阪急電車の今津線を舞台に、同じ電車に乗り合わせた人々が新たな一歩を踏み出す姿を描いた有川浩のベストセラー小説を映画化した「阪急電車 片道15分の奇跡」。本作でオシャレな同級生になじめない、人見知りの地方出身の大学生・ゴンちゃんこと、権田原美帆を好演するのは、大阪出身の谷村美月。そんな彼女が映画のこと、阪急電車にまつわる思い出などを語ってくれた!
─大阪出身の谷村さんですが、阪急電車を舞台にした本作の脚本を初めて読んだ時の感想、印象を教えてください。
「阪急電車にはなじみがあったので、それが映画になるなんてどうなるんだろうって思ったんですが、1つの電車を通して人々の生活などが描かれていて、とても新鮮でした。でも、登場人物が多くて、自分が登場しない間にもいろんなエピソードが起こって…劇中には描かれていないゴンちゃんの心境の変化とか、エピソードのつながりを考えながら演じるのは難しいなと思いましたね」
─ゴンちゃんを演じる上で意識していたことはありますか?
「ゴンちゃんは外見というより、内面がすごくかわいい女の子なんです。でも、それを意識してしまうとゴンちゃんじゃなくなるので、考えないようにしていました。どこかパッとしないところとか自分と重なる部分も多くて、これから年齢を重ねて振り返った時にも、いまの私じゃなきゃできない役だったと思います」
─劇中、実際の阪急電車が度々登場しますが、撮影秘話を教えてください。
「実際に電車を貸し切っての撮影で、電車を外から撮影するシーンでは臨時で走らせているんですが、59往復したらしいです(笑)。電車内のシーンは夜に車庫に戻った電車で周りをグリーンバックで囲って撮影していたんです。車体の揺れはスタッフさんが手で揺らしていて、参加してくれたエキストラさんはものすごく驚いていました(笑)」
─ちなみに大阪にいた時は阪急電車をよく利用されていましたか?
「高校へは時々、阪急電車で通っていて京都線の正雀駅を使っていました。阪急電車はオシャレで上品なイメージがあって、あのマルーンカラーを見るとホッとします(笑)」
─では最後に、本作の見どころを教えてください。
「この映画は普段の生活の中で忘れかけている小さなことを振り返り、その大切さに気付かせてくれる作品です。私はこれまで人前で感情をむやみに出すことを、あまりよくは思っていなかったんですが、宮本信子さん演じる時江さんの“泣くだけ泣いていいけど、それを自分で止められる女性になりなさい”っていう言葉にハッとさせられて、人前で感情を出すことは悪いことじゃないんだって思えるようになりました。なので“あの映画であんなこと言っていたなぁ”って、思い出してもらえる作品になってくれるとうれしいです」
【取材・文=リワークス】