200以上の国と地域で配信されているドキュメンタリー専門チャンネル「ディスカバリーチャンネル」が、東日本大震災被災地の復興を追ったドキュメンタリー・シリーズを、2012年3月に放送することを発表した。
ことし4月、「ディスカバリーチャンネル」では、東日本大震災被災地の復興を追うドキュメンタリー番組の制作プロジェクト「Rebuilding Japan」を始動。日本の番組制作会社や映像製作者を対象に、オリジナルの番組企画を募った。250件を超える応募の中から、7月中旬の最終選考に残った16件を対象に3日間のワークショップを行い、最終的に6作品が制作されることになった。
すでに制作がスタートしている6作品は、都市再生計画・人・製造業・日本の伝統・モータースポーツ・テクノロジーといったに分野に焦点を当て、復興と再生への過程と、そこに関わる人びとの絆や願いを描こうというもの。復興に向けた勇気と努力を追う6つのストーリーは、震災から1年を迎える2012年3月に日本で放送され、その後、世界のディスカバリー・ネットワークスを通して各国で放送される。
ディスカバリー・ジャパン株式会社代表取締役社長ジェイムス・ギボンスは「日本の制作者からたくさんの素晴らしい企画を応募いただき感謝しています。東日本大震災復興支援に懸ける制作者の思いを十二分に感じる企画の数々は、日本人の視点ならではの気付きを捉えたものが多くありました。報道だけでは語り尽くせない被災地復興の過程に隠されたドキュメンタリー、逆境に立ち向かう人びとの前向きな精神と行動力、復興への願いは、世界中の視聴者の共鳴を呼ぶものと確信しています」とコメントしている。
「Rebuilding Japan」に選ばれた6作品の概要と、企画・制作を行う会社は以下の通り。
◆オルタスジャパン/最も甚大な被害を受けた町の一つ、陸前高田市の市長は津波で妻を失いながらも、町を未来都市へと変えるべく復興に挑む。障害を乗り越えながら、先進技術を活用し地域の人びとと共にユートピアを目指す姿を描く。
◆日本ケーブルテレビジョン(JCTV)/東北の有名酒造ブランドは津波により大きな打撃を受けた。混乱の中、オーナーは、自身の酒造りだけでなく地域そのものの再生を願って日々奔走している。麹とコメが複雑に絡み合って酒が作られていく過程で、私たちが目にするものとは?
◆スタジオアルタ/皇室に献上するために奮闘する東北の海苔生産者。海は壊滅的な打撃を受け、多くの生産者が海苔作りを諦める中、互いを支えながら苦難を乗り越えて行く人びと。はたして彼らの海苔は1月に行われる品評会に間に合うのか?
◆日テレ アックスオン/大震災直後、東北エリアを中心に交通機関の基盤は破壊され広域に及ぶ鉄道網に被害が見られた。そんな中、巨大地震に襲われながらも驚異的な安全装置のおかげで脱線を免れた新幹線。甚大な被害を受けたローカル線と比べ、そのシステムの裏側には何があるのか?
◆クロマテックシステムズ/震災のために延期されていた東北の軽自動車レースがついにスタート。しかし、男たちにはもう一つ先に本当のゴールがあった。被災後に引き起こされたさまざまな事情を抱えながらも、苦難を乗り越え、愛する軽自動車に夢を託す男たちのドラマ。
◆TimeRiver Pictures/津波によってダメージを受けた被災者たちの写真。写真再生技術などのテクノロジーに支えられ、少しでも多くの写真を持ち主や遺族の元に返そうとする人々のヒューマンストーリー。
この6つの作品は、どのように被災地の再生や人々の絆、復興への努力を捉えるのか。そして、それらは日本と世界の人々の心に何をもたらすのか、長く続いていく復興への道のりと共に注目していきたい。【東京ウォーカー】