マネやルノワール、ゴッホらの名画が名古屋へ!コートールド美術館展を楽しむ、3つの見どころ

東海ウォーカー

12月まで東京都美術館で開催され、大好評のうちに幕を閉じた「コートールド美術館展 魅惑の印象派」が、2020年1月3日(金)から名古屋で開幕。印象派・ポスト印象派の殿堂として知られるロンドンのコートールド美術館から、選りすぐりのコレクションが展示される。マネやゴッホ、ルノワールらの、滅多に貸し出されることのない名作が、コートールド美術館の改修工事期間に来日する。この貴重な機会にぜひとも観ておきたいところだ。そこで今回は、実際に展覧会を体験した印象派解説コミック「5分でわかれ!印象派」(KADOKAWA刊)の著者、須谷明さんに、独自の視点で見どころを3つ紹介してもらった。

実業家サミュエル・コートールドが収集したコレクションを中心に設立された美術館。印象派・ポスト印象派の作品が多く展示されている/コートールド美術館展示室


見どころ1:クロード・モネ「花瓶」


「制作年が”1881年 着手”となっているのは、この作品自体はまだ売れていない頃に描いて、巨匠となった晩年に”商品”として売るためにサインを書き加えたからです。多少加筆はしているらしいですが。そういうことするからドガに『モネは画家じゃなくて商人』とか言われるんだぞ、ドガだけじゃなくてピサロにも言われるんだから相当だぞ、などと思いながら見ると大変楽しめます」

見どころ2:エドゥアール・マネ「アルジャントゥイユのセーヌ河岸」


「1874年頃のアルジャントゥイユは印象派的に非常に熱いところですね。この頃モネがアルジャントゥイユに住んでいて、先輩マネをはじめルノワールなど仲の良い友人がモネの家に集まり制作したそうです。この絵もそんな感じで描かれたものでしょう。ていうかモネの妻のカミーユと息子のジャンが描かれているので確実にそうです。マネはモネのことが大好きでめちゃくちゃかわいがっているんですが、それにしてもこの頃のマネはモネとその家族を描きすぎだと思います。見ていて和みますね」

見どころ3:ピエール=オーギュスト・ルノワール「アンブロワーズ・ヴォラールの肖像」


「印象派ほか近代絵画の価値をいち早く見抜き世界に知らしめたことで有名な画商ヴォラールの肖像です。ルノワール晩年のふわふわタッチがいいですね。近くにルノワールの若い頃の作品(『桟敷席』など)が展示されていたので、画風の変化を手軽に見比べることができて楽しかったです。また、セザンヌもヴォラールの肖像を描いているのですが、同じ人物を描いたとは思えないほどタッチが違うので頭に浮かべながら見るとおもしろいですよ」

見どころはほかにもたくさん!


【写真を見る】エドゥアール・マネ《フォリー=ベルジェールのバー》1882年 油彩、カンヴァス 96×130cm コートールド美術館 (c) Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)


「キービジュアルとなっているマネ晩年の傑作『フォリー=ベルジェールのバー』をはじめ、セザンヌの『カード遊びをする人々』やルノワールの『桟敷席』、ゴーガンの『ネヴァーモア』など、巨匠の良作ばかりがそろった、すごく質の良い展覧会です。本当にガチで質が良いです。印象派をちょっとかじった人であれば、『これ画集で見たやつ!!何億ドルで落札されたやつ!!』と、大興奮できます。良作が多い上、それがずらっと並んでいるので、すべての作品をじっくり見ていくと疲れてしまうくらいです(なんという贅沢な疲れ…)。間に余裕をもって、休憩しながらゆっくり見るのがおすすめです。あと、名だたる傑作を肉眼で直接見られるほか、詳しい解説を聞けるところも展覧会のいいところですよね。『フォリー=ベルジェールのバー』について『ああ、マネ晩年の作品ね』という知識はあったのですが、舞台であるフォリー=ベルジェールのことはまったく知らなかったのでわかりやすく解説いただけてとてもよかったです」

ポール・セザンヌ《カード遊びをする人々》1892-96年頃 油彩、カンヴァス 60×73cm コートールド美術館 (c) Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)


ピエール=オーギュスト・ルノワール《桟敷席》1874年 油彩、カンヴァス 80×63.5cm コートールド美術館 (c) Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)


ポール・ゴーガン《ネヴァーモア》1897年 油彩、カンヴァス 60.5×116cm コートールド美術館(c) Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)


名作約60点を様々な見方で堪能


世界有数の研究機関コートールド美術研究所の展示施設という側面に注目し、本展覧会では“名画を読み解く”鑑賞法を提案。画家の言葉、時代背景、科学的な研究成果など様々な角度から名画との対話が楽しめる。名古屋での会期は約3か月間。この機会に足を運んでみてはいかが?

サマセットハウス内のコートールド美術館


■コートールド美術館展 魅惑の印象派 / 会期:2020年1月3日(金)〜3月15日(日) / 会場:愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階) / 住所:名古屋市東区東桜1-13-2 / 電話:050-5542-8600(ハローダイヤル) / 時間:10:00〜18:00、金曜日は20:00まで(入館は閉館の30分前まで) / 休館日:毎週月曜日、1月14日(火)、2月25日(火) ※ただし、1月13日(月・祝)、2月24日(月・振)は開館、3月9日(月)は特別開館 / 観覧料:当日一般1,600円、高校・大学生1,300円、中学生以下無料

中村竜也

注目情報