6月16日(木)、来年5月に開業が予定されている「東京スカイツリータウン(R)」の地下施設が報道陣に初めて公開された。先日、ついに施設概要が発表され、着々と建設が進むスカイツリー。その地下には、何と高さ16mの巨大空間が存在していたのだ!
この日公開されたのは、スカイツリータウンの空調を支える「熱供給施設」の一部。簡潔に説明すると、夜間電力と地中熱を利用して作った冷水・温水を蓄積し、日中の冷暖房に活用するという“省エネ・省CO2・高効率”に根ざした施設だ。この仕組みを活用することで、日中のピーク電力を、夏場(8月)なら通常電力より最大50%、冬場なら同じく最大52%も削減できるという。
この施設の要が、水の冷却・加熱を行う熱源設備。ここには「ターボ冷凍機」「ヒートポンプ」といった熱源機器に加えて、「地中熱利用システム」が導入された。この地中熱利用システムは、“夏は外気温より低く、冬は外気温より高い”という地中熱の特性を活かして、水を地中に敷いたチューブに循環させ、冷ましたり温めたりするクリーンな設備。熱源機器と地中熱利用システムを併設させた事業は国内で初のケースという。熱源機器も、世界最高水準の高効率を誇り、例えば「ターボ冷凍機」は、1時間に1350世帯が必要とするのと同等の冷却能力を毎時間ごと作り出せるハイテク設備だ。
これらの熱源設備によって作られた冷水・温水は「大容量水蓄積層」に運ばれる。この大容量水蓄積層こそ、熱供給施設のもうひとつの要。高さ約16m×幅約8m×奥行約16mという巨大な空間で、そのスケールの大きさに見学した記者もただただ見上げるばかりだった。同等の蓄積層が4層あり、その総容量は何と7000トン。25mプールに換算して、約17杯分の水が溜められるという。なお、もしもの事態が発生した際には墨田区と連携し、蓄積層の水を消防用水や生活用水として提供するという。
また、併せて公開された「雨水貯水槽」は、雨水の管理を行う設備。「雨水抑制槽」と「雨水貯留槽」に分かれ、雨水抑制槽は集中豪雨などの周辺への流出を調整し、雨水貯留槽は、蓄積した雨水をトイレの流し水や太陽光発電のパネル冷却用に再利用するための役割を果たす。
なお、9月には水の貯水が始まる予定のため、熱供給施設全体の公開は今回が“最初で最後”。スカイツリーのクリーンな側面を知る貴重な機会となった。【東京ウォーカー】