■さっきチラッと名前を出したコーネリアスの小山田くんて渋谷系のスターなんですよ。東京生まれの東城育ちで。以前「“インカ帝国の成立”の、成立。」(“インカ帝国の成立”のiTunesヒットを記念して作られたCBCラジオの“特別教養番組”。この曲は、インカ帝国に実在したマンコ・カパックという皇帝を主人公にしたもの。白昼堂々、この名前が何度もラジオで連呼された)に出させてもらった時に「つボイノリオさんのラジオ番組に評論家役でカメオ出演するんだよね」って彼に話したら、「えぇ~!」って。「“金太の大冒険”の人だよね?」とか、ちゃんといい反応が返ってきて。
A:コーネリアスの小山田さんて僕と同い年なんですよ。今はYMOのサポートメンバーとかもやってる人なんですけど。
T:へぇー、すごいなあ。
A:僕同世代なので、たぶん子供の頃に『カリキュラマシーン』を見て『おはよう!こどもショー』でっていう。彼『カリキュラマシーン』の話大好きじゃないですか。で、実は『カリキュラマシーン』があって…『おはよう!こどもショー』ですよね?
T:そうそうそうそう。
A:つボイさんは、『おはよう!こどもショー』で司会をやられてましたからね。
■NHKの人形劇『プリンプリン物語』で声優としてレギュラー出演されていたことも…。
T:あれは面白かったなあ。あれ、いい勉強になりましたよ。すごく。
A:絶対集まらないメンバーですもんね、声優さんが。
T:増山江威子さんとか『ルパン三世』の峰不二子ちゃんやってる人とも一緒に仕事できたんだ、とかね、『忍者ハットリくん』の堀絢子さんも。
A:神谷明さんとかもいましたよね。もう錚々たるメンバーで。
T:「こういう人とお仕事できたんかー」っていうのは、で、ある意味で東京でやんないとできない仕事ですよね。地方にいてはダメだろうけど、でも、ときどきそうやって、で、またこっち(名古屋)に帰って来てこっちはこっち…。
■いいスタンスですね。
T:なんかね。こっちばかりではわからない世界も、向こう行ったらわかって…。帰ってきたら偉そうに言えますもんね。
■「NHKテレビの全国放送だぜ」って。
T:それに、往復グリーン車券くれるから。それを払い戻しして普通車に乗って、差額で弁当食って帰ってきましたよ。
■ふははははは!
T:「どんだけ豊かなんだ」と。
■もう時効です(笑)。
T:ええ。だからそういうのは嬉しいですよね。話をちょっと前に戻しますけども、安藤くんが一生懸命作ってくれた音源が、今度こうやってポニーキャニオンをとおして出ることになったでしょ。で、さっきちょっと話に出た「“インカ帝国の成立”の成立」ではいろんな人に協力してもらってて…。あの頃ラジオ番組作るポジションじゃないんですよ、安藤くんは。でも、それを特別に作らせてもらって。他の人がいろいろやってるところで、「何するんだ」みたいな声もあったと思うんだよね。だけど、やったもん勝ちだと。で、そういうことがずーっとあって、気が付いたら今はもうちゃんと作る部署に正式にいるわけですよ。
■つボイさんはそうやってプロデューサー的に、プロデューサー的じゃないかもしれないですけど、うまく人を引き上げるのがうまいですよね。(つボイさんの番組によく登場したりしていたのみならず、岐阜放送では一緒に番組制作もおこなっていた)北村想さんとかもそうですよね?
T:そうそうそう。引き上げるっつうなじゃんくて踏み台にしてくっていうね。
■いやいやいやいや。
T:みんなあの頃は岸田國士戯曲賞なんかとるとは誰も思ってなかったもんね。岐阜放送ではお便りが『オールナイトニッポン』より多かったんですよ。だから僕1人じゃできない。だけどディレクターも何にもいないんですよ、あそこ。僕がやるだけなんですよ。だから北村想に…あれ、ギャラがね、1本やっていくらもらってたかなあ…『ミッドナイト東海』が5000円だったんですよ、1本。んで、岐阜はもうちょっとよかった、7000円くらいもらえてた。で、北村想に2000円か3000円渡してた。
■すごく正しい配分ですね。
T:はい。それプラス、中華料理屋で一食夕飯を出すっていう(笑)。それで承知してもらってたんですよ。その代わり「交通費も出ないけど、そんだけでごめん」と。僕らだって(交通費)出ないんすよ、あれ。7000円もらって、で、「あと自分で帰ってください」って。「泊まってもいいですけど、自腹で泊まってください」と。7000円で泊まったらどうなるんだってことで親父に車借りて、「この曜日だけは貸してくれ」って、そいで自分で運転して帰ってたんすよね。タクシーで帰ったらとてもじゃない。
A:なくなっちゃいますもんね。
T:とてもじゃないけどダメですよ。で、「タクシー代とか出してほしいなあ」と、鉄道も全部止まってる時間に終わるんだから。
■そうですよね。これまたリアルなお話が…。DIY的ともいえる…。こういうことをさらりとおっしゃられるところが好きなんです。
T:で、そんなことしてて、『オールナイトニッポン』やって、放送1回目の時ですよ。終わって「ごくろうさまでしたー!」って、あれは朝の5時に終わるんで「お前どうやって帰るの?」「僕松戸なんで…」「じゃあタクシーで帰れよ」って、「おい、バイトのコが松戸までタクシーで帰るのかよ」と(笑)。俺は岐阜放送でメインだったけども、ストーブ切ったり全部戸締まりして火元責任者みたいなことして自分で帰んなきゃいけないのに、東京のアルバイトは松戸までタクシー代出んのかよと。むちゃくちゃ羨ましかったですよ、それは。
■まあまあ、NHKではグリーン車のチケットいただいたからいいじゃないですか(笑)。
T:まあね。でも、普通車にチケット変更して、差額で弁当を食べながら帰ったと(笑)。
【取材&文=伊藤英嗣】
※最初【1】を観る人はコチラ!
http://news.walkerplus.com/2011/0908/17/