東日本大震災発生から5ヶ月経った、本日8月11日(木)、被災地から花火を一斉に打ち上げようというプロジェクト「LIGHT UP NIPPON」が開催される。今夜19:00、岩手、宮城、福島の東北3県に設置された太平洋岸11ヶ所の各会場で、追悼と復興への願いを込めた花火が打ち上げられるのだ。
本日実施される「LIGHT UP NIPPON」は、東京湾大華火祭の中止が発表された3月下旬、東京で人知れず動き始めた1つのプロジェクトだ。岩手県大槌町と縁の深かった一人の青年が、仲間たち、被災地の人々、花火師、スポンサーなど、多くの人々の賛同を得て発展させた一大プロジェクトなのだ。
発起人となったそのひとりの青年とは、東大大学院海洋研究所に学び、現在は都内の会社に務める高田佳岳さん。高田さんはプロジェクトを開始させた経緯を、「3月29日に、東京湾大華火祭が中止になるということを聞き、その瞬間、そこで打ち上げる予定だった花火を東北に持っていけば、被災地で花火大会ができるんではないかと思いついたんです。もともと、大学院で岩手県の大槌町にある海洋技術センターで研究を行っていたので、何か僕にしかできない、僕にできることはないかと考えていたんです」と話す。
そこで、東京湾大華火祭を担当するはずだった花火業者のところへ。「『花火玉、余っていませんか?』『それを持って東北に行きませんか?』」と話を持ち掛けたそうだ。すると「そんな簡単なものじゃないんだ」と、花火業者は答えたという。
しかし、その花火業者には、「もともと花火は鎮魂の意味もあるもので、とても意義深いことだから応援したい」と言われたそうで、まずは協賛スポンサーを募ることに。募金を集めることで実施する方向に転換したという。また、大槌町の避難所のリーダーからも、「亡くなった方たちのためにも、そして夏に何のイベントもない子どもたちのためにも、何としても花火を上げてやりたい」と力強い賛同の声が届いた。最終的には11ヶ所で打ち上げることが決まったのだ。
「被災地で花火を上げるのは想像以上に難しいことだったんです。保安距離のなかに瓦礫があるので、それに花火の火が引火して火事にならないようにしないといけない。そういう前例のないなかで、僕らが東京からパッケージで持ってきて上げるといっても容易には受け入れてもらえない。ここは十年来の関係性がある、地元の花火師さんの心意気にお任せすることにしました」と高田さん。そこからは、毎週のように現地に入っての調整を続けながら、約2万発という目標に向かってのスポンサー集め、インフラが損なわれた現地に当日のボランティアスタッフを送るための旅行代理店の協力取り付け、募金集めのためのシステムやホームページの立ち上げと、仲間と共に精力的に動き回ったそうだ。
かくしてプロジェクトは結実し、6月23日には正式に報道発表を実施。震災発生から5ヶ月目の本日19:00に、被災地から希望の光が灯されるのだ。【東京ウォーカー】
■会場は公式サイトを参照 http://lightupnippon.jp/map/index.html