【編集部の東北体験記/1】青森ねぶた祭を体感!

東京ウォーカー(全国版)

夏休みシーズン到来! とはいえ、休みの日もギリギリになるまでわからない不規則な日々では、海外など遠出はしづらいもの。例年のごとく旅行のことなど全く考えないでいたら、8月第一週の週末に休めそうな気配を察知。ふと机を見れば、“東北を歩こう”の文字が踊る表紙が……そうだ、東北へ行こう!

というわけで、『東北Walker』と缶ビール、駅弁と3種の神器を揃え新幹線に乗車。その場のノリで行ける、国内旅行は楽でいい。目指すは、テレビや雑誌でしか見たことがなかった憧れの『青森ねぶた祭』。よく考えたら、青森へ行くのも初めての経験だ。

朝、東京を出発し、弁当とビールで心地良くなったところで、昼過ぎには新青森に到着。意外に近い。ねぶた祭のスタートは夜7時頃からだから、まずはもう一つの目的地、『青森県立美術館』へ。新青森駅からは、美術館専用の無料シャトルバスが出ているので移動もスムーズだ(ちなみに、駅前ロータリーではiPadを持った観光案内のお姉さんが、青森弁のイントネーションで丁寧に乗り場と時間を教えてくれる)。

バスに揺られること10分、白く美しい建物が大きな広場に横たわるように現れた。わくわくする心を抑えながら、あえて美術館には入らず、まずは芝生が続く広場を散歩。気持ちいい場所でのんびり心を落ち着かせ、東京で染み込んだ早いテンポをスローに落としていく。そのまま、ゆったりした気分で歩いていると、自然と“あおもり犬”にたどり着き、いつの間にか美術館へ吸い込まれていた。「敷地全てが計算されているのだなぁ」と感動を覚えつつ常設展へ入場すれば、いきなり巨大なシャガールがお出迎え。さらに奈良美智、寺山修司、棟方志功、ウルトラマンの怪獣デザインで有名な成田亨と、青森出身ながらキャラの違う作品を楽しんでいたらあっという間に閉館時間。これで500円はどう考えても安い(企画展は別料金)。余談だが、館内トイレのデザインも素晴らしく、思わず全てのトイレに入ってしまった。キッズルームなどもあり、子ども連れでも間違いなく楽しめるはずだ。

美術館を出たら、いざ本題の『ねぶた祭』へ。美術館から青森市街へはバスもあるが、夕方は本数が少ないので、ちょっと贅沢してタクシーに。青森弁の素朴な語りクチながら、渋滞と見るやグイグイ路地裏を駆けるアグレッシブな運転手さんとの会話を楽しみ10分程度、1000円強で青森駅近くに到着。さっそく大通りを練り歩くハネト姿の人々が目に入り、心もカラダも祭りモードに。出店のビールや焼き鳥に舌鼓を打っていると、腹の底に響く太鼓のリズムとともに、ついに巨大灯篭がやってきた! 本物を見れた興奮に包まれながら、猫ひろしでお馴染みの「ラッセラ~ラッセラ~」の掛け声にワクワクも最高潮。色鮮やかで、一つ一つに物語が見て取れるねぶたは見飽きることがない。青森まで来た甲斐があったぜ。

さて、祭りも終わり次はメシと歩いていると、ねぶたの顔が飾ってある居酒屋を発見。“旅先ではベタに行くのが吉”と入ってみれば、囲炉裏を囲んで席が設けられた雰囲気の良い店で、旨い郷土料理と日本酒三昧に気分よく酔っ払う。しかも安い! 東北サイコーですな。で、普通ならここらで宿へとなるが、急に決めた旅だけにホテルが空いているわけもなく、朝まで飲む意気込みで繁華街をはしご。最後に辿り着いたのは『CRAZYHORSE SALOON』というグレートフルデッド好きがやっているバー。ここは年齢層も幅広く、良い感じにキャラの濃い常連が集まっていた。青森の人は他人をあまり気にしない気質なのか、距離感が妙に心地よく気分はすっかり地元民。マスターの「明日の花火大会で、ねぶたも終わり。それは僕たち青森の人間にとっては夏の終わりってことなんですよね…」という寂しげなつぶやきに、酔いにまかせ思わず「バカ野郎、また次の祭りの始まりじゃねぇか!」と言いそうになりながら更に泥酔していく。

明け方、店をあとにし海沿いの芝生で一眠り。強い陽射しで目を覚ますと、あたり一面、場所取りのブルーシートで埋め尽くされている。そう、そこはまさに花火鑑賞のベストスポットだったのだ。しかし…仕事のため今回の旅はここまで。夏の終わりを意味する花火大会を前に、新幹線に飛び乗り東京へ。メインイベントを逃し“来年こそ計画的に来よう”そう心に決めた東北旅だった(東北Walker編集部・I)。

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