瀬谷駅から車やバスで約17分の場所にある「pâtisserie Les Quatre Çing」(パティスリー・レ・キャトル・サンク)。「こんなところにケーキ屋があるなんて!」と驚く、交通量の多い道沿いに突然現れ、オレンジ色が映えた店構えが目印だ。
ひとたび足を踏み入れれば、洗練された空間が広がる。ブラウンを基調にした店内はすっきりとしていて、落ち着いたモダンな雰囲気。ショーケースにはフランスの伝統菓子も整然と並ぶ。
キラキラとオーラを放つケーキの中で、目に飛び込んできたのは金箔でカエルが描かれたチョコレートケーキ。
後ろを振り返ると、焼き菓子のコーナーに陳列しているのは何とも可愛いカエルの形のビスケット。正統派のスイーツとは裏腹に、ユーモアあふれる“カエルスイーツ”のギャップに誰もが心奪われるはず!
「販売スタッフにカエルがいる」というコンセプトのため、さまざまな“カエルスイーツ”を展開しているのだとか。「福が返る」「無事に帰る」など縁起物として例えられるカエル。そのため、手みやげとしても人気だ。他にも店内にはカエルがあちこちいるので探してみて!
オーナーシェフを務めるのは、上浦真吾さん。日本初のフランス菓子店「ルコント」、葉山の「サンルイ島」で修業後、渡仏。「ル・ダニエル」「チェリーミュロップ」「フレッソン」などで経験を積み、2015年4月に開業を果たした。これまで数々のフランス菓子店で培った経験をもとに作られるスイーツは、確かな技術と感性が光り、味の濃淡や食感のメリハリがきいていて多くの人を魅了する。
フランスの伝統菓子はもちろんチェックだが、こちらの商品にも注目してほしい。
チョコレートと洋酒が織りなす魅惑の「ヤミー」
チョコレート好きにおすすめなのが「ヤミー」(550円)。菓子メーカーが販売しているラムレーズン入りのチョコレートが美味しいと思ったのをきっかけに、「パティスリーが販売する生菓子にできないか」と考案して誕生した商品だ。
カカオ分62%のチョコレートにサクランボを浸けていたキルシュとラム酒を加え、マール酒に一年間漬けたグリーンレーズンを中に入れた。底にはザクザクとしたミルクチョコレートの生地を敷いて、食感のアクセントに。
口に入れるとまったり濃厚な味わいと芳醇な洋酒の深みに引き込まれ、その余韻に浸っていると驚く早さでとけていく。スポイトに入った木苺のソースをかけると華やかな酸味が加わって、最後まで食べ飽きない。
生菓子は定期的に種類が変わるが、とことん贅沢感のある「ヤミー」を見つけたらぜひ試してみて!
種類も多彩な四季のコンフィール
何と言っても驚くのがコンフィチュール(500円〜)の多さで、約15種をそろえる。ズラッと横一列に棚に並んだコンフィチュールは見ただけで心が躍り、どれにしようか選ぶのも悩ましく楽しい。休みの日は市場に出かけ、旬を迎えた果物を手にとって吟味しながら、どんなコンフィチュールを作ろうかと考えを巡らせる、という上浦シェフ。また、長野県で働いていた時に知り合った生産者から送られてくる杏やスモモ、ルバーブなども加工してコンフィチュールにする。中には果汁だけでなく皮を丸ごと入れたものや、赤ワインやシャンパンを加えた大人向けのものも。好みやシーンに合わせて選んでみてほしい。
手みやげや贈り物に喜ばれる「フールセック缶詰」
6種の焼き菓子が入った缶入りアソートの「フールセック缶詰」(2,300円)は、「ディアマン」「ディアマンショコラ」「チュイル」「エピス」「ビエノワーズ」「ムラングフリュイ」が入っている。サクサク!カリッ!と、それぞれ歯ざわりや食感が異なるので食べる楽しみも倍増。しっかり焼き込んで作られることによって醸し出された風味や口当たりを堪能してほしい。「ムラングフリュイ」(右下)は、イチゴ、カシス、ライム、パッションフルーツのメレンゲ。サクッと軽い食感の後にシュワっと口どけ、鮮明な甘味や酸味が広がる。
こだわりのスイーツを目当てに、ぜひ足を伸ばしてみて。
【取材・文=磯崎 舞/撮影=奥西淳二】
磯崎舞