大名1F / 092-741-5357 / 9:00〜19:00(LO18:30)、日曜・祝日10:00〜 / 年末年始休み
思わず写真を撮りたくなる“SNS映えする”と話題のカフェ「Cafe no. FUKUOKA」
大阪の堀江と梅田に次ぐ全国3店舗目のカフェ。看板メニューの「ブロンコラテ」(600円・税込)は、3種類のベルギー産チョコレートをカフェラテにトッピングしている。フルーツのピュレと練乳やミルクなどをブレンドした「ボトルドリンク」や2回目以降は価格そのままで増量してもらえるお得な「オリジナルタンブラー」(1600円・税込、初回ドリンク料込み、写真はタピオカコーヒー)も人気!
[Cafe no. FUKUOKA(カフェ ナンバー フクオカ)]福岡県福岡市中央区大名1-1-17 美和ビル3F / 092-287-5694 / 10:30~19:00 / 無休
裏路地で見つけた!コーヒーとお酒のオイシイ関係「CITADEL」
「コーヒーの新たな楽しみ方を知ってもらいたい」と語る店主が、約40種類ものコーヒーカクテルを考案。好みのリキュールを選べる「R-20のホットカフェラテ」(850円)など、新感覚のドリンクが自慢だ。リキュールの味を生かすため、深みを抑えたコーヒー豆を使用。「水出しアイス珈琲」(550円)など通常のコーヒーやスイーツもあり、ノーチャージのためカフェとしても利用できる。「珈琲モヒート」(950円)。自家製のコーヒーラムにフレッシュミントやソーダなどを合わせる。
[CITADEL(シタデル)]福岡県福岡市中央区大名1-8-40 林毛町通りビル2F / 092-688-4190 / 17:00~翌3:00 / 月曜休み(火曜が祝日の場合火曜)
バーテンダー目線で生み出す一杯はここだけの味わい「Coniglio」
福岡市・井尻のダイニングバー「グーフォ」の姉妹店は、大名の路地裏に立つ穴場なカフェ&バー。現在は19:00からのバー営業を行い、昼の営業は19年12月下旬ごろに再開予定。ホッとひと息つける空間はそのままに、コーヒー+ケーキなど、シンプルなメニュー展開へと変わる。蒸気圧が強いエスプレッソマシン「スピリット」で淹れるコーヒーは濃厚な味わいが特徴だ。
[Coniglio(コニーリョ)]福岡県福岡市中央区大名1-2-28-104 / 092-753-7207 / カフェ11:00~19:00(LO18:45)、バー19:00~翌5:00 / 木曜休み
老舗コーヒー豆販売店が福岡に登場!「ニシナ屋珈琲 大名1-3-26niR焙煎所」
1933(昭和8)年創業の老舗コーヒー豆販売店が九州初上陸。「コーヒーは生もの」という考えのもと、注文後に焙煎する新鮮な豆を販売している。スペシャルティコーヒーをはじめとする約60種類の高品質な豆は、手ごろなものから「コピ・ルアック」や「ゲイシャ」などの高級豆まで幅広く取り扱う。
[ニシナ屋珈琲 大名1-3-26niR焙煎所(ダイミョウ1-3026ニアルバイセンジョ)]福岡県福岡市中央区大名1-3-26 / 092-718-7379 / 10:30ごろ~19:00ごろ / 無休
九州ウォーカー編集部