少年社中・東映プロデュースの舞台『モマの火星探検記』の大阪公演が2月7日~11日までサンケイホールブリーゼで上演されます。それに先立って1月28日、読売テレビにて、W主演の矢崎広・生駒里奈の囲み取材が行われました。その模様をレポートします。
約2年半ぶりの再演
――2017年7月以来の再演となりますが、再演が決まった時の心境は?
矢崎「またモマの世界に入れるんだという喜び、嬉しさもあったんですけど、前回をどう超えていけるかというところが不安でもあり、期待でもありという心境でした」
生駒「2017年にユーリをやらせていただいた時、私はまだアイドルだったんですけど、この作品に背中を押してもらえました。今回、再演ということで、あの時の自分のように、たくさんの方にこの作品を通して、そういう体験をしてもらいたいなと思います。またユーリをやれるという嬉しさや、作品に対する好きという気持ちがどんどん膨らんでいます」
――東京公演(1月7日~20日/20公演)が終わったところですが…
生駒「東京公演の千秋楽が1月20日だったんですけど、その後3日間、毎日夢の中でもモマの公演をするぐらい、体に染みついているような感じです」
――矢崎さん、2017年(前回)の公演と変わったところは?
矢崎「脚本的には大きな変更はないです。ただ、新しいキャストが入ったので、そのキャストに合わせて、役の感じが変わっているところが見どころでもあるのかなと思います。前回に続いて今回もというキャストに関しては、前回をどう深めていけるかを真剣に悩んで、臨んでいるので、また深まったそれぞれの役が見れるんじゃないかなと思います。東京公演が終わったところなんですけど、もう既に前回の公演回数を超えていて、こんなにこの作品を突き詰められることは幸せだなと思いつつ、その日の舞台が終わった後は燃え尽きたような感じです。日々必死に、でも楽しくやっています」
矢崎広「生駒ちゃんはストイック」
――お互いの第一印象と、稽古や本番を通して、それがどう変わったのかを教えて下さい。
矢崎「僕は、そこまで乃木坂46に詳しくなかったんですけど、生駒ちゃんは乃木坂46の顔のような存在だったので、うわっ!アイドルがいる!って、素直に思いました。そんな彼女が乃木坂46のライブじゃなくて、こちらの舞台に出るという意気込みで臨んでいて、本読みの時点から、どうしよう、どうしようって言っていて、稽古場でも毎日のように悔し涙を流していて、ストイックな人だなというのが第一印象です。それから大きく変わったことはないです。相変わらずストイックだし。ただ、この2年半でアイドルを卒業したことが大きいと思うんですけど、女優さんになったなという印象は受けます。少女から大人になって、また違う魅力も手に入れて、たくましい女性になったなと思います」
生駒「矢崎さんは、すごく先輩なので、全然太刀打ちできないなぁっていう印象でした。この作品の中では、モマとユーリはあまり関わらないので、本当に離れているところにいるお父さんみたいな印象が強くて、私が人見知りというのもあって、見ているだけの憧れのような存在だったんですけど、今回でお兄ちゃんみたいな感じになって、だんだん距離が縮まっているような気がします(笑)」
思春期に刺さる作品
――改めて、ご自身の役どころと、作品の魅力を紹介して下さい。
矢崎「僕が演じるモマは、宇宙旅行を目指す青年です。宇宙に旅立つ前に、父親が死んでしまって、父親との約束で、何のために生きていくのかという答えを探してほしいということをテーマに宇宙に旅立つんですけど、どんな答えに辿り着くのかというところに注目して下さい。そんなモマの悩みや辿り着く答えを通して、観た人の何かを救ってくれるし、背中を押してくれるし、夢も見れるし、ロマンも詰まっているところが、作品の魅力だと思います」
生駒「私が演じるユーリは、自分の夢のために一生懸命努力が出来る子で、お父さんが行方不明で、実は宇宙飛行士だったというところからロケットを作って、その思いがお父さんに届けばいいなっていう、本当に純粋な子です。この作品の魅力は、私は物事をやる上で、しっかり準備をして、本当に出来るって確信しないと出来ないタイプなんですけど、“やりたいと思ったことをやればいいんだ”というセリフに突き動かされたんです。それが、この作品の持つパワーだと思うので、どうしようって悩んでいる方に観てほしいですし、純粋に宇宙が好きな方や、星空を見るのが好きな方にも観に来ていただいて、それを感じてほしいなと思います」
――2017年の公演を拝見しまして、すごく感動したんですけど、若い方も、年配の方もたくさん来られていました。先ほどお話されたことと重複するかもしれませんが、今回は、どんな方に観てほしいですか?
生駒「私はぜひ、中学生、高校生に観てほしいです。思春期に一番刺さる作品だと思うので。最近、他のお仕事で、20代の私が10代の子たちにアドバイスをする機会があったんですけど、この作品はきっとみんなの力になるんじゃないかなと思いました」
生駒里奈「芸能界で生き残りたい気持ちが増した」
――生駒さん、先ほどのお話から、この作品に参加したことで、大きな一歩を踏み出した、乃木坂46を卒業する決意をしたと捉えてもよろしいでしょうか?
生駒「モマが大きなきっかけではないんですけど、当時(2017年)は芸能界を続けるか、引退するかを考えていて、少しでも続けたいという気持ちがあった分、その背中を押してくれたのが、この作品です」
――乃木坂46を卒業されてから、自分の中で変わったなと思うことはありますか?
生駒「変わってないです。逆に頑固さとか、自分で言うのもアレなんですけど、ストイックさが加速しました(笑)。役者さんは自分一人で戦っていて、私が乃木坂46の時は、みんなで頑張っている気持ちだったので、自然に責任感が分散されていたのかなって思います。それがなくなった分、芸能界で生き残りたいという気持ちが増しました(笑)」
――矢崎さんから見て、生駒さんはそんな感じの、しっかりされた方でしたか?
矢崎「生駒ちゃんは自分に対しての厳しさを持っていて、これで良いのだろうか、もっと先があるんじゃないかって考える人なので、特に舞台女優に向いているのかなと思います」
――矢崎さんはそうおっしゃっていますが、生駒さん、いかがですか?
生駒「舞台の稽古が一番好きだし、お客さんと一緒に作る本番も大好きで、生きている感じがします。好きなことをするために、もっと責任を持ってやらなきゃと思うようになりました」
――このタイミングで再演というのは、どう受け止めていますか?
生駒「乃木坂46を卒業して、1人で1年やってきて、今回は私にとっては力試しの場にもなっています。仕事に対して、ちょっと落ち込んでいるところもあるんですけど、この作品からもらった言葉で元気が出て、(芸能活動を)続けていこうという気持ちにさせてくれたので、いいタイミングだったのかなと思います」
――矢崎さんは、この作品で背中を押してもらえたとか、自分が変わったことはありますか?
矢崎「僕は家族の死がトラウマだったというか、何か拭(ぬぐ)えないモヤモヤしたところがあったんですけど、モマを演じたことによって、そのモヤモヤが晴れて、モヤモヤすらプラスになれたことが僕の中で大きかったです。劇中に“全部つながっている”というセリフがあるんですけど、その言葉に救われました」
写真3646 舞台「モマの火星探検記」でW主演を務める矢崎広・生駒里奈
――生駒さんは、ご自身の卒業を客観的に見られているなと思ったんですけど、最近の(白石麻衣などの)メンバーの卒業を、どう見られていますか?
生駒「3期生、4期生とは一緒に活動する時間も少なかったので、応援しているんですけど、1期生、2期生に関しては、自分の人生を考えてほしいなと思います。もちろん私が卒業したからこそ、乃木坂46だけが自分の人生ではなくて、これからこそが自分の人生で、とらわれないで、自分の信じた道が正しいと思うので、“やりたいことをやればいいんだ”という言葉を、そのままみんなに送りたいと思います」
――最後に一言ずつメッセージをお願いします。
矢崎「本当に素敵な作品なので、もっともっとたくさんの方に知っていただきたいなと思っています。前回観た方も、今回初めての方も、少年社中って聞いたことはあるけど、まだ観たことがないという方にも、この作品が代表作なので、観ていただければと思います!」
生駒「大阪の皆さん、ぜひ『モマの火星探検記』というロケットに乗って、一緒に宇宙を旅していただきたいなと思います。本当に力をもらえますし、明日が輝いて見える作品です。劇場でお待ちしています!」
STAGE 少年社中・東映プロデュース「モマの火星探検記」
原作:毛利衛「モマの火星探検記」(講談社刊) 脚色・演出:毛利亘宏(少年社中) 会場:サンケイホールブリーゼ(大阪公演) 日程:2月7日(金)~2月11日(祝) 出演:矢崎広、生駒里奈 ほか 特設サイトURL:http://www.shachu.com/moma2020/
【取材・文・写真=ポッター平井】
<ポッター平井・プロフィール>
構成作家・ライター。『NMB48のTEPPENラジオ』(MBSラジオ)などを担当。松田聖子さんの輝きに魅せられて以来、30年以上アイドルを応援し続ける「アイドルサポーター」
ポッター平井