3月11日の東日本大震災からまもなく半年。被災地となった東北地方各地では一日も早い復興に向け、今も懸命の努力が続けられている。そして震災からちょうど半年となる9月11日(日)、MBSのドキュメンタリー番組『情熱大陸』で「石巻日日新聞」が取り上げられることになった。
石巻日日新聞は1912年(大正元年)創刊の夕刊紙。宮城県東部の石巻市、東松島市、牡鹿郡女川町をエリアとして発行している地域紙で、部数は約1万4000部(大震災前の数字)。発行元である石巻日日新聞社は社長の近江弘一氏以下、従業員30人の小さな地方新聞社だ。
その石巻日日新聞が注目されるきっかけになったのが、彼らが震災直後に発行した6枚の壁新聞だ。石巻日日新聞社では震災被害で印刷設備が一部水没し、輪転機が動かせない事態に。創刊99年の新聞発行が危機に立たされるなかにあった同社だが、「電気がなくても、紙とペンはある」と、手書きの壁新聞を発行することを決めた。
記者たちは自身の家族や親族の安否もわからないなか、生死を賭けながら最前線で取材を行い、手書きの壁新聞を作成。避難所などに貼り出された壁新聞は、地域住民の貴重な情報源となり、人々を励まし続けた。彼らの“小さな偉業”は宮城県石巻の地域紙だからこそ成し得たものと言えるだろう。
また、角川SSC新書から刊行中の「6枚の壁新聞 石巻日日新聞・東日本大震災後7日間の記録」では、彼らが発行した6日分全ての壁新聞をカラー写真で掲載。手書きの壁新聞が生まれた背景と“伝える使命”をまっとうした記者たちの葛藤を追っている。
震災の痛みを風化させないためにも、東日本大震災から半年を機にこの壁新聞のことをより深く知ってみてはいかがだろうか。【東京ウォーカー】