岩手・大船渡市に本社を構える鎌田水産は、“神の舌を持つ男”と評されるラーメン評論家・石神秀幸と組み、メイン商品であるサンマを使った「秋刀魚ラーメン」の販売を開始した。
鎌田水産は東日本大震災で津波の被害を受け、2隻あった漁船のうち1隻を失った。その後、世界各地から多大な支援をもらった同社副社長・鎌田晋氏は「何らかの形でお返しがしたい!」と、メインのサンマを使った商品展開を模索。石神が復興支援でしばしば三陸を訪れていることを知り、鎌田氏が積極的に声を掛けたことから、今回のプロジェクトが始まった。
開発には3~4か月の期間がかけられ、9月から販売がスタート。鎌田氏は、「石神さんはざっくばらんな方で、一緒に楽しく仕事をさせていただきました。そのおかげで石神さんのモチーフに合ったすばらしい商品ができました。魚だしのラーメンは好みが分かれると思いますが、うまく中和していただき、万人に好まれる味に仕上げていただけました」と、太鼓判を押している。
麺は細麺で、スープはサンマをほぼ丸ごとだしに使ったしょうゆ味。コクがありつつもあっさりした味わいで、「秋刀魚ラーメン」と「秋刀魚つけ麺」の2種類がラインアップされている。インターネットを通じての販売で全国から注文が入っているが、売り出して間もないこともあり、売り上げ的には「まだまだ」と言う鎌田氏。しかし、「今まで生サンマでやってきたので、長い時間を掛けてこのラーメンをやっていきたい」と希望を託す。
近々、鎌田水産では漁船1隻が追加され、震災前と同じ2隻体制で漁を再開する。“サンマに懸ける男”と“神の舌を持つ男”との共作、このラーメンが鎌田氏たちをはじめ、被災した人、日本全国の人たちの復興支援につながることを願ってやまない。【東京ウォーカー】